表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/53

6)前世は平凡な人生

本日、二度目の投稿です。一度目は午後7時に投稿済みです。

 半年くらいも過ぎた頃。


「カリンは、ずいぶん、痩せちゃったな」

 とお父様が言いました。

 ええ、私は、痩せました。

 前は、ひどく太っていました。それも、健康的なピチピチぽっちゃりではなく、不健康に、しまりなく太っていました。

 まん丸だった私は、フリフリハデハデな服を着て、フリルのボールみたいな有様だったのですよ。

 でも、今では違います。

 痩せてから買い換えてもらった服は、フリフリハデハデじゃありません。

 清楚です。

 まともです。

 そんな私を優しく見つめる、お父様は美男です。黒髪に焦げ茶の眼の領主のお父様が、私は大好きです。

 お母様は、私が3歳のころ、はやり病で亡くなりました。美しく可憐な人だったとか。

 私は、お母様に、瓜二つだそうです。

 私、もしかしたら、将来有望? いえいえ、姿だけ親譲りで得していても、残念美人になりかねませんので、心しておきましょう。


 私には、2人のお兄様が居ます。

 2人のお兄様たちのうち、一番上のハルトお兄様は魔導師の研究所に入っていて、邸には居ません。二番目のカイトお兄様は、剣術の才能がある、と言われ、騎士団にお勤めの大叔父様の邸に入り浸りです。

 嫡男と次男が、我が家から出て行ってしまっているのです。

 跡継ぎは、大丈夫でしょうか・・まぁ、大丈夫でしょう、ふたりもお兄様が居るのですから。

 とにかく、そんなわけで、我が家は、お父様とふたりきり。寂しい状態です。

 おかげさまで、私は、父に溺愛されていました。


 お父様が、私が不健康なことに気付かなかったのは、お父様が忙しかったのが主な原因ですが、私の健康状態の劣化が、少しずつ、ゆるい下り坂を転げるように起こっていたからでしょう。

 それに、お父様は、私が太っていても、癇癪を起こしていても、なんであっても、盲目的に愛していたから、というのもあります。


 私は鑑定で自分自身を見るようになってから、前世の記憶が、少しずつ、よみがえってきました。

 それでも、浮かんでくる映像は、ぼんやりしていて、はっきりはしませんでした。

 遠い、前世のことですから、ぼんやりしているのは仕方が無いのでしょう。


 前世の私は、少し変わった街に住んでいました。

 四角い大きな建物がたくさん並んでいる街。

 変な街だなぁ、と思います。


 前世の私にも、家族は居ました・・お母様が、ひとりだけ。

 母子家庭、というものです。

 お母様の記憶は、おぼろげです。

 ひとの顔とか、声が思い出し難いので。


 私は、30歳くらいのときに、内蔵に腫瘍のできる病気で亡くなりました。

 なんだか、前世の私、かわいそうな死に方だったな、と思います。30歳じゃ、まだ若いですよね。

 でも、それなりに、幸せな生活を送って死んだような気がするのです。

 ただし、恋愛はしていませんでした。

 「営業」という商人のお仕事が、あまりにも忙しくて、お仕事ばっかりの生活をして、病気になって死んだ、ようです。

 営業というのは、品物を売るために、ひととたくさんお話をする仕事です。前世の私は、すごかったーと思ってしまう。

 今の私は、知らないひとと話をするのは苦手です。

 家の中でワガママいっぱいなくせに、お客様が来ると、お父様の後ろに隠れてしまうような子だったんです、ハイ、内弁慶というやつでした。今は、ワガママは直っていますけどね。

 でも、前世の私も、「たくさんのひとと会う」仕事は、大変だったはずです。なぜなら、お仕事でひとと会うときは、一生懸命、これから会うひとのことを調べ、うまく話せるように、そのひとを知ろうとしていたから。私、頑張ってたんです。

 今、私が鑑定スキルを持っているのは、前世で「知ろうとしていた」努力の結果なのかもしれません。

 

 それから、私は、「ミステリー」という物語が好きで、お仕事を終えた夜に、よく読んでいました。

 そして、前世の私は、「ピアノ」を習おうとしていました。

 学生のころ、片思いの素敵なクラスメイトがいて、その彼が、ピアノが上手だったのです。

 前世の私は、憧れのピアノを習おう、と思い、小さなオモチャのようなピアノ? を買い、独学で練習してみたのだけれど、仕事をはじめてからは、忙しくて、思うように出来なかった・・。


 ――ああ、なんか、平凡だけど、一生懸命な人生だったのね・・。


 ちょっと泣いてしまった。


 大叔母様から聞いた前世記憶もちの騎士の真似をして、私も、楽器を習うことにしました。

 鍵盤楽器を習いたい、とお父様に相談したら、お父様は、すぐに買ってくれました。

 どえらく大きい楽器で、びっくりしてしまった。

 楽士の師匠も雇ってくれました・・お父様、すごい。


 お父様を喜ばせるために、私は、勉強も、がんばりました。

 前世の記憶の中では、ひとりしか居ないお母様をおいて、私は、早くに病気で死んでしまいました。

 親不孝者です。

 だから、今生では、親孝行をしよう、と決めました。

 お父様は、私が頑張ってマナーを学び、きれいにお辞儀をして見せると、「亡き妻を見ているようだ」と、涙を流して喜んでくれました。

 こんなことでそこまで喜んでくれるなんて。いくらなんでも、お父様は、家族ラブ過ぎます。

また明日、続きを投稿します(^^)/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