1)プロローグ
完成原稿が続くうちは1日2回、夜7時と8時に投稿します。
定番というか、定型モブ令嬢モノですので、そういうので良い方へ。
けなげで可愛い系モブ令嬢が好みで自分でも書いてみたい欲求が抑えられず・・(^_^;)。
【プロローグ】
あれは4歳くらいのころですか。
私は、ご機嫌で、歌を歌いながら絵本をめくっていました。
ふん、ふん、ふっふふ、ふんふん。
お気に入りの歌です。
まん丸い菓子パンの勇者が、自らを犠牲にして民を助け、悪者を退治する物語の歌です。
楽しくも勇ましい物語を、ぼんやりと覚えています。
でも、歌詞が判りません。
ただ、メロディは知っていたので、鼻歌で歌っていました。
お父様が、
「カリンは、歌が好きだねぇ。お母様に似ているんだね」
と目を細めます。
お母様は私が3歳のころ亡くなりましたので、このときには、もう、お空のひとでした。
ふふふんふん、ふっふ、ふん。
私はなおも歌い続けます。
「ずいぶん、不思議な歌だね」
と、首をかしげながらお父様が言います。
「お父様も知ってる歌よ」
と私。
「そうかい? 判らないなぁ」
「甘い菓子パンの勇者が、悪者をやっつける歌よ。
前に、一緒に歌ったでしょ」
「え?」
と、お父様の目が丸くなります。
「一緒に、歌ったもん!」
私が言い張りますと、
「お父さんは、お母様と違って、歌は上手くないから・・」
お父様が、しどろもどろに言い訳します。
「歌ったもん、歌ったもん、お父様の忘れん坊!」
私が泣きながらお父様にしがみつくと、お父様は私を抱きしめてくれました。




