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37)ギルモア国際音楽コンクール その1

感想やブクマをありがとうございます。m(_ _)m

参考になります(^^)

本日の2話目の投稿になります。

1話目は、午後6時に投稿済みです。

 5日後。


 ギルモア国際音楽コンクール当日です。

 私は、この日のためにハルトお兄様に用意してもらった幻惑の魔導具のペンダントをつけました。

 顔の周りの空気を少しだけゆがませて、人相を変えるものです。

 ほんの少々、顔形が変わるだけで、印象が違って見えるのです。

 なかなか面白いです。

 お兄様、すごいです。


 コンクール会場の客席で、ソラのスズナ叔母様と待ち合わせ、一緒の席に着きました。

 ソラの叔母様の隣にアヤノ大叔母様が座り、その隣に私が座ります。

 ジュンヤさんたちはアヤノ大叔母様を知りません。きっとスズナ叔母様の見知らぬご友人に見えるでしょう。さしずめ私は、見知らぬ貴婦人の親戚の娘、という役でしょうか。


 案の定、ジュンヤさんたちがやってきました。

 レミさんが、「この会場、出場者控え室に入れないのよ!」と文句を言っています。

 どこのコンクールでもそうなのですけど・・。

 ふたりは、スズナ様のそばに座りました。そばと言っても、少々、離れていますけどね。

 スズナ様の両隣は、ふさがっていましたので。

 スズナ様は、ジュンヤさんたちのご挨拶に、「ごきげんよう」と言葉少なく返し、すぐにアヤノ大叔母様とのおしゃべりを始めました。


 最初の出場者の演奏が始まりました。

 出場者の技術の素晴らしさに聞き惚れます。

 さすが、レベルが高いと評されるコンクールだけはあります。


 アノス王国では・・他の多くの国もそうですが、楽器を弾けるというのは、恵まれたひとだけです。


 富裕層の多くは、演奏が好きというよりも、恵まれた者ゆえの嗜みとして、音楽を習います。そして、やがて、楽器から離れてゆきます。

 才能に恵まれたひとだけが、演奏家や声楽家となります。

 コンサートに来る観客は、それなりに、耳の肥えたひとたちです・・ええ、それなりに。ただ、有名なコンクールで賞を取った、というだけで、よく聴こえたりもするのです。

 コンクール入賞者、という肩書きが、リサイタルの客数を増減させます。

 コンクールで賞を得るというのは、音楽家として活動するうえで、大切なステップです。


 ところで、コンクールの審査が正しくなされているかは、音楽を愛する観客たちが見ています。


 過去には、審査員のコネクションや、主催者の圧力で、賞が左右されたことがありました。

 明らかに賞にふさわしくない演奏家が選ばれることが多々あったころ、ギルモア王国は、コンクールの審査内容を、赤裸々に公開するよう、指示を出しました。

 演奏家の雄志が立ち上がったのです。コンクールが私利私欲に利用されることを憂えてのことでした。


 それ以来、国際コンクールでは、どこの国でも、審査内容が公開されるようになりました。

 審査員の審査自体が、審査されるようなものです。


 不正が疑われるコンクールは、誹られるようになり、今日にいたります。


 この歴史的経緯により、ギルモア王国で行われるコンクールは、厳しい審査を行うことでも有名です。

 過去のコンクールでも、該当者ナシが、珍しくありません。

 とくに国の名をいただいたギルモア国際音楽コンクールはそうです。


 だからこそ、ギルモア国際音楽コンクールでの賞は重みがあります。


 ソラの演奏が始まりました。

 技術の高さは神々しいほどです。

 とはいえ、この高レベルのコンクールに出場するピアニストたちは、誰もみな、技術レベルは高いのです。


 技術だけではない、演奏の魅力というものが求められます。

 若いソラは、熟練した深みに欠けるかもしれません。

 その代わり、透き通るような純粋さ、若さゆえの甘い優しさがあります。


 ここまで甲乙付けがたいレベルになりますと、もう、あとは、審査員の価値観・・まぁ、好みと言いますか、そういう微妙な配点が、賞の行方を決めるのでしょう。


 私の耳に届くソラの演奏には、今までにないほど、激しさも感じられます。


 ソラの演奏が終わると、会場は拍手のるつぼとなりました。


「まぁ、本当に素晴らしいわ。

 あなたの甥御さんは、天才ですわね」

 大叔母様が、スズナ叔母様の耳元に、拍手しながら言いました。

 なにしろ、会場中が拍手に包まれてますので、会話ができません。

「ええ、もう、ホントに、我が家の誇りですわよ。

 それなのに、あのボンクラは、ソラをピアノから遠ざけようと画策してたんですからねっ」

 とスズナ叔母様。

 ボンクラが誰のことか、私、判ってしまいましたわ。


 ソラは、演奏が終わったあとも、こちらの席には来ない予定です。

 スズナ叔母様のそばで、ジュンヤさんたちが待ち構えているからです。

 私たちは、予め、手紙のやり取りで、打ち合わせをしておきました。

 ソラには、幻惑の魔導具の予備を渡してあります。

 ソラは、魔導具で姿を変えたのち、少し離れた客席で審査結果を待つ予定です。

 幻惑の魔導具は、一見しただけでは判らない程度には、姿を変えられますが、それほど強力な魔導具ではありませんので、よくよく見れば判ってしまう場合があります。

 とくに、ジュンヤさんのように、ソラを見慣れているひとには、感づかれる怖れがあります。近づかない方がいいでしょう。


 ソラは、ジュンヤさんとレミさんを、本気で避けています。


 ジュンヤさんに関しては、「顔を見たり声を聴いたりすると腹が立って、殴りたくなるから会いたくない」だそうです。

 ソラは、レミさんのことを、「あの音楽を冒涜する聖女に会うと、音楽の運が逃げるような気がするから近づきたくない」と言っています。

 レミさん・・聖女ですよね・・。運が逃げる気がする聖女って、言われちゃってますよ。

 離れてさえいれば、忘れていられるので、とにかく、会いたくないのだそうです。


 そういう事情で、ソラは、もしも入賞できたら、舞台で幻惑を解いて授賞式に臨みますが、それ以外のときは、身を隠している予定です。

お読みいただきありがとうございました。

また明日午後6時に投稿いたします。

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