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49)コンクールを終えて

本日の2話目の投稿です。

1話目は、午後6時に投稿済みです。

 廊下を駆ける足音を、遠くに聞いた気がしました。

 気がつくと、警備員たちが取り囲んでいました。

 キリアン殿下たちが手配してくれたのかもしれません。

「カリン・ハノウ嬢、こちらでしたか、授賞式にご参加ください」

 という声は、コンクールの関係者の方でしょうか。

「カリン、戻ってこないから、心配したわ」

 大叔母様が、私の肩を抱いてくれます。

 ソラのつらそうな顔。

 ジュンヤさんとレミさんは、叔母様の従者に避けられました。


 私は、ぼんやりと、入賞式の舞台に立ちました。

 夢遊病者のようにうつろなまま、エレイン王妃音楽コンクール、新人声楽家部門で、優勝をいただきました。

 気がついたら、式は終わっていました。



 コンクールから4日後に、私は大叔母様と、それから、迎えに来てくれたカイトお兄様と一緒に、国に帰るためにギルモアを発ちました。

 ソラとスズナ叔母様は、私の身を案じて、ギルモアに残るように勧めてくれましたけれど、学園にも通わなければいけません。帰らないわけにはいかないでしょう。「ソラは、ギルモアで、リサイタルをしていてください。私の身は、私の家が護ってくれますから」――そう言って、ソラから離れました。

 帰りの道中は何事も無く進み、3日で王都に着きました。


◇◇◇


 アノスに戻って5日が過ぎました。


 私の生活は、表向き、変化はありません。

 これまでと同じように、学園に通ってます。

 卒業までは、あと3ヶ月ほどです。

 ギルモアでのコンクール優勝のあと、アノス国内でもリサイタルや管弦楽団との共演の話しがぽつぽつと出始めています。

 トキワ公爵からの嫌がらせは、今のところありません。


 いつもと変わらない日が続いておりましたが、今夜は、ちょっとした変化がありました。

 公務から帰られたお父様が、私を書斎に呼びました。


「ギルモア王国で、記念公演に出演する話しがあっただろう、カリン」

「はい。

 王立劇場100周年記念公演の出演者のひとりに加えていただけるとか・・」

 その身に余るお話しは、ギルモアの声楽コンクールで優勝したときにうかがっていました。

 ギルモア王立劇場は、100年前、老朽化による建て替えのさい、王都中心部に移転し、より設備の整った劇場に造り替えられたそうです。

 私は出演を希望しておりましたが、ジュンヤさんの脅迫がありましたので、返事を延ばしていました。

「それに、ぜひ出演するよう、陛下からお言葉をいただいた」

「光栄ですわ」

「・・覚悟を決めよう。

 カリンには、輝かしい未来がある。

 ここで負けていられない」

「ありがとうございます、お父様」

お読みいただきありがとうございました。

ぜひ最後までお付き合いくださいませ。m(_ _)m

また明日午後6時に投稿いたします。

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