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38)ギルモア国際音楽コンクール その2

本日、1話目の投稿です。

今日も2話、投稿いたします。

 ソラの演奏が終わったあと、お昼の休憩時間になりました。

 スズナ叔母様とアヤノ大叔母様が、親しげに一緒に立ち上がります。

 侍女を従えて、お昼にする予定です。

 ジュンヤさんとレミさんも、叔母様たちの後を追います。


 ジュンヤさんたちの姿が見えなくなると、私はソラと会場施設内のカフェに向かいました。

 会場で食事出来るところは二カ所だけですが、大叔母様たちはレストランのほうへ行きましたので、私とソラは、ジュンヤさんたちを気にせずにお食事できます。


 少し混んでいましたが、ようやく席を確保できました。

 ソラは、前の席に座った私を見て、

「なんか、不思議な感じだね」

 と楽しそうに頬笑みます。

 ソラも私も、幻惑の魔導具で見た目がじゃっかん違っています。

「ソラは、その姿、なんだか可愛いわ」

 と私。

「可愛い?」

 ソラが苦笑します。

「だって、少し、ふくよかに見えるのだもの。

 それに、幼くなったみたい」

「ハハ。

 そういえば、カリンも、子リスみたいな雰囲気になってる」

「え・・、ホント?」

「誰かに連れて行かれないように、気をつけて」

「子リスみたいな娘なんか、需要がないわよ・・」

 ちょっと、ショックでした。


「カリン。

 実は、気がかりなことがあるんだ。

 カリンがエレイン王妃音楽コンクールに出ることを、ジュンヤたちは、知っているかもしれない。

 ふたりは、しじゅう、スズナ叔母の邸に押しかけているだろう?

 それで、玄関で追い返されたジュンヤたちの話を盗み聞きした侍女が、『エレイン王妃音楽コンクール』という言葉を聞き取っているんだ。

 ジュンヤは、ずっと、カリンのことを排除しようとしていた。

 もしかしたら、カリンの動向を調べていたのかもしれない。

 ここ最近、ナミト家の周囲を不審者がしつこくうろついていたのは、カリンが来ることを予想していたんだろう」

「あらまぁ・・。

 ソラは、せっかく、レミさんの魅了にやられたフリをしていたのに・・」

「聖女は判らないけれど、ジュンヤはけっこう、鋭いからね」

「そうですわね・・」

 たしかに、レミさんは単純そうですけど、ジュンヤさんは一筋縄ではいかなそうな方でした。

「コンクール当日に、嫌がらせをしにくるかもしれない。

 私も見張るつもりだが、スズナ叔母が控え室の前までは従者を付かせるつもりで居る。

 大事なコンクールの前に、不安にさせたくないんだが・・」

「気をつけるから、大丈夫よ。

 幻惑の魔導具もあるし。

 嫌がらせくらい、なんでもないわ」

「ジュンヤのあの態度は、私のせいなんだ。

 私が、ジュンヤの、私の周りに対する悪意のある行動を許していた。

 正す機会は今までにあったのに、放っておいたんだ」

「それは、どういう・・?」

「以前に、他の友人から、ジュンヤが私に近づく女性を排除している、という話を聞いていたんだ。

 何度かそういう話を、複数の友人から聞いていた。

 ジュンヤは、私が親しくなりかけた女性たちに近付き、誘惑したり、あるいは、自分になびかない女性には暴言を吐いたりして、排除していたんだ。

 問いただすと、ジュンヤは、問題のある女性は避けておいたよ、と言い訳をした。

 私は、何度か、そういうことは止めてくれと言ったのだけれど、ジュンヤに惹かれてく女性にも問題があると思って、放置した。

 私自身、あまり近づいてくる女性に、さほどの想いがなかったというのもある。

 親しくなる以前にジュンヤに邪魔されていたから、よけいに何も思わなかったというのもあった。

 それでも、私の無関心のせいだ。

 ジュンヤが、カリンに暴言を吐いたりするのは、過去、それが成功していたからだよ」

「ソラは、被害者だわ。

 自分を責めないで・・」

「君は、いつも優しいね。

 カリンが居なければ、私は壊れてたよ」


 私はそんなに優しくないです。

 ソラが好きなだけです。

 誰でも、好きなひとの哀しそうな顔は、見たくないと思います。

 それに、ソラが被害者なのは本当ですから。

また午後8時に、今日の2話目を投稿いたします。

よろしくお願いいたします。

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