46)悪夢の可能性
本日の1話目の投稿です。
今日も2話、投稿いたします。
「その予言の書では、私が聖女の聖歌をフォローすると書かれていたようですが、荒れ地で聖歌を歌うのに、ピアノは無いのでは?」
とソラがキリアン皇子に尋ねました。
「ああ、それなんだがね。
なんでも、予言の書によると、聖女は、歌があまり上手ではなく、声も大きく出せない。
キースレアを巡る旅のさなかも、ピアノのある貴族家に泊めてもらいながら、ソラは、聖女の歌の訓練に付き合う。
そのうちに、ソラと聖女は、心を通わせるようになり・・。
あ、ちなみに、聖女とシオン殿下は、キースレアの民とのトラブルをふたりで解決していくうちに、愛し合うようになる。
カイトや、コウキも、護衛として聖女を護るうちに、聖女と愛し合うようになる。
で、ソラくんの続きだが。
ソラと聖女も愛し合う。
すると、愛し合うソラのピアノの音色に聖女が心を奪われながら歌うと、奇跡のように美しく歌える。
その奇跡の歌を聴いたキースレアの第二皇子、つまり私が、聖女に夢中になり、求婚。
ソラは泣く泣く、聖女を諦め、国に帰り、聖女は、私の妻となって、キースレアに残る」
私は、呆けて口を開けたまま、頭が真っ白になりました。
淑女らしくありませんでした。
衝撃が大きすぎました。
キリアン皇子が、
「ソラとカリン、息をしてるかい?」
と私たちに声をかけました。
私とソラは、ハっと我に返りました。
「ソラたち、ふたりして、同じ顔してたよ」
と殿下。
「そ、そんな悪夢のような可能性があったんですか・・?」
とソラ。
「ハハ。
面白い予言の書だろ。
そんなクソビッチ、お断りなんだがな」
とキリアン皇子。
「予言が外れて良かったです。
命拾いしました。
その予言の書がここにあったら、お祓いをして浄めてから、火山の火口に放り込んでやります」
とソラ。
「ああ、そのときには、私も協力するよ」
皇子は頬笑み、「ソラには、感謝してるんだ」と言う。
「感謝? なぜ?」
ソラは、不可解そうな顔をしました。
キリアン殿下は、わずかに苦い顔をしながら説明してくれました。
「私が、アノス王国に留学するきっかけになったのは、ソラの演奏なんだ。
私は、始めのうち、メイベル妃の『予言の書』の話については、半信半疑だった。
それで、聖女が奇跡の歌を歌うきっかけになるという、ソラの演奏を聴いてみようと思いついた。
ギルモア王国の演奏会を鑑賞した帰りに、アノス王国に寄った。それで日程的に都合が良かったユイナ妃音楽コンクールで、ソラの演奏を聞かせてもらった。
カリンの演奏も良かったよ、可愛らしくてね」
「そ、そうですか」
「ソラの演奏には負けてたが」
「当然ですわ・・」
「ハハ。
ソラのピアノは、本当に素晴らしかった。
衝撃で、しばらく椅子から立ち上がれないほどだった。
側にいた見知らぬ観客が、『音楽界の若き天才は、竪琴はキリアン皇子だが、ピアノはソラ殿だな』と言っていた」
ソラは、キリアン皇子の言葉に、目を見開きました。
キリアン皇子は、ソラに頬笑みかけ、
「それがきっかけで、竪琴大国と言われるアノス王国に留学に来たんだ」
と言いました。
「光栄です。
キリアン皇子と並び称されるような音楽家になれるよう、精進します」
とソラ。
「私も負けないよ。
アノス王国に留学した私は、うるさく聖女殿に付きまとわれる、という栄誉にも恵まれてね。
私は、幼いころ、聖女という存在に、ずいぶん憧れていたんだが、すっかり目が覚めたんだ。
そうでなかったら、メイベル妃の『聖女は要らない』計画に、異を唱えていたかもしれない。
危なかったよ」
とキリアン皇子。
「それは、良い方に運命が変わって幸いです」
「まったくだ」
ふたりが朗らかに話していますと、「そろそろ、脱出することを考えましょう」とネストル様が苦笑混じりに言いました。
「私が、幻惑で姿を変えて、助けを呼びに行きましょうか」
とソラ。
「それは助かる」
と殿下。
すると、トントン、とドアがノックされました。
また午後8時に投稿いたします。
よろしくお願いいたします。




