沿ドニエストル ‐ ウィキパディア
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沿ドニエストル・モルドバ共和国
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沿ドニエストル・モルドバ共和国は東ヨーロッパのモルドバ東部、ドニエストル川東岸のウクライナ国境に接する国家であり国際的にはモルドバ共和国の一部とみなされており、主権国家として承認されていない国家である。モルドバ共和国政府の実効統治は及んでおらず、事実上の独立状態にあった。しかし2028年のトランスニストリア消滅災害事件によって沿ドニエストルは消滅した。また、正式な国旗に鎌と槌が入る数少ない国家の一つであった。
公用語:ロシア語、モルドバ語、ウクライナ語
首都 :ティラスポリ
人口 :475,665人
民族 :ルーマニア(モルドバ)系31.9%、ロシア系30%、ウクライナ系28.8%
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概要
1.国名
2.歴史
2.1歴史
2.2トランスニストニア消滅災害事件
3.政治
3.1外交
3.2ロシアからの独立承認
4.地理
4.1地方行政区分
5.国民
6.経済
7.軍事
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国名
沿ドニエストル共和国の正式名称は以下の通りである。
・ロシア語: Приднестровская Молдавская Республика (ПМР)
・ラテン文字転写:Pridnestrovskaya Moldavskaya Respublika
・モルドバ語(キリル文字):Република Молдовеняскэ Нистрянэ (РМН)
・ラテン文字表記:Republica Moldovenească Nistreană
・ウクライナ語: Придністровська Молдавська Республіка (ПМР)
・ラテン文字転写:Prydnistrovs'ka Moldavs'ka Respublika
※英語ではPridnestrovian Moldavian Republic (PMR)と表記する。
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歴史
・歴史
歴史的にドニエストル川の東岸のトランスニストリア(沿ドニエストル)地域一帯はモルダヴィア公国やベッサラビアには属してはいなかった。1940年にソ連が占領しモルドビア・ソビエト社会主義共和国が誕生する前はドニエストル川西岸のベッサラビア地域はルーマニアに帰属していた一方でトランスニストリアはウクライナ・ソビエト社会主義共和国の一部とモルダヴィア自治ソビエト社会主義共和国(1924年~1940年)が約半分を占めて構成されていた。ティラスポリは1929年から1940年まではその首都だった。人口の割合で見ても1980年代後半はトランスリニア地域の人口のうち、モルドバ人は39%に留まりロシア人とウクライナ人は54%に達していた。その為、ソ連末期のペレストロイカによる民族主義の台頭(バルト三国やチェチェン、グルジア、モルドバなどの地域)とは逆に親ロシア運動が台頭した。
1989年、モルダビアではロシア語に代わってモルドバ語を公用語とする法律が制定された。さらに同時にラテン文字の使用やルーマニアとの部分的国境の開放がおこなわれトランスニストリアののスラブ人は近い将来、モルダビアとルーマニアに統一されるのではという危機感が高まった。トランスニストリアの非モルドバ系住民はモルドバ語(ルーマニア語)が話せなかった。トランスニストリアの住人はソ連各地からの移住者が多くモルドバ人よりも経済的敵に成功しており多くの人々がモルドバのソ連からの独立を反対しモルドバからの独立運動へと進展した。
モルダビアが国名をモルドバへと国名を変更し主権を宣言すると1990年にはドニエストル川左岸のロシア語住民が沿ドニエストル・ソビエト社会主義共和国を宣言しモルドバからの分離独立をはかった。9月2日には沿ドニエストル共和国として独立宣言を発表。1992年にトランスニストリア戦争に発展し7月に和平協定が締結され、ロシア、モルドバ、沿ドニエストル合同の平和維持軍 (Joint Control Commission, JCC) によって停戦監視が行われた。
沿ドニエストルは長年、他国からの国家承認が得られない状況が続いていたが(ロシア連邦へはロシア連邦への編入を求めていた)2025年にロシアから国家承認を受ける事になった。しかし、ロシア以外には国連加盟国で承認している国家は存在しない。
・トランスニストニア消滅災害事件
2028年7月1日に沿ドニエストル共和国の支配地域が原因不明の霧の発生後に消滅するという災害が発生した。この事件によって沿ドニエストルの住人や沿ドニエストル国内にいた他国民が行方不明となった。消滅した後の沿ドニエストルの地域は地下数百メートルに渡ってえぐられる様に大地が消滅しておりそこに黒海の海水とドニエストル川の水が流入し現在の大ドニエストル川を形成するにいたった。大ドニエストル川の旧ティラスポリがあった場所には現在、実質ロシアの機関となっている沿ドニエストル臨時政府の所有するティラスポリ水上基地が建設されロシア軍が平和維持軍の名目で駐留している。
