レソトの軍事 ‐ ウィキパディア
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レソトの軍事
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レソトの軍事について解説する。
レソト共和国には国防組織としてレソト軍と呼ばれる軍が存在しており、レソト軍の構成は陸軍、海軍、空軍、国家情報軍、レソト騎馬警察隊の4軍1隊で構成されている。国内の治安維持はレソト騎馬警察隊が担っている。警察と軍の関係は良いとは言えず現在でも緊張の関係となっており、1997年にはレソト軍とレソト騎馬警察隊による大規模な抗争が発生した。
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目次
1.組織
2.概要
3.国防
4.歴史
4.1第一次レソト戦争
4.2教訓
4.3第二次レソト戦争
4.4内戦
4.5クーデター
5.レソト軍の装備
5.1装甲車両
5.2海上船舶
5.3航空機
6.軍需産業
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組織
・レソト軍
・陸軍
・東部方面軍
・西部方面軍
・北部方面軍
・南部方面軍
・海軍
・沿岸警備艦隊
・空軍
・航空旅団
・国家情報軍
・レソト騎馬警察隊
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概要
レソトの軍事力は基本的に平時21万の兵力を保有している。レソト軍は徴兵によって兵力を補充しており、レソト騎馬警察隊は志願制となっている。また、レソト軍はアフリカにおいて最も機械化された軍隊の一つとも言われており国家人口から見て同規模の国家と比べると強力な軍事力を有している。しかし、その強大な軍事力を維持する為にレソト政府は年間で国家予算の3割から4割という近年に入ってようやく国家経済の建て直しが上手くいったとはいえ、現在のレソトの国家予算事情から見れば膨大な金額の予算が投入されており、レソトの国民生活に暗い影を落としている。
・陸軍
レソト陸軍は東部方面軍、西部方面軍、北部方面軍、南部方面軍の4つの方面軍で構成されている。このうち、東部方面軍、西部方面軍、北部方面軍は大陸本土の防衛を担っており、南部方面軍はニューシェビー島の防衛を担っている。東部方面軍、西部方面軍、北部方面軍は1個方面軍につき5万人の兵力を有しており高度に機械化された部隊編成となっている。しかし、南部方面軍はその存在が事実上形骸化し兵力は分隊規模となっており、現在ではニューシェビー島の警備活動と自然保護活動を行っている。
・海軍
レソト海軍は基本的に沿岸海軍でありイギリス製の艦艇1隻とソ連製の艦艇を2隻保有している。海軍は海上警備を担っている。
・空軍
レソト空軍は旧ソ連製の航空機と自国で製造した航空機を僅かに運用している。空軍は基本的にレソトの防空任務を担っている。
・国家情報軍
レソト共和国の諜報組織。
・レソト騎馬警察隊
レソト共和国の治安組織。
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国防
レソト共和国の国防は大陸側においては東部方面軍、西部方面軍、北部方面軍が中心となって行われている。また、ソ連時代から同盟関係にあるロシア連邦軍の基地もレソト国内には存在しており、ロシア海軍やロシア空軍の基地も存在している。その為、有事の際にはロシア連邦軍もレソトの防衛を担う。
・ニューシェビー島
ニューシェビー島にはソ連時代に建設された海軍基地、空軍基地、ソ連科学アカデミーの研究機関施設などが存在しソ連崩壊後の現在でもこれらの施設はロシア連邦の名義でロシア軍の管轄施設となっている。しかし、ニューシェビー島にはロシア軍はすでに駐留しておらず、これらの施設は旧首都等と共に長年放置されている。放置されている施設の中にはソ連が建設した南半球最大のソ連軍潜水艦基地も含まれているが、この基地には未だに旧ソ連海軍の潜水艦が6隻も放置されている状況である。
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歴史
レソト軍の始まりは植民地時代にイギリスによって設立されたイギリス陸軍駐バストランド警備隊である。バストランド警備隊はレソトのイギリス人を中心に結成され第二次世界大戦においては、北アフリカ戦線などにも参加した。後にこの組織は独立後にレソト軍の母体となった。その後、レソトでは2度の戦争と内戦、クーデター等の事件が発生するようになるが、レソト軍は常にその中核であった。
・第一次レソト戦争
