表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/1000

裸の特異点

 鼻血を吹き出しながらソウッテがのけぞる。俺は腕を縛られながらも後ろ回し蹴りでソウッテを蹴り飛ばした。

 飛ばされたソウッテが板壁を突き破る。


「そこは男湯と女湯の仕切りの壁じゃ……」


 思った通り、目の前には湯船の中でうずくまるルシルがいた。

 蹴飛ばされたソウッテの他に二人の武装した男が湯船に浮かんでいる。


「ルシル、大丈夫か!」


 俺は湯をかき分けルシルに近付く。


「ん……だ、大丈夫」


 ルシルは俺から目をそらして返事をする。


「どこか怪我をしていないか? 痛いところはないか、こいつらに何かされなかったか?」

「……っ」


 ルシルが言いよどむ。顔が赤いのは温泉でのぼせたのか、怖い思いをしたのか。


「……え」

「なんだ?」

「前、隠して……」

「あ」


 俺は後ろ手に親指を縛られていたし、その上入浴中で全裸だった。

 ルシルの目の前で仁王立ちをしていたが、ルシルが顔を赤らめるのはこのせいだったのか。


「す、すまん」

「私は別にいいけど……」


 俺は後ろに回った手でソウッテの外套を引き剥がすとルシルにかけた。ルシルはそれを身体にまとって湯船から上がる。


「ありがとゼロ、助けに来てくれて」

「お前を守るのは当たり前の事だよ」


 俺もルシルと一緒に湯船から出るが、このタイミングで男湯の方から俺を襲いにきた奴らがなだれ込んできた。


「これじゃあまともに戦えないじゃないか」


 そんな言葉も男たちには負け犬の遠吠えに聞こえるだろう。俺は足首を回したり腱を伸ばして準備をする。俺が後ろ手に縛られている事を承知で男たちは攻撃をしかけてくる。


「あんまり、下をさらけ出したままやりたくはないんだけどなっ!」


 俺は洗面器を足で宙に浮かせると、落ちてきたところを思いっきり蹴飛ばした。

 洗面器が敵の顔面に直撃してバラバラになり、そいつは仰向けになって湯船の中に倒れてしまう。

 派手な水しぶきを立てて倒れた奴の隣にいる男は斧を振り回しながら駆け寄ってくる。

 俺は近くにあった石鹸をそいつの足下に蹴って転がすと、斧の男の足が丁度石鹸の上に乗っかる。


「ほわぁっ!」


 意味不明な叫び声を上げると、これまた仰向けにひっくり返って石でできた床に後頭部を叩き付けてしまう。


「この野郎!」


 別の男が剣で攻撃してくる。

 振り下ろした剣が椅子代わりの石に当たって火花が散った。


「思いっきり振ってきやがって」


 顔面を狙って桶を蹴飛ばすが剣で防御されてしまう。桶は砕けてしまうが、もう一つ蹴った桶がその男の顔面に当たる。


「二段構えの桶攻撃だ。っと、シルヴィア……さんは」


 攻撃してた男たちが倒れてうずくまっている所を、バスローブ姿のシルヴィアがゆっくりとした足取りで近付いてくる。


「シルヴィア……」


 シルヴィアは悲しそうな顔で俺を見る。


「ごめんなさい、ゼロさんルシルちゃん。こうするしかなかったの……」


 シルヴィアが手に短剣を持って近付く。

 俺は手を後ろに縛られたまま、ルシルの前に立つ。


 全裸で。

【後書きコーナー】

 没会話。


「俺の男を見せてやるぜっ!」

「ゼロさん、男って言うのはまさか……」

「ゼロ、それなんかちがう、ただのセクハラオヤジや」

「ちっがーう!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 襲ってくる輩は、皆殺しにしないと増えるばかりです ゴキブリ排除(๑•̀ㅂ•́)و✧ [一言] これが目に入らぬか!? デデドン Σ(゜∀゜ノ)ノキャー
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