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魔力使い放題プラン

 ルシルの角がどれほど魔王にとって大切なものだったか。魔力の安定器でもあり制御装置でもあり、魔力を使わなくなったら適度に放出もしてくれるみたいだ。

 魔王のオーラみたいなものはそういった魔力の調整も含めたものだったのかもしれない。


「私、普通の女の子になっちゃったけど、中身が普通じゃなかったって事なのかなあ」


 ルシルは自分の事で皆に深刻になって欲しくはないという気持ちからか、少し軽い言い方をする。かえってそれが痛々しい気もするが、ルシルなりの気遣いを皆も理解してくれている。


「平穏な日常はなかなか訪れないものだな」

「ごめん、ゼロ……」

「お前のせいじゃないのだからそう自分を責めるなよルシル。この問題も解決させて平和な日々をつかみ取ればいいだけなんだからな」


 俺は精一杯の笑顔を作ってルシルの頭をなでる。


「うん……。でもゼロ」

「なんだ」

「その顔怖いね」


 ルシルは屈託のない笑顔で返す。

 こんな笑い顔は久し振りに見た気がする。


「方法はいくつか考えられるのよ」


 ユキネが現実的な対応を検討し始める。ピカトリスがどこに行ったか判らない今、錬金術師アルケミストの知識を持つユキネの協力は助かるものだ。喰らう者(イーター)として自分の身体を不死体にしてそこへ自分の魂を憑依させている死霊魔術ネクロマンシーの知識も持ち合わせているから、ルシルの置かれた状況には俺やシルヴィアよりも頼りになる。


「教えてくれユキネ、どういった手が取れそうか」

「そうね、まずは今の状況で何ができるかという所ね。何だと思う、ルシルちゃん」

「えっと……魔力の放出? 魔力を使う事かな」


 ルシルも真剣に考えて答える。


「正解。今は魔力がどんどん回復、というよりも生成されている状態よね。でもその身体に蓄えられる魔力量は限られているし、それを調整する角も無い。とすると、常に何かで魔力を消費し続けるという方法が一つ」

「でも消費と言ってもそんなに高度な魔法は使えないからそれだと全然消費されないのよ」

「自分で使う魔法だとそうみたいね」

「他は?」


 俺はわらにもすがる思いでユキネの案を聞く。


「戻せるかどうかは判らないけど、妹さんから角を取り戻すという方法。それなら元通りになれるというものね」

「それは俺も考えたが、奪われはしたが奪い返してまた角ができるとか方法が思いつかん」

「そうね、妹さんがどうやったかとか秘術があるのかとか、そこから手探りになるわね」

「後は何がありそうかな」

「魔力の吸引、抽出かなって思っているわ」


 ユキネは得意そうな顔で俺たちを見ていた。


「吸引? 何かいい方法があるのか」


 ユキネが鞄から何か取り出して円卓に乗せる。


「これは魔晶石マジッククリスタル。魔力の貯蔵庫よ」


 いくつかの透き通る宝石が円卓の上で部屋の明かりを反射していた。

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