1956年のレボン大統領による大レソト主義の表明の後にレソト軍が南アフリカとの西国境線を突破し1957年5月1日に発生した戦争である。19万人近くのレソト軍兵力が投入された。この時のレソト軍は大半の戦力が歩兵部隊で構成され装甲部隊は僅かしか存在しなかったが初期の戦闘においてはレソト軍が優勢の戦況となった。しかし、レソトよりも遥かに強大な軍事力を有していた南アフリカはすぐに反撃を開始し戦争は9月には終結、占領地も全てが南アフリカ軍に奪還されレソト側は実質の敗退だった。
・教訓
第一次レソト戦争はレソト軍に自動車、装甲戦力の重要性という教訓を伝えた。第一次レソト戦争ではレソト軍は敗退したが、戦争当初、レソト軍が有していた唯一の軽戦車中隊を有していた自動車化大隊は南アフリカ軍に対して大きな戦果を納めていた。この軽戦車中隊の装備は旧式の装備ではあったが、第二次世界大戦のアフリカ戦線でも活躍したイギリス人将校チャールズ・マークマン大佐の指揮によって電撃戦を展開し南アフリカ軍に恐れられた(しかし、同部隊は戦争中にチャールズ大佐が戦死し部隊も壊滅した)。この部隊の戦果を戦後重要視したレボン大統領は軍の機械化を急がせた。レソト軍はヴィッカース・クロスレイ装甲車型の装甲車を国内の自動車工場で大量生産し、さらにクロスレイ装甲車を発展させた兵員輸送車や自走砲等も開発され生産された。
・第二次レソト戦争
1966年、レソト軍は再び南アフリカとの西国境線を突破し第二次レソト戦争がはじまった。この時、レソト陸軍の戦力は装甲車、自動車あわせて2300両以上にも及んだ。この大部隊による初期の電撃戦は大成功を治め、ローデス、エリオット、ムカンドゥリ、コーヒーベイまでの南アフリカ地域を占領に成功した。この戦争にはソ連軍の軍事顧問団やソ連空軍の部隊も参加した為、戦争自体は南アフリカがソ連の本格参入を危惧していた面もあり僅か約3ヶ月という早期で終結したが、南アフリカは前回の様に全土奪還は果たせず、コーヒーベイ、ウムタタと付近の地域一帯がレソトの支配地域のままとなった。
・内戦
1967年1月2日、国内で圧政を敷いていたレボン大統領が首都ニューシェビー島の市街地で交通事故によって死亡した事で国内ではこれまで封じ込められていた国民の不満の声が爆発した。そんな最中、ジョージ・レドボ軍司令官が大統領に就任。しかし、これに反発した一部の住民が旧北バストランドにて武装蜂起し内戦が勃発した。これに対して、ジョージ大統領は軍を投入し5月20日、反体制派が討伐された。
・クーデター
レソト共和国では歴史上数回に渡ってレソト軍によるクーデターが発生している。近年で最も有名なのは1994年にサティー・バーマン大佐率いる王政派青年将校らが軍政を敷いていた当時の軍司令官を暗殺しその後、サティー大佐を中心に新たな軍事政権を樹立させたクーデターが有名である。
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レソト軍の装備
・歩兵火器
〔AK‐47〕
〔IMIガリル〕
〔M16〕
〔FN MAG〕
〔短機関銃〕
〔7,62mm機関銃〕
〔ブレン軽機関銃 Mk‐III〕
〔その他国産火器〕
・装甲車両
レソト陸軍はアフリカにおいて最も機械化された軍隊の一つとも言われている。その理由はレソト陸軍が保有している車両装備の数であり、その総数は装甲車だけでも3600両以上にも及び、国家人口から見て同規模の国家と比べると過剰とも言える程の戦力を有している。以下は保有車両一覧。
〔Mk.VIIテトラーク軽戦車〕
第一次レソト戦争で使用された軽戦車。第一次レソト戦争後にも壊滅した戦車戦力の補填の為に生産が行われたが、南アフリカ軍の戦車には対抗できないとされた為、5両のみの生産となった。現在では記念車両として保存されている。
〔ダイムラー装甲車〕
レソト陸軍において3両が運用されている。第二次レソト戦争前に戦車戦力の穴埋めとして期待され生産されたが南アフリカ軍の戦車には対抗できないとされた為、5両のみが生産された。
〔AWL‐90〕
フランスから輸入した偵察戦闘車。5両を保有しているとされる。
〔RAMTA RBY偵察装甲車〕
イスラエルから輸入した装輪式の偵察装甲車。19両を保有。
〔ヴィッカース・クロスレイ装甲車M26b〕
レソト陸軍が最も多くの数を保有している装甲車。ヴィッカース・クロスレイ装甲車M26の半球形の特徴的な旋回銃塔を撤去し車体の上部に機関銃の銃座を設置したタイプ(レソト軍では半球形の特徴的な旋回銃塔は使用されていない)。第一次レソト戦争後に国内の自動車工場で大量に量産が行われた。この車両はレソト騎馬警察隊でも使用されている。
〔ヴィッカース・クロスレイ装甲車M27〕
