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トゥイタトゥイ級重巡洋艦 - ウィキパディア

ウィキパディア-フリー百科事典

ページ/ノート

―――――――――――――――――――


トゥイタトゥイ級重巡洋艦

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トゥイタトゥイ級重巡洋艦(Tu'itatui Class Heavy Cruiser)とはトンガ大首長国海軍が保有する重巡洋艦の級名である。


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目次


1.概要

2.艦名

3.輸入

4.同型艦と装備

5.艦歴

 5.1トゥイタトゥイ

 5.2ムア

6.ムア撃沈怪事件

7.現在

8.海軍艦艇


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概要


本級はトンガ大首長国がアメリカを仮想敵国として自国の海上防衛の能力を向上させる為に日本から輸入した戦闘艦である。1933年に一番艦トゥイタトゥイと二番艦ムアが日本の横須賀海軍工廠によって建造された。大日本帝国が建造した戦闘艦の中ではほぼ完全に現存している唯一の艦艇である。


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艦名


一番艦には最盛期のトンガ大首長国の支配圏を最大の領域にまで広げた第11代大首長トゥイタトゥイの名前がつけられ、二番艦にはトゥイタトゥイの息子が作った旧首都のムアの名前がつけられた。


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輸入


元々トンガ大首長国は重巡洋艦をイギリスより購入する事を目指していた。トンガ大首長国は以前にイギリスよりマークスマン級駆逐艦を2隻購入しており今回の購入も同じようにイギリス政府に打診していた。しかし、イギリスは駆逐艦の輸出は認めたがそれ以上の艦級は認めず結局、イギリスとの重巡洋艦の購入交渉は失敗した。その為、トンガ大首長国はその代わりとして次は日本に目をつけた。元々トンガ大首長国と日本は友好的な関係を築いていた為に日本に対して重巡洋艦の購入をしたいとの打診を行い、これに対して日本は好意的に受け取った。その後の交渉でトンガ大首長国は日本が保有していた高雄型重巡洋艦と同型の艦の購入を決定した。建造は横須賀海軍工廠によって行われトンガ大首長国に引き渡された。トゥイタトゥイ級は高雄型における建造番号では5番艦、6番艦にあたる。


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同型艦と装備


同型艦


・トゥイタトゥイ級重巡洋艦1番艦トゥイタトゥイ

・トゥイタトゥイ級重巡洋艦2番艦ムア


装備


・1952年までの主艦載装備

・兵装

 :三年式二号20.3cm(50口径)連装砲5基

 :十年式12cm(45口径)単装高角砲4基

 :毘式40mm(62口径)単装機関砲2基

 :61cm連装魚雷発射管4基8門

・航空機

 :水上機4機(湯加国水上偵察機)→カタパルト2基


・現在の主艦載装備

・兵装

 :三年式二号20.3cm(50口径)連装砲5基

 :QF12ポンド 12cwt単装高角砲4基

 :ヴィッカースQF2ポンド8連装機関砲2基

 :Mk32短魚雷発射管4基8門

・航空機

 :水上機4機搭載(スーパーマリン ウォーラス )→カタパルト2基

 :小型無人ヘリコプター(ヤマハ発動機のRMAXを独自改良したと思われる機体が使用されている)


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艦暦


・トゥイタトゥイ

トゥイタトゥイは日本からトンガ大首長国への引き渡し後、トンガ大首長国防衛局海軍の所有となりサモア駐留艦隊の旗艦となる。1941年、第二次世界大戦の戦火が拡大した事を受けて防衛局はサモア駐留艦隊の戦力を王国の首都があるトンガタプ島へと転属させ、トゥイタトゥイはトンガタプ駐留艦隊の旗艦となる。1944年10月24日、二番艦ムアからの通信によりムアが米軍機と思われる機体から攻撃を受け大破したとの連絡を受けた為、トンガ大首長国防衛局海軍は設立以来初の緊急出撃命令が下されトゥイタトゥイはトンガタプ駐留艦隊(戦力:トゥイタトゥイ級重巡洋艦×1マークスマン級駆逐艦×2)を引き連れてムアの救援の為に出撃した。1953年、イギリスとオーストラリアの支援を受けて老朽化した船体を補修する為にイギリスのヴィッカース社において機関部や機銃などの装備をイギリス製の物に変更する大規模改装が行われる。1958年、ヴィッカース社によるトゥイタトゥイの改修作業が全て終了しトンガ大首長国防衛局海軍に引き渡されトゥイタトゥイを旗艦にサモア駐留艦隊(戦力:トゥイタトゥイ級重巡洋艦×1ロバーツ級モニター×1)が編成される。1962年、トンガ大首長国はベトナム戦争にアメリカ側として参戦しトゥイタトゥイを南ベトナムへと派遣しアメリカ海軍と共に海上警備任務と敵地への砲撃任務を行う。1987年、イギリスのヴィッカース社にて中規模補修点検を行う。1991年、トンガ大首長国は湾岸戦争にアメリカ側として参戦しアメリカ海軍やイギリス海軍と共に海上警備任務と敵地への砲撃任務を行う。2006年、トゥイタトゥイはニュージーランド、オーストラリア、インドネシア、台湾との親善・合同演習のあとに、日本の横須賀港に寄港し海上自衛隊の護衛艦あたご、こんごう、ちょうかい、輸送艦おおすみ、と親善・合同演習を行った。


