4)家庭教師の正体
本日、二度目の投稿です。
一度目の投稿は、1時間前の午後7時に投稿済みです。
毎日、毎日、鑑定し続けて、身近にあるものを、すっかり鑑定し終えてしまうと、今度は、空の雲や星々を鑑定してみました。
・・残念ながら、遠すぎて、鑑定できなかったのですが・・。
でも、風に運ばれてくる匂いなどは、鑑定できることが判りました。難しいですが、匂いを感じ取ることができると、鑑定できます。
風が運ぶ香りの中には、川向こうの灌木と庭の花木の匂いが混じり、邸の調理人が作るバターケーキの匂いが含まれていたり。もっと感じ取ろうとすると、南部の乳牛からとれたバターを使っている、と判ったり。
楽しいです。
難しい作業をすると、能力があがるようです。続けているうちに、鑑定が、もっと上手に出来るようになりました。
遠くにある鑑定し難いものとか、かすかな匂いとか、時間さえあれば、鑑定してみました。
身近にあるものを鑑定し尽くしたころ、「自分自身も鑑定してみよう」と思い立ち、試しにやってみました。
・・すると、私は、私自身の情報を、はっきりと、見ることができました。
カリン・ハノウ侯爵令嬢、5歳、お父様はシン・ハノウ侯爵、お母様は故シオリ・ハノウ侯爵夫人。私は、お父様とお兄様たちが好きで、庭師のマツ爺が好きで、ヒマワリの花が好きで、それから・・意地悪な家庭教師のマヤと、怠け者の侍女が嫌い・・。
「あ・・」
びっくりして、思わず鑑定スキルを解きました。
意地悪な家庭教師のマヤが嫌い・・。
なぜ、マヤを意地悪だと思っていたのか。私は、思い出しました。
あれは、私が、風邪をひいて、具合が悪かったときのこと。
熱でだるかった私は、スープが飲みたい、と思いながら、ベッドに寝ていました。
お昼ご飯にマヤが持ってきてくれたのは、甘いドーナツでした。
私は、甘いお菓子が大好きで、しじゅう、食べています。
侍女も、マヤも、私に、いくらでもおやつをくれました。
おかげで、ぽっちゃりと太っていました。
でも、さすがに風邪で具合が悪いときに、こってりとしたお菓子は食べる気になりません。
私は、マヤに、
「スープが飲みたい」
とお願いしました。
でも、マヤは、
「あらまぁ、せっかく大好きなドーナツを持ってきてあげたのに。
風邪で具合が悪いのですから、栄養たっぷりなものを食べなきゃね」
と言いました。
私は、ぐったりと横になったまま、マヤの顔を見ました。
綺麗な顔です。
でも、怖い顔だ、と私は思いました。
マヤの笑顔は、冷たい笑顔でした。じっと見つめていると、マヤが、私のことを、憎んでいる、と判りました。
風邪をひいた私に、食べたくないドーナツを持ってきたのは、わざとだったのです。
お父様が言っていた、
『物やひとを、もっと知りたい、と思ったとき、自然と、その物やひとのことが、判ってしまったこと』
それは、このときの体験でした。
マヤは、家庭教師なので、私にマナーや、文字を教えてくれることになっています。
ですが、私は、未だに本を読むことが出来ず、絵本をめくっても絵を見るだけです。
淑女として最低限必要なお辞儀もぎこちなく、食事のマナーも5歳という年齢を考えても見苦しい有様でした。
私は、マヤを、よけいに避けるようになりました。
ほどなく、お父様は、とうとう、マヤを辞めさせました。
マヤは、お父様のことが好きだったそうです。でも、お父様は亡きお母様のことが忘れられず、再婚はしませんでした。
そのため、マヤは、亡きお母様にそっくりで、お父様に溺愛されていた私が憎かったのです。
その話は、ずっとのちに、マヤを調べた大叔母様から、聞いて知りました。
また明日、続きを投稿します(^^)/