ヴィッカース・クロスレイ装甲車M26bを6輪駆動に改造し量産された兵員輸送車。生産数はヴィッカース・クロスレイ装甲車M26bの次に多いとされる。この車両は以下の開発された多くのバリエーション車両の基礎とされた。
〔ヴィッカース・クロスレイ装甲車M28a〕
ヴィッカース・クロスレイ装甲車M27を元に車体後部に120mm対戦車砲を設置した自走砲。南アフリカ軍の戦車に対抗する為に開発され量産された。命中精度には難があったとされるが、現在でもレソト軍の対戦車装備の主力となっている。
〔ヴィッカース・クロスレイ装甲車M28b〕
ヴィッカース・クロスレイ装甲車M27を元に車体後部に多連装ロケット砲を設置した車両。122mm多連装ロケット砲や140mm多連装ロケット砲を搭載した物が複数確認されている。
〔ヴィッカース・クロスレイ装甲車M38a〕
ヴィッカース・クロスレイ装甲車M26bの後継車両として2007年に開発された最新モデルの装甲車である。ヴィッカース・クロスレイ装甲車M26をモデルにしているとされるが、原型は僅かに留めているのみで殆ど留めていない。機関銃の連装機関銃の銃座を車体上部と単装機関銃を車体の左右側面のドアに砲郭の様な形で設置し、合計で3基の機関銃を有している。
〔ヴィッカース・クロスレイ装甲車M38b〕
ヴィッカース・クロスレイ装甲車M26bの後継車両として2007年に開発された最新モデルの装甲車である。ヴィッカース・クロスレイ装甲車M26をモデルにしているとされるが、原型は僅かに留めているのみで殆ど留めていない。連装機関銃の旋回銃塔を車体上部と単装機関銃を車体の左右側面のドアに砲郭の様な形で設置し、合計で3基の機関銃を有している。
〔バストランド自走砲〕
第一次レソト戦争後に海軍が保有するウォーリア級海防戦艦バストランドの2基の25.4cm連装砲を転用して4両製造された現役の自走砲では世界最大の自走砲である。第二次レソト戦争で投入され南アフリカ軍の装甲部隊に対し猛威を振るった。現存車両は3両となっており1両は南アフリカ軍に拿捕され、2両がレソト軍に在籍している。車体はソ連軍の大陸間弾道ミサイル運搬車両を輸入して改造された物が使用されているが、命中精度自体はそこまで良くなかったとされる。
〔M40 106mm無反動砲〕
〔RPG‐7〕
〔L118 105mm榴弾砲〕
〔L16 81mm迫撃砲〕
〔対空ミサイル〕
・海上船舶
レソト海軍は3隻の艦艇を保有し運用している。そのうち、2隻はソ連製の船舶となっている。
〔ウォーリア級海防戦艦バストランド〕
第一次世界大戦前に建造され植民地時代にイギリス海軍がバストランドに配備した海防戦艦である。独立後は長距離の航行が困難であるとして当時のレソト王国に引き渡された。レソト共和国でも引き続き運用され第一次レソト戦争後には主砲が撤去されその後は本土とニューシェビー島間の輸送艦として運用されている。運用年数はロシア海軍のコムーナに続いて100年を超えている。
〔775号計画型大型揚陸艦〕
元々はソ連海軍に所属しニューシェビー島に配備されていた艦であったが、1975年のニューシェビー島全島民失踪事件後に放置されていたものをレソトがソ連政府から寄与された。現在では海軍の主力艦として運用されている。
〔タランタル型コルベット〕
ソ連海軍から1974年に寄与されたミサイルコルベットである。しかし、現在では海軍の予算不足と老朽化の為、港に係留されたままとなっている。レソトが保有するこのコルベットは南部アフリカ大陸の国家の歴史において初めて運用されたミサイル艦である。
・航空機
〔CASA C‐212 300型/400型〕×4
〔MIG‐25〕×10
〔ホーカー ハリケーン(国産)〕×22
〔ベル 412〕×2
〔MBB Bo105〕×2
〔ベル 206〕×1
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軍需産業
レソトの軍需産業は大半が国内向けの製品となっている。レソトでは設備が旧式だとしても工業基盤が重工業、軽工業とわず発展している為、基本的にはレソトで消費される軍需製品は大半はレソト国内の工場で生産されている。また、レソトでは海外向けの軍事製品も僅かではあるものの生産し輸出されている。軍事製品の輸出相手国はスワジランド、ボツワナ、アンゴラ、ジンバブエ、マダガスカル、エリトリア等の6カ国、また、テロ組織や反政府組織に対しても軍事製品の輸出を行っている疑惑が指摘されており、タミル・イーラム解放のトラやイエメンの南部独立運動にも輸出を行っている疑惑がある。輸出相手国であるスワジランド、ボツワナ、アンゴラ、ジンバブエ、マダガスカル、エリトリア等の6カ国に対しては装甲車などの車両類や銃器、弾薬類を輸出している。




