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正面衝突と横殴り

 ダエオドンが前足を掻いて俺を狙っている。


「鼻息を荒くしちまって」


 Nランクスキル敵感知センスエネミーは俺に向けられる敵意を検知するスキルだ。それが発動しているという事は俺に対してこの巨大猪は敵意を抱いているという事。


「ゼロ……」

「直線上には立つなよ、って俺が動けばいいのか」


 ルシルがダエオドンの正面に来ないようすり足をしながらダエオドンを誘導する。

 走り始めれば直線的な動きになるのだろうが、まだ動き出す前だ。俺の方向を見てくれると助かるが。


「さあこっちだ、こっち!」


 俺は剣を振り回しながらダエオドンの気を引く。

 念のため俺とダエオドンの直線上にはルシルがいないようにしている。


「そらぁ!」


 俺の掛け声で一瞬ダエオドンが動揺した。

 その恐れを振り払うかのようにダエオドンが俺に向かって突進する。


「流石にでかいな」


 俺は左手を前にして右手に持った剣を後ろに引く。回転させた剣をダエオドンに合わせて斬りつける構えだ。

 ダエオドンが地面を蹴るたびに大地がめくれる。

 ダエオドンが近付くにつれその顔がよく見えるようになった。

 口から伸びる上向きの牙が俺に向けられ、少し開いた口からはよだれがあふれ出ている。


「凄い勢いだが、せいっ!」


 俺はダエオドンの鼻先へ重なるように剣を振った。


「SSランクスキル発動、旋回横連斬サイドターンスラッシュ!」


 自分の身体を軸として横薙ぎの剣撃を加え、ダエオドンの顔面を捉える。

 だがダエオドンの勢いは止まらずそのまま突っ込んでくるが、さらに回転を加えた剣が二発、三発と打ち込まれた。

 ダエオドンは剣に弾き飛ばされるように走る向きをずらされ、奥の木に激突して木を何本かなぎ倒して止まった。


「重たかったな、あの重量と加速が付いてのものだっただけに手がしびれるかと思ったぞ」


 俺は剣を鞘に納めると倒れているダエオドンはそのままにして倒れている人間の所へと急ぐ。


「おい、大丈夫か?」


 倒れている人間を抱き起こす。身なりからすると村娘みたいな服装で、冒険に出たりだとか狩りに行こうという出で立ちには見えない。


「呼吸は……」


 気を失っているだけのようだ。大きな外傷も見られないし、大きな胸が呼吸に合わせて上下していた。

 ルシルも心配になって来たようだが。


「ゼロはまたそうやっておっぱいばっかり見ているのね」

「い、いやこれはだな、呼吸をしているかどうかをだな、見定めていたのであって別に」

「はいはい。気を失っているだけみたいだからそっとしておきましょう」

「そうだな。Nランクスキル発動、簡易治癒ライトヒーリング


 俺は倒れていた娘に簡易治癒ライトヒーリングをかける。気付けというわけではないが体力を回復させるためにも治癒魔法を使ってみた。


「あれ、ゼロ……」


 少し離れた所で枝の折れた音がする。


「お、まさかな」


 俺が音の方を見ると、ダエオドンが震える脚で立ち上がっていた。

【後書きコーナー】

※2019/03/17 大改稿を見据えて今後のスキル表記をもっとゲームっぽく、ランク付けした物に差し替えていきます。内容は同じです。

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