28)役立たずの前世記憶持ち
本日の1話目の投稿です。
今日も2話投稿する予定です。
私は、サヤ様に案内されて、ジュンヤさんたちが待っている部屋に行きました。
客間でした。
たしかに、クローゼットがあります。
あの中にソラが隠れているのですね。
息苦しくなければ良いのですが。
早く用事を済ませてしまいましょう。
ジュンヤさんが、「よく来たね、カリン」と不遜な笑みを浮かべています。
隣にレミさんも居ます。
レミさんは、相変わらず顔だけはかわいいです・・あ、私ったら、聖女に不敬なことを思ってしまいました。
「さっそくだけど、聞きたいことがあるのよ。
ウソをついてもダメよ。
真否判定の魔導具があるんだから、ね、ジュンヤ」
とレミさん。
「ああ。
正直に答えれば、問題ないよ、カリン」
ジュンヤさんの笑顔が黒いです。
ホント、残念美人ですわね、この方。
真否判定の魔導具とやらは、一見、きれいな水晶のようなものでした。
「じゃぁ、いくわよ。
ねぇ、カリン。
あなた。転生者でしょ?」
と、レミさん。
「転生者? なんですの? それ」
「転生者よ、転生者。
生まれ変わり!」
「え・・と・・。
だれでも、みんな、誰かの生まれ変わりではありませんの?」
「はぁ?
ねぇ、ジュンヤ、真否判定は?」
「ウソは言ってないようだ」
ジュンヤさんが、真否判定の水晶を見て言います。
「え~~。
そんなバカな。
じゃ、じゃぁ、前世の記憶は持ってないの?」
「あ、あの、前世の記憶は、ありますけど・・」
「前世の記憶がある?
じゃぁ、やっぱり、転生者でしょうが!」
「で、でも、まれに前世の記憶があるひとは居るものですわ」
「その前世の記憶が問題なのよっ。
話のわからないひとね!
『聖女のラブソング』を知ってるでしょっ」
「それは・・どんな歌ですの?」
「はぁ? 『聖女のラブソング』よっ。
『聖ラブ』っ。
知ってるでしょっ」
「し、知りませんわ」
「知らないって・・そんなバカな。
ジュンヤっ、真否判定!」
「本当に知らないようだよ」
「知らないの?
あの有名な乙女ゲーを?」
「乙女・・芸・・?
知りませんわ」
「あんた、じゃぁ、なにを知ってるのよっ」
「あ、あの、四角い大きな建物の街とか。
お母様とふたりだけの家庭だったとか、そういう・・」
「そんなことはどうでもいいのよっ。
私が言ってるのは・・あぁ、もうっ。
ジュンヤ、真否判定!」
「ウソは言ってないね」
「わかったわ。
この子、使い物にならない前世記憶持ちだわ」
「そんなのがあるのかい?
君の話では、前世記憶もちは、みな、予言が出来て、力を持ってるって・・」
ジュンヤさんが眉をしかめます。
「そのはずだったのよ! 少なくとも、私はそうなんだから。
気弱な神様に無理矢理おねだりたら、使えるスキル、貰えたし。
まさか、こんな低レベルの前世記憶持ちがいるなんて、判るはずないじゃない!」
とレミさん。
き・・気弱な神様にスキルをおねだりする・・?
聞き間違いかしら?
聞き間違いよね。
疲れてるんだわ、私。
「じゃぁ、どう考えればいいのさ?」
とジュンヤさん。
「知らないわ。
想定外ってやつよ。
はぁ・・。
疲れたわ」
レミさんは、どっかりと、ソファに寄りかかりました。
お行儀、かなり悪いです。
聖女らしくないです。
「でも、じゃぁ、他に原因があるということだろ?」
と、ジュンヤさん。
じゃっかん、途方に暮れた様子です。
「だから、判らないんだってば。
カイト様の攻略がちっともうまく行かないから、てっきり、この子が邪魔してると思ったのに」
「ソラの攻略もだろ」
「ソラ様は、ソラ様のお父様が私との婚約に乗り気だから、心配してないわ」
「カイトは諦めればいいんじゃないのか」
「それはそうだけど。
でも、この子の存在が変なのよ。
だって、カイト様の妹なんて、私が、ぜんぜん覚えてないくらいモブのはずなのよ」
「レミ。
モブってのは、どういう意味だい?」
と、ジュンヤさんが問いかけます。
ええ、私も、それ、聞きたいと思いました。
モブって、聞いたことがあるような気がするんですけど、なんて意味でしたっけ。
「雑魚って意味よ。
それくらい、覚えてよ、ジュンヤ」
「雑魚なら、雑魚って言ってくれよ」
「はいはい」
「で? この子はどうするんだい?」
「どうもしないわ」
「でも、いろいろ、聞かれただろ」
「きっと、意味が判ってないだろうから、いいわ」
「彼女を、君の魅了でコントロールできるようにすればいいじゃないか。
そうすれば、ソラのことを忘れさせられるし、カイトの件も、どうにかなるかもよ」
「なるほど。
それもそうね」
ジュンヤさんたちが、とんでもないことを言いだしました。
悪魔ですか、このひとたち・・。
また午後8時に、今日の2話目を投稿いたします。
よろしくお願いいたします。




