39)ギルモア国際音楽コンクール その3
本日の2話目の投稿です。
1話目は、午後6時に投稿済みです。
食事をただいたあと、私とソラは、大叔母様たちとはいくらか離れた席につき、一緒に午後の出場者の演奏を聴きました。
休憩を挟んで、審査結果の時間になりました。
緊張します。
そして、発表・・。ソラは入賞を果たしました。
この著名なコンクールで2位に選ばれたのです。
1位ではなかったのは残念かもしれませんが、技術レベルの高さと優れた芸術性は、世界的に認められたと言っていいでしょう。
父親の公爵に迫害されながらの受賞です。そう思うと、胸が熱くなります。
ギルモア国際音楽コンクールで入賞した演奏者は、賞金だけでなく、著名な管弦楽団との共演や、リサイタルの機会が与えられます。
スズナ叔母様たちも大喜びです。
私は、舞台のソラを見ながら、ふと、視界の端に垣間見えたジュンヤさんの横顔に気付きました。
端正な彼女の顔。でも表情は歪んでいます。
なぜでしょうか。
彼女は、嬉しくないのでしょうか。
嫌な予感がします。
私は、彼女を鑑定しました。
どす黒い感情が彼女の胸に渦巻いています。
羨望、嫉妬、焦り、憎悪・・。
ソラを憎悪している?
ソラへの恋慕は、どこへ行ってしまったのでしょうか。
彼女の心の声が感じられます。
求めても得られないことへの悲しみ、寂しさ。
愛していることを理解してもらえない苛立ち。
自分の計画が行き詰まっているうちに、音楽家へと成功していくソラへの嫉妬と憎しみ。
ジュンヤさんは、自分の不幸のすべてを、ソラのせいにしています。
かつて、ジュンヤさんは、トキワ家で、ソラの父親である侯爵に褒めそやされ、愛された・・。それは公爵の歪んだ愛だったというのに。
ジュンヤさんは、ソラを手に入れれば、幸福のすべてを手に入れられると思っていた。
私は、隣に居るレミさんも鑑定しました。
レミさんも、強い焦りを感じている・・。
栄えある舞台では才能ある演奏家たちが称えられています。
世界が認める才能です。
ソラは、レミさんたちの手の届かないところへ行こうとしているのです。
ジュンヤさんたちは、舞台から降りたソラに近づこうとしましたが、スズナ叔母様の従者がそれを阻止しました。
「アノス王国に帰ろう、ソラ」と言うジュンヤさんの声。
ソラは、これから、ギルモア王国でのリサイタル活動の打ち合わせがあるのです。
帰るわけがありません。
レミさんのソラを喚ぶ声は無視され、ソラはスズナ叔母様と会場をあとにしました。
お読みいただきありがとうございました。
また明日午後6時に投稿いたします。




