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魔獣使いの可能性と解放したらどうなるか

 俺は単身ヒポグリフに戦いを挑む。

 ユキネは戦闘に不向きらしく、町を守る時にはそれでも果敢に戦ったが今は無理をさせることはない。

 ルシルにはユキネを守ってもらうように頼んでいた。


「さあ来い、覚醒剣グラディエイトの錆にしてくれよう!」


 俺が剣を構えるが、ヒポグリフは俺よりも俺の背後にいる二人を狙っている様子だった。


「まさか女好き、という訳でもあるまいな」


 俺が突進するとヒポグリフは馬の後ろ脚を力強く蹴り上げ、空へと羽ばたく。そして俺の頭上を越えるとユキネに鷲の前爪でつかみかかろうとする。


「させない!」


 俺は円の聖櫃(サークルコフィン)を発動させ、ルシルとユキネの周囲に小さい円形の魔法障壁を造り出した。

 ヒポグリフの爪が円の聖櫃(サークルコフィン)を引っ掻くが、魔力の壁に弾き返される。

 痛みを感じたであろうヒポグリフは、もう一度空高く舞い上がった。


「飛んでいるからと安心するには早いぞ。雷光の槍(ライトニングランス)!」


 俺は連発で雷光の槍(ライトニングランス)を空に向かって放つ。直撃はしないまでも飛行の邪魔にもなるし、空中に放たれる電撃がヒポグリフの翼にかすめただけでもダメージは与えられる。

 直線的な氷塊の槍(アイススピア)や長距離には向かない火の矢(ファイアアロー)よりも今は適していると思えた。


「そうれもう一発! 雷光の槍(ライトニングランス)


 俺の両手から無数の電撃が放たれる。

 その一つがようやくヒポグリフへ命中した。


「やったねゼロ!」


 ルシルが歓声を上げる。

 翼の焼かれたヒポグリフが落下し円の聖櫃(サークルコフィン)の上に乗るが、これも魔法の壁に弾かれて地面にたたき落とされてしまう。


「どれ、ようやく大人しくなったようだな」


 俺は剣を抱えてヒポグリフのそばに寄る。


「よし。これで終わりだ」


 俺は逆手に持った剣をヒポグリフの胸元に振り下ろす。

 甲高い金属音がして一瞬光に包まれる。


「ゼロどうしたの!?」


 眩しさに目を背けていたルシルがゆっくりと俺の方を見た。


「あ、あれ……?」


 俺はヒポグリフの胸元にあった首飾りを剣で斬り落としたのだが、案の定それには魔獣化の封印が施されていたようだ。


「む、むぅ……」


 ヒポグリフだったものがうめき声を上げる。

 ヒポグリフがいたところに裸の少女が倒れていて、その背中には焼け焦げたヒポグリフの翼が生えていた。


「あの首飾りが怪しいと思っていたが……。この少女が町の人を襲っていたというのか? それとも魔獣化すると理性もなくなるとか、か」

「ピカトリスが何か知っているのかな」


 解除した円の聖櫃(サークルコフィン)から出てきたルシルが自分の外套を倒れている少女に被せる。


「判らんが。だとするとこの少女も百歳超えなのか? なんだか恐ろしくなってきたぞ、違う意味で」


 ピカトリスは俺と王国で初めて会った頃には青年の姿だった。あんな奴でも百年以上も生きていると言うのか。にわかには信じられないが、ユキネの話が本当ならばそれも事実なのだろう。


「で、この子どうするの?」


 それもまた課題だ。

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