・ムア

ムアは日本からトンガ大首長国への引き渡し後、トンガ大首長国防衛局海軍の所有となり、すでに海軍が保有していたマークスマン級駆逐艦2隻と共にサモア駐留艦隊の所属艦となる。1941年、第二次世界大戦の戦火が拡大した事を受けて防衛局はサモア駐留艦隊の戦力を王国の首都があるトンガタプ島へと転属させた。これによってトゥイタトゥイとマークスマン級駆逐艦2隻はトンガタプ駐留艦隊の配属となり、一方でムアはサモア駐留艦隊の旗艦となったが、サモア駐留艦隊の艦はムア以外は武装商船1隻のみという状況だった。1944年10月22日、ムアは演習の為に指揮下の武装商船と共にサモアを出港。1944年10月24日、ムアはトンガタプとサモアのほぼ中間の海域にてムア撃沈怪事件による大破、沈没。


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ムア撃沈怪事件


1944年10月24日、ムアはトンガタプとサモアのほぼ中間の海域にて一週間の予定で航海演習を実施していた。しかし12時8分、ムアの左舷側の見張員がアメリカ軍の雷撃機TBF/TBMアヴェンジャーを1機発見した。ムアはアメリカ軍の空母の哨戒機だろうと考えていたが、雷撃機はムアの左舷からの突入コースへと入り魚雷を発射、無防備なムアの左舷側を雷撃した(戦時中トンガ大首長国は中立国であり、しかも連合国に協力しアメリカ軍はトンガ大首長国からティコピア島とフィジー島を補給基地として使う為に土地を貸りていた)。この突然の攻撃でムアは大破。突然の事にムアの艦内は大混乱に陥った。武装商船は雷撃を行ったTBF/TBMアヴェンジャーに対して機銃による迎撃を試みたが、失敗しTBF/TBMアヴェンジャーは来た方向へと引き換えしていった。この事態にムアはトンガタプ島に対して救援を要請。この救援を受けてトンガ大首長国防衛局海軍は設立以来初の緊急出撃命令が下されトンガタプ駐留艦隊を出撃させた。しかし、艦隊が到着したのは翌日の10月25日で、この時には既にムアは浸水を止める事が出来ずに沈没し、雷撃の爆発によって死亡した乗組員以外の全乗組員は武装商船に救助されていた。トンガタプ駐留艦隊はTBF/TBMアヴェンジャーが飛び去った方向へと艦隊の進路を向けてTBF/TBMアヴェンジャーの捜索を行った。そして捜索開始から翌日の10月26日、海上に着水した状態のTBF/TBMアヴェンジャーを発見した。パイロットは2名が生存しており、このパイロットらをトンガ大首長国防衛局海軍は逮捕した。


その後、逮捕したパイロット二人の証言を元にトンガ大首長国政府はアメリカに対して抗議した。すると、この抗議に対してアメリカはこの様な非道な事はしてはいないと明確に否定した。アメリカの調査団も入りこの事件についての調査を行った。その結果、事件当日、ムアがいた周囲の海域にアメリカ海軍の空母は居なかった事が証明された。さらにパイロットと共に回収された機体は、間違いなくTBF/TBMアヴェンジャーである事が分かったが、機体番号がアメリカ軍内で存在しない物だった。しかも、逮捕されたパイロットの二人は証言で「自分達はアメリカ海軍のパイロットで空母エンタープライズから、日本軍の戦艦武蔵を攻撃する為に飛び立った」と証言しムアを攻撃した理由を聞くと「自分達が本隊からはぐれた後であの船を見つけた。雷撃した理由は日本軍の高雄型と誤認した為で、まさか日本の重巡洋艦が海外に輸出されてるとは思わなかった」と証言したが、二人が証言したエンタープライズなる空母はアメリカ海軍には存在していなかった。また、二人の証言では二人が飛び立った海域はフィリピンの海域であったが、事件が起きた海域はフィリピンよりも数千キロ以上も離れた海域で二人の証言はまったく整合性が取れていなかった。さらに、二人は自分達の事を住所や親戚、社会保障番号等の情報をかなり詳細に語ったがアメリカ国籍を持つ者の中に親戚も含めてこの二人の記録は無かった。その後、この二人の身柄と機体はアメリカ政府から保証金をトンガ大首長国に払う事を条件にアメリカ政府へと引き渡された。


