27)聖女とジュンヤの計略
本日の2話目の投稿です。
1話目は午後6時に投稿済みです。
あれから3ヶ月が過ぎました。
私は、物思うことが多くなりました。
ソラとなかなか会えないのがつらいです。
「最近、あのビッチは、ソラにせまってるよ」
と、カイトお兄様が不機嫌に言いました。
ビッチとは、レミさんのことです。
尻軽女、という意味だそうです。聖女の二つ名としては、かなり酷いものですね。
レミさんは、第二王子のシオン殿下や、騎士団長の子息のコウキ様とか、宰相子息のアヤト様とか、ジュンヤさんを侍らせて、まるでハーレムのよう、だとか。
ま、ジュンヤさんは女ですけどね。
そのうえ、ソラにまで手を伸ばしているなんて。
聖女って、モテるんですね。
私は、ソラさえ、居てくれれば良いです。
「レミ嬢は、魅了の魔法を使ってる、って、評判だよ。
ま、傍目から見たら、ホントにそんな感じなんだよな」
とお兄様。
「そんな魔法を学校で使って良いのかしら」
「悪いに決まってるさ。
ときどき、俺にもちょっかい出してくるんだけど、変な魔法を使われたら困るから、避けてる」
「お兄様には、ヒナタ様がおられますものね」
ヒナタ様は、カイトお兄様の婚約者です。
ほんわかしてて、優しげで、綺麗で、素敵なお姉様なんです。
ヒナタ様のほうが、よほど聖女っぽいんですけどね。
カイトお兄様とヒナタ様は、ラブラブなのです。
「ヒナタのほうが、ずっと可愛いからね」
と、カイトお兄様。
「はいはい。
お二人が幸せいっぱいなのは存じてます」
「ソラの父親の公爵が、最近、聖女とソラを婚約させようと動き始めたみたいだから、そろそろ、ソラは、行動を起こすかもしれないな」
とカイトお兄様。
「判りましたわ。
私、荷造りします」
「カリン。
荷造りはいいけど、ソラが動いてからだよ。
あまり早くカリンがあれこれやって、周りがなにか感づいたら困る」
そうでした。
私の家出は、まだずっと先でした。
◇◇◇
数日後。
今日は、サヤ様に、お茶会に招待されました。
月に一度ほど、サヤ様は、お茶会を開かれ、そのたびに、招いてくださいます。
ソラとは会えないけれど、茶会で、ソラの話が聞けます。
サヤ様は、学園を卒業されていて、今は、花嫁修業中です。
サヤ様の婚約者は、宰相のご子息です。
ちなみに、レミさんの側に居るのは宰相の次男のかたで、サヤ様と婚約されているのはご長男だそうです。
この日、私は、サヤ様に言われて、お茶会の始まる時間より、かなり早めに公爵家を訪れました。
なにか用事がある、という話でした。
「早くに来てもらって、ごめんなさいね」
サヤ様が申し訳なさそうに言います。
「いえ、かまいませんわ。
どんなご用事ですの?」
「実はね。
ジュンヤとレミ嬢が、カリンに話しがあるそうなの。
それで、3人きりで話せるように、カリンを呼び出すよう頼まれたのよ」
「3人というのは、レミ嬢とジュンヤさんと、私の3人ですの?
サヤ様は?」
「ええ。私は居てほしくないそうよ。
失礼よね」
サヤ様は、肩をすくめました。
公爵令嬢でらっしゃいますので、不機嫌を顔に出されることはありませんが、密かにお怒りなのが判ります。
サヤ様は、「本当は、断りたかったんだけど、お父様が、レミ嬢のご機嫌取りに夢中なのよ」と忌々しげに言います。
・・サヤ様・・だんだん、遠慮なく表情を出されるようになりましたね。
「どんな話があるんでしょうね」
私は、少し不安でした。
あのふたりには良い印象はありませんので。
サヤ様は、「うーん、それがねぇ」と思い煩うような顔をし、
「あのね、レミ嬢は、どうも、良い評判と悪い評判があるのよね」
と言いました。
「そうなんですか」
「ええ。
まずは、良い評判。
レミ嬢の聖女の力が発現され始めたのは、国教の本部のお墨付きなのよ。
光魔法の力は、とても強い方らしいわ。
それから、悪い評判は、魅了の魔法スキルを持っていて、第二王子のシオン殿下と、騎士団長のご子息のコウキ様を籠絡してしまった、という噂ね」
「・・聖女らしくない行いですわね」
「そうでしょ。
レミ嬢は、宰相のご子息も狙ってると、もっぱらの評判なのですけどね。
でも、アヤト様は、精神魔法封じの魔導具を持つようにして、防いでいるとか。まぁ、噂ですけれどね。
アヤト様は、シオン殿下を心配して一緒に居るらしいけれど」
「危険人物ですわ」
「そうね。
おまけに、うちのソラにまで近づいてるんだもの。
そんなわけで、ジュンヤとレミ嬢が、カリンになにを話そうとしているのか・・興味があるのよ」
「なるほど。
たしかに、興味はあります」
「それでね、小細工をしておいたわ」
「こ・・小細工ですか?」
「ソラが、クローゼットに隠れてるわ。
あなたが心配だから」
「クローゼットに?
ソラは、大丈夫でしょうか・・」
「ソラより、カリンの方が危ないでしょうに。
だって、ジュンヤは乱暴者よ。
あのレミ嬢も、変なひとだし」
「え、ええ、たしかに・・」
「ソラは、最初のうちはカリンを心配して、辞めたがってたんだけど、けっきょく折れたのよ。
彼らがなにを企んでいるか、知るチャンスだものね。
少し、嫌な思いをするかもしれないけど。
どうする? カリン」
「行きますわ」
「ウフフ。
頑張ってね、カリン」
お読みいただきありがとうございました。
また明日午後6時に投稿いたします。m(_ _)m




