12)ソウタ・トラウ音楽コンクール
今日の投稿も一つだけになります。またまた短いです、すみませんm(_ _)m
さて・・。これで、無事にコンクールは終わり、と思っておりましたら、違っていました。
ユイナ妃音楽コンクールは、歴史あるコンクールだけあって、国内では権威があります。
ですので、ユイナ妃音楽コンクールの入賞者は、ソウタ・トラウ音楽コンクールの出場資格をもらえます。
つまり、ソウタ・トラウ音楽コンクールの予選に出ることなく、出場できるのです。
私が入賞に浮かれている間に、ピアノの師匠とお父様とおふたりで、いつの間にか、ソウタ・トラウ音楽コンクールの出場申し込みをされてしまったのです。
そんな~~ムリムリムリムリムリ・・・。
私が青ざめていると、ソラ様が、
「カリン、一緒に出よう」
と手を握ってくださいました。
あぁ・・ピアノの上手な貴公子に、私が逆らえるわけがないのです・・。
呆然状態の私と、お父様やお兄様、それから、ソラ様と叔父様、みなで帰ろうとしていますと、あの、ちょっと変なご令嬢が現れました。レミ・・嬢でしたっけ?
彼女は、ソラ様に駆け寄り、いきなり彼の手を握り、
「ソラ様! ぜひ、ソウタ・トラウ音楽コンクールに出場してください!」
と熱烈な様子で言いました。
なるほど。どうやら、彼女は、ソラ様のファンなのでしょう。
ソラ様のピアノは素晴らしいですから、気持ちはわかります・・少々、言動におかしな点はありますが。
「あ、ああ。出場するよ」
ソラ様は、じゃっかん、戸惑いながら答えました。
「そう仰らずに、ぜひ・・え? 出場するの?」
レミ嬢は、かわいらしい目を目一杯開いて、ソラ様に問います。
彼女は、いったい、何を驚いているのでしょう。
「する・・」
ソラ様は、ますます戸惑った表情になりました。
「え・・でも、え? ホントに?」
「ああ。
出場する」
ソラ様がきっぱりと言いますと、レミ嬢は、「変ね、私の説得の必要が・・」などと意味の判らないことをぶつぶつとつぶやいてから、
「そ、そうですか、ええ、ぜひ、出場してください。
ええ、それは、良かったです。
きっと入賞しますわ。
ええ、ええ、私には判りますもの」
と、ソラ様を激励しています。
「あ、そう。
じゃぁ、僕はこれで」
「え? ええ。あ、えっと、でも、あの・・」
なぜかうろたえているご令嬢をその場に残し、私たちは会場を後にしました。
ありがとうございました。
また明日、午後7時に投稿する予定です。