この事件は戦後、ムア撃沈怪事件として世界的に知られる様になった。


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現在


1番艦トゥイタトゥイは艦暦80年を超えているが現在でもトンガ大首長国防衛局海軍の旗艦兼主力艦として運用されている。2016年には2017年頃を目処に老朽化した艦の設備を日本で修繕改修する大規模改修の契約をしている。さらに日本政府はこの艦を日本の造船史上重要な歴史的な船だとして、トンガ大首長国防衛局に対して、この艦の修繕費の半額を日本政府が負担すると表明した。また、防衛局では現在はまだ未定の計画ではあるが、トゥイタトゥイの後部の主砲やマストを撤去して格納庫とヘリコプター甲板を設置してヘリコプター巡洋艦へと改修する計画が持ち上がっている。また、別の案として、三年式二号20.3cm連装砲や砲弾の維持費が高い事から、艦の上部構造を全て撤去してヘリコプター甲板を設置して完全なヘリ空母に改装する案も存在する。しかし、ヘリ空母案に関しては、ここまでの大規模改装となるとトンガ大首長国の国防費では賄えず、さらにトゥイタトゥイ以外の主力戦闘艦がムア(2代目)しかなく軍事的に意味がないとして非現実的、非実用的だとの指摘がある。ヘリ空母案を採用し実際に改装するには他国の支援などが必需で、もし実際にヘリコプター甲板の設置が決定された場合はヘリ空母ではなくヘリコプター巡洋艦になる可能性が高いとされる。ただし、ヘリコプター巡洋艦案もヘリ空母案も現状では実際に行われるのか不透明な状況である。


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海軍艦艇


以下には参考までにトンガ大首長国防衛局海軍が発足し保有した過去、現在までの保有艦艇を記載する。なお、以下の年代はジェーン海軍年鑑が調査を行った年代から一部を抜粋したものであり艦の取得時期を示した物ではなく、あくまで調査が行われた年代である。


・1914年

 ・武装商船


・1919年

 ・武装商船

 ・武装商船


・1932年

 ・サモア級駆逐艦1番艦サバイイ(マークスマン級駆逐艦)

 ・サモア級駆逐艦2番艦ウポル (マークスマン級駆逐艦)

 ・武装商船(2代目)


・1939年

 ・トゥイタトゥイ級1番艦トゥイタトゥイ(高雄型)

 ・トゥイタトゥイ級2番艦ムア     (高雄型)

 ・サモア級駆逐艦1番艦サバイイ(マークスマン級駆逐艦)

 ・サモア級駆逐艦2番艦ウポル (マークスマン級駆逐艦)

 ・武装商船(2代目)


・1945年

 ・トゥイタトゥイ級1番艦トゥイタトゥイ(高雄型)

 ・サモア級駆逐艦1番艦サバイイ(マークスマン級駆逐艦)

 ・サモア級駆逐艦2番艦ウポル (マークスマン級駆逐艦)

 ・武装商船(2代目)


・1957年

 ・トゥイタトゥイ級1番艦トゥイタトゥイ(高雄型)

 ・ムア級モニター1番艦ムア(ロバーツ級モニター・アバークロンビー)

 ・武装商船(2代目)


・1997年

 ・トゥイタトゥイ級1番艦トゥイタトゥイ(高雄型)

 ・ムア級モニター1番艦ムア(ロバーツ級モニター・アバークロンビー)

 ・パシフィック級哨戒艇

 ・パシフィック級哨戒艇

 ・パシフィック級哨戒艇


・2014年

 ・トゥイタトゥイ級1番艦トゥイタトゥイ(高雄型)

 ・ムア級モニター1番艦ムア(ロバーツ級モニター・アバークロンビー)

 ・パシフィック級哨戒艇

 ・パシフィック級哨戒艇

 ・パシフィック級哨戒艇

 ・フィジー級哨戒艇(プリンセス52)

 ・フィジー級哨戒艇(プリンセス52)

 ・フィジー級哨戒艇(プリンセス52)


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― 新着の感想 ―
[一言] トゥイタトゥイ級重巡洋艦、高尾型の輸出艦というのが中々そそりますね。 しかし2番艦ムアを沈めた米軍機は明らかに別世界の太平洋戦争時のアヴェンジャーですよね。一体原因は何なのだろう。 現代ま…
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