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20)隠れ悪役キャラ再び

いつもありがとうございます。

本日、1話目の投稿です。

今日は2話、投稿いたします。

 お暇するために部屋を出て廊下を歩いていますと、ジュンヤさんが居ました。

「あれ? また来てたのか」

 とジュンヤさん。

 私を玄関まで送るためについていたソラが、

「そういう言い方は止めてもらえないか」

 と、じゃっかん、不機嫌に言いました。


「ソラは、良い家に婿入りする予定なんだ。君には見込みないんだぜ」

「ジュンヤ、止めろ」

「来ても無駄だよ」

「止めろと言ってるだろっ」


 私は、ため息をひとつつき、

「存じております」

 と答えました。


「ついでに言うと、婿入りした家に第二夫人で入ろうと考えているとしたら、止めたほうがいいよ。

 針のむしろだからな」

 ほくそ笑みながら、ジュンヤさんが言います。


 ええ、そうでしょうね。

 肩身の狭い婿の第二夫人なんて。立場が微妙すぎます。

 でも、だからなんだというのでしょう。

 結婚ができないから、友達付き合いも出来ないなんて決まりでもあるのでしょうか。


「出て行けっ。消えろ、ジュンヤ」

 ソラが怒鳴りました。

「ふん。

 彼女のために言ってやってるんだぞ」


 ソラは、ジュンヤさんを無視して、私の手をひいて玄関まで連れてきてくれました。

「カリン、気にしないでくれ」

 ソラが私の肩に手を置いて言いました。

 気遣わしげな、つらそうなお顔です。

 どんな表情でも、ソラは素敵なんですね。ずるいです。

 私は、頬笑もうと思ったのですが、さすがにムリでした。

 涙をこらえるのが精一杯で。


「大丈夫ですわ。今日は、お暇しますね」

 なるべく和やかに言いました。

「また来て。

 これに懲りないで」

「ええ、うかがいますわ」

 今度は、少し頬笑むことができました。


 邸から出て、私は、雨の匂いに気づきました。

 鑑定スキルの鍛錬の成果ですわね。

 天気予報は、お手の物になってしまいましたの。

 なかなか便利です。

「どうしたんだい?」

 首をかしげたソラに、私は告げました。

「ほどなく、雨が降りますわ」

「雨が?」

 ソラは、空を見上げます。

 少し、空の水色に灰色が紛れているような気がしますが、雨が降るようには見えないかもしれません。


「サヤ様たちが、お庭でお茶にしているようですが、教えてさしあげてください」

「そうだね。

 カリンの天気予報は当たるから、伝えておこう」

「ええ」

 私がうなずくと、ソラは、私の腕に手をかけ、声を潜めて言いました。

「カリン、君は、もしかして、聖女かい?」

「え? いえ、まさか。

 違いますわ」

「でも、枯れた草木を癒やすことができるだろう?」


 そうです、私は、枯れかけた鉢植えを治すのが、けっこう、得意です。

 ソラの邸の鉢植えを、元気にしてあげたことがあるのです。

 でも、必ず治せるわけではないんですけどね。

 鑑定の能力が上がりましたので、私は、元気のない鉢植えが、なぜ病んでいるのか、知ることが出来るのです。

 そして私は、中級程度の治癒魔法が使えます。

 草木の病んでいる原因を治してあげるよう想いを送りながら、治癒を施しますと、鉢植えが元気になる場合があるのです。

 でも、それは、聖女だからじゃありません。

 治癒魔法と鑑定スキルを使えれば、だれでも出来ることです。

 私は聖女のような、唯一無二の存在ではありません。


「それは、私の持っているスキルと属性魔法のおかげなんです。

 聖女のような万能の能力は、私にはありませんわ」

「そのスキルって?」


 ソラに問われて、私は、ためらいました。

 お父様に、鑑定スキルのことを言わないよう、言われていたからです。


「私にも言えないことなんだね?」

 ソラが寂しそうに言います。

 私は、とっさに、「いえ、ソラになら、お話してもいいですわ」と答えました。

 信頼できる方になら、悪いことはないだろう、と私は判断したのです。


「ありがとう」

 ソラが、少し私に近づきました。

 私も、秘密の話をするために、ソラの耳元に顔を近づけます。

「あの・・私のスキルは・・」


 ドキドキします。

 始めて、家族以外に、スキルを告げるのですから。

 声がかすれそうです。

 ・・と、告げようとした瞬間、私は、いきなり、ソラから引き離されてしまいました。

「え・・?」

 振り返ると、いつの間にか近づいていたジュンヤさんが、私の腕をつかんで、引き寄せていました。


「いったい、なにをしてるんだ!」

 すごい勢いで怒鳴られてしまいました。

「ジュンヤ! 邪魔をするなっ!」

 ソラ・・お怒りです。

 話の途中で、しかも、肝心なときに邪魔されたのですから、ね。


「こんな人目のあるところで、ふしだらですわっ」

 レミ嬢です。

 まさか、また彼女が湧いて出ました。

 そういえば、ジュンヤさんとレミ嬢は、ソラと同じ学校でしたっけ。


「話をしていただけだ」

 ソラがレミ嬢に、脱力気味に言いました。

 だんだん、事態が修羅場化してきました。


「ソラ、私、今日は、もう、帰ることにいたします」

 私が告げると、ソラはため息をつきました。


「しょうがないね。

 カリン、また今度」

「はい」


 私は、そそくさと、トキワ家をあとにしました。


 馬車が走り出してしばらく後、ぽつぽつと、雨が馬車の屋根を叩く音が鳴り始めました。

また午後9時に、本日の2話目を投稿いたします。

よろしくお願いいたします。

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