36)ギルモア王国へ
本日の1話目の投稿です。
今日も2話投稿する予定です。
2ヶ月後。
私は、エレイン王妃音楽コンクールに出場するため、ギルモア王国に向けて旅立ちました。
アヤノ大叔母様と、大叔母様の侍女や従者と一緒です。
本当は、ソラが出場するギルモア国際音楽コンクールに参加したかったのですけど、ピアノと竪琴部門だけで、声楽部門がなかったのです。
その代わり、1週間遅れでエレイン王妃音楽コンクールという声楽のコンクールがギルモア王国王都で開かれます。
アノス王国で行われた予選は無事通過しました。
ギルモア王国は、アノス王国の隣国で、古くからの同盟国。商人の行き来も活発で、互いの国境の警備も緩やかです。
今回のような国際コンクールの予選は、アノス王国でも行われます。
ギルモア王国まで、アノス王国の王都から、3日ほどの距離です。
学園のほうは、コンクール参加のためのお休みはすぐに許可が貰えました。
「カリンが舞台で歌うのを聴けるなんて、楽しみだわねぇ」
と大叔母様。
アヤノ大叔母様は、王都よりもギルモア王国にほど近い領地で暮らされているので、このたび、お父様が、私の付き添いをお願いしてくれました。
「精一杯、頑張りますわ」
「ウフフ。
それで、カリンが婚約する予定の男の子にも会えるわけね」
「はい・・」
恥ずかしいです。
お父様も、ヒロトお兄様も、大叔母様にも、みんな、私とソラのことや、いろんな事情を話してあります。
大叔母様は、私の恋バナに手を叩いて喜ばれました・・そんなに喜ばれる理由がわかりませんが。私にとっては、障壁だらけの恋でしたので。
◇◇◇
旅は順調に進み、無事に、ギルモア王国の国境を越えました。
休憩を挟みながらも、陽のあるうちに、予め手配してあった宿に到着です。
今日は、ソラとソラの叔母様が、宿のレストランまで来てくださって、一緒に夕食をとる予定でした。
ソラと会うのは2ヶ月ぶりです。
旅の疲れをお風呂で癒やし、大叔母様の侍女に手伝ってもらって着替えました。
今日は、ソラの叔母様とお会いするので清楚な感じに装います。
時間ちょうどに、ソラの叔母様が来られました。
ソラの叔母様は、スズナ・ナミト様です。
「ホントに可愛らしいお嬢さんね」
スズナ様が褒めてくださいました。
「ありがとうございます」
顔が火照ります。
「それで、甥御さんは・・?」
とアヤノ大叔母様。
「ソラは、少々、寄り道して来ますわ。
招かれざる客が来ていたものですから。
こちらまで付いてきてしまったら、うるさいですからね」
スズナ様が、涼しげに仰いました。
「オホホ。甥御さんは、ずいぶん、モテますのねぇ」
「ああいうのにモテても、自慢できませんわねぇ」
スズナ様がため息をつきます。
しばらく談笑していますと、ソラが、ようやく到着しました。
髪が少々、乱れています。
「遅れてすみません。
初めまして。ソラ・トキワです」
ソラは、息を整えて、大叔母様に挨拶をしました。
私たちは、食事を注文しました。
大叔母様と叔母様が、おしゃべりをしている間、私とソラも言葉を交わしました。
「コンクール前の大切なときに、ごめんなさい、ソラ」
「まだ5日もあるから、いいんだ。
カリン、会いたかった」
「私も・・」
いつの間にか、大叔母様たちが頬笑ましげに私たちを見ています。
「招かれざる客というのは、どなたなんですの?」
と大叔母様。
「父方の親類の、ジュンヤとかいう生意気な男の子と、その友人の女の子ですわねぇ。
何度もいらしてるわ。
そのたびに、ソラはコンクール前の大切な時期だから、とお引き取りいただいていますの」
ジュンヤさんは17歳で、レミさんは16歳ですけれど、叔母様にとっては、男の子と女の子なのですね。
「何度もですか。
ジュンヤさんたち、学校はいいのかしら」
私は、つい、口を挟みました。
「しじゅう、休んでいるらしい。
卒業できるのか、他人事ながら気になるよ。
ジュンヤは、今回のギルモア国際音楽コンクールに出場しようとしていたが、予選で落ちたんだ。
ろくに練習しているように見えなかったから、当然の結果だ」
「ソラに、どんな用事なの・・?」
「聖女の聖歌の練習がどうの、とか言ってるみたいだね。
私は興味ないな。
彼女には、練習なんか要らない。
無駄だからね。
私に言わせて貰えれば、あれは、聖歌じゃなくて、ただ声を張り上げてるだけだよ」
「ホホホ。ずいぶん、すごい聖歌みたいねぇ」
と大叔母様。
楽しい時間は、すぐに終わってしまいました。
これからコンクールまでは、会わないでいます。
ソラの練習の邪魔をしたくありませんから。
別れ際、ソラは、私の頬を愛おしげに指で触れました。
「コンクールでは、私のすべてを込めて弾くよ」
「楽しみにしてます、ソラ」
ソラが頬に口づけしてくれました。
午後8時にも、2話目を投稿いたします。
よろしくお願いいたします。




