表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺だけ初期ジョブが魔王だったんだが。  作者: 夜明
第1章 魔王活動、始めます。
7/23

第1章 7話 「圧倒的戦力戦 #2」

俺が【剣士】を倒して、リリスが【騎士】と【魔術師】を瞬殺したので、残りはカイザーと【武闘家】【魔術師】【僧侶】を倒すのみである。


ちなみに俺が【剣士】を倒した際、胴体装備の【ネクロファージレイブンローブ】の能力が働いた。HPをゼロにした相手の残りMPの1/5を吸収、回復させることができる。

ごく微量なので言うまでも無かった事だが。



「こ、こいつら何だ..?!」


「チートだ!不正行為はAESの永久利用停止だからな!」


まあチートっちゃそうかもな。故意じゃないからセーフとしてくれ。


「良く分からないが貴様ら如きが馬鹿にしていい御方ではない!」


リリスはスキル後硬直から解放されると、「チートだ!」と叫んだ【魔術師】に向かって走り出す。


「さっきの衝撃波はもう食らうかよ!」


【魔術師】は杖を上から下へ縦にふるう。


「【メテオライト】!!!!」


巨大な隕石が高速で落下してくる為、迂回せざるを得なくなる。


「ちっ」


隕石は凄まじい音を立てながらリリスの目の前に降り注いだ。バックステップで避けるとリリスは落ちてきた隕石に向かって右手を伸ばす。


再び時空を曲げるようなギュワンッという鈍い音が、連続してフィールドに鳴り響く。


「嘘だろ?」


【魔術師】は慌てて防御魔法を発動し目の前に巨大な半透明のシールドを何重にも出現させた。


【僧侶】は【魔術師】が出した半透明のシールドに強化魔法をかける。結果、5枚のシールドの厚さが2倍程になり並の攻撃じゃ1枚も突破できない、即席ながら優秀な連携プレーを披露した。


隕石がシールド目掛け一直線に吹っ飛ぶ。パリン。パリン。パリン。割れはするがその威力は確実に落ちている。


【魔術師】はシールドの維持するため必死に堪える。【僧侶】は彼に付加魔法をかける。

暫くすると隕石は四枚目のシールドにひびを入れた後消滅した。


「どうだ、止めてやったぜ!」


【魔術師】は満足気に言い放ち【僧侶】の方に振り向いた。その瞬間身体が重くなった。


「はっ?」


【僧侶】が何故か味方の自分にデメリットしかない鈍足魔法をかけている。かけ終えると次は麻痺魔法をかけるための詠唱を始めた。その目は虚ろというか、どこか気が抜けている。


「おいお前!ふざけんな!」


【魔術師】の身体に弱い電撃が走り体を制御できなくなる。そのままその場に崩れた。


「貴方はもういいわ。死んで」


【僧侶】はいつの間にか現れたリリスにより無抵抗のまま大鎌で首を狩られる。【僧侶】はエフェクトに変わり、弾けた。


「【デビルズ・テンプテーション】。かなりの格下の異性にしか効かない技だけど...。喧嘩を売る相手を見誤ったわね。」


「くそっ!」


麻痺状態で動けない【魔術師】はリリスの鎌で首を狩られる。三撃目で【魔術師】のHPが底を突いた。




一方その頃....


「おい、こいつの近くに居るとAGIが極端に減る!近付くな!」


「厄介なパッシブスキルだが気付いたらなんてことねぇ。遠距離からじわじわ減らしてやるぜ」


カイザーと【武闘家】は俺から距離をとり剣と拳を構える。こうなると厄介だ。俺はまだ【魔王】だけがLv upで覚えられる基本のアクティブスキルを三つしか持ってない。


となると、使った事ないけど使ってみるか。


「【従属者召喚】」


そう言うと目の前に魔物の名前と特性がズラリと並ぶ。魔物の名称を頭の中で念じるとステータスや特徴の説明が出てきて、魔物の名称+「召喚」と言うと実際に召喚できるらしい。基本的に指定しない限り、魔物のLvは自分と同じレベルで召喚される。


<第三位従属者>の中にも強さの序列はあるらしく、消費MPはばらばらだが俺のMPは底無しみたいなもんなので気にしない。


とりあえず急を要するので適当に出してみる。


「<第三位従属者> リトルワイズマン100体召喚!」


リトルワイズマン。深く帽子を被った身長1mくらいの小さな魔法使いである。INTは高いが他のステータスが(ろく)でもないので倒すのは結構容易だろう。


しかし、それは単体のみでの話。集団ともなると処理しきれなくなりかなり手古摺(てこず)るはずだ。しかも俺の周りに配置する事であいつらは不用意に近付けない。


「魔物召喚?!それが奥の手って訳かよ!」


「でもこの数出したってことはMPはもう殆ど残ってない筈だ!こいつらが魔法発動する前になるべく多く処理するぞ!」


カイザー、中々リーダーシップ性を発揮するじゃないか。伊達(だて)にグループのリーダーやってる訳じゃないらしい。


ただ一つ惜しいな。

おれのMPは3割しか消費されていない。



「リトルワイズマン、全員あの2人に【ファイアボール】!」


無数の赤い玉が小さな杖から大量に放たれる。一斉放射した【ファイアボール】はスピードこそそこまで無いが、数の暴力により確実に相手のHPを削った。


「1体1体は雑魚だ!残り70体程度は早く処理するぞ!」


第二波を発動する前にどんどん数を減らされていくリトルワイズマン。


「リトルワイズマン!【武闘家】を一点狙い!」


命令したことに背く事なく仕事をこなしている。パッシブスキルの【カリスマ】のお陰だろう。


「う、やめろ!ああああぁぁ...!」


【武闘家】を何とか消滅させたがカイザーが残っている。リトルワイズマンの数は10数体にまで減っている。


「よし、勝機が見えてきたぜ」


そう呟くとカイザーは半径3m内に入ってきてAGIを半減させた。が、俺とリトルワイズマンは足が遅いので関係無いと踏んだのだろう。事実リトルワイズマンは全て殺された。


【魔剣ブロウ】でカイザーの攻撃を受け流す。というか全部吸収してるがな。


カイザーの攻撃は中々早くDEXは俺より上な気がした。早さに付いていくのが精いっぱいである。互いの剣先が剣戟を鳴らす。鳴らす。鳴らす。


細かく速く鋭く。槍のような猛攻撃に遂に敗れた。ある一撃が俺の肩を貫いたのだ。


「よしっ!よしっ!」


子供のような反応で喜びを露わにする。だが与えたダメージをみて驚きの表情を見せる。


「は?与えたダメージが低い?まさかVITも高いのかよ!」


「お前が弱いだけだ。」


【カルネージペストマスク】。30秒間中27秒間で受けた攻撃回数は50数回。半減して下がったステータスで俺のHPは一撃では削りきれなかったらしい。


肩にカイザーの剣をくらいながら、俺はカイザーの頭に手を置いてこう呟いた。




「【弱肉強食】」




カイザーは、何言ってんだ?と言いたそうな顔でこちらをみている。もっとも【カルネージペストマスク】でこちらの表情などは何も読み取れていないだろう。



カイザーの体は一瞬にしてエフェクトに変化し、そして弾けた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