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政治
元首は大統領で大統領は国民による選挙で選出される仕組みとなっている。かつては独裁色が強い政権があったが消滅前は議会やシェリフ・グループ、駐留ロシア軍、ロシア資本の意向も強く政治には影響し、一概には独裁体制といえない政治状況にあった。また、沿ドニエストル国内では1940年代から1960年代のソビエト連邦のような政治文化が街中に色濃く残っている。パスポートにもソ連の略称であるCCCPが刻印されるなど未だにソ連が残っているかのような状況となっている。だが、近年では自由化の流れも見られる。軍事、経済をロシアに頼っており、欧米寄りのモルドバに対してロシア寄りの政策を採っている。沿ドニエストルは旧ソ連軍の備蓄した膨大な量の武器を保有しており、国際的な武器密輸疑惑で非難を受けていた。
・外交
沿ドニエストルはロシアには国家承認を認められているがそれ以外の国からは国家承認を受けていない状況であった。その為、ロシアの国家承認前からの関係である同じ非承認国家のアブハジア共和国、南オセチア共和国との関係を強化している2006年には民主主義と民族の権利のための共同体の設立を宣言している。
・ロシアからの国家承認
沿ドニエストルは2025年にロシアからの国家承認を受けることに成功した。さらに国連のオブザーバーとしての加盟も成功した。これは欧州との関係悪化による事が原因と考えられている。このロシアによる承認の結果、沿ドニエストル軍は大幅に戦力を強化される事になった。
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地理
沿ドニエストルはモルドバ共和国のドニエストル川東岸からウクライナとの国境までの南北に細長い地域を主な領土としている。しかし全ての地域が東側にあるわけではなく西側にも一部地域を有している。
・地方行政区分
〔 共和国級市 〕
ティラスポリ
ベンデル
〔 地区 〕 〔 中心地 〕
カーメンカ地区 :カーメンカ
ルィブニツァ地区 :ルィブニツァ
ドゥボッサールィ地区 :ドゥボッサールィ
グリゴリオポリ地区 :グリゴリオポリ
スロボゼヤ地区 :スロボゼヤ
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国民
国民の構成はルーマニア(モルドバ)系が31.9%、ウクライナ系が28.8%、ロシア系が30.4%となっている。
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経済
ソ連時代から重化学工場が立地しており、工業が主要産業となっている。現在でも、鉄鋼、発電、セメント生産、繊維生産が盛んで 農業はモルドバと比べると生産量が少ないが温室栽培で青果物を生産していることから品質が比較的良いものが収穫出来ると言われている。電力はモルドバへと輸出していた。
独自通貨である沿ドニエストル・ルーブルが国内で流通しシェリフ・グループと呼ばれる企業グループがスーパーマーケット、ガソリンスタンド、携帯電話会社などを経営しており、大きな影響力を持っている。
沿ドニエストルはモルドバよりも物価が少し高い状況で経済がモルドバよりも良好な状態という奇妙な状態となっている。
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軍事
沿ドニエストルには防衛を任とした陸軍を中心とした戦力が存在している。航空機、大砲、防空ユニットと特殊部隊で主に構成され兵役はおよそ1年間であるが契約すれば長く軍に在籍が可能となっており通常時は15,000人、有事の際には最大8万人まで戦力を増強できる。軍以外にも警察組織として沿ドニエストルKGBが存在している。沿ドニエストルKGBは国境警備なども行っている。沿ドニエストルにはソ連崩壊時に残された膨大な量の武器、弾薬が備蓄されておりその総量は2万トンにまで及び(2016年時の日本の備蓄弾薬は11万トンと言われている)それらの兵器の中には核兵器や化学兵器までが存在していると一部の研究者から指摘されている(核兵器については保有しているか不明)。ロシアによる独立承認後はロシア製の兵器を幾つか購入し戦力を増強していた。また、既存の兵器に関しては国内の工場などによって部品の一連の製造が行われていると考えられている。以下は保有している装備。しかし、以下の一覧以外にも装甲車やロケット砲など沿ドニエストルが独自に開発、配備している装備も多数存在している事を留意しなければならない。
軍備
T‐64 :主力戦車 :18両
BRDM‐2 :偵察戦闘車 :不明
BMP‐1 :歩兵戦車 :30両
BTR‐70 :装甲車 :75両
BTR‐60 :装甲車 :40以上
BM‐21 :多連装ロケット砲:77両
・砲兵ユニットとして対空砲を含むC‐60、ZU‐23‐2、ZPU‐4、KS‐19C、D‐44、MT‐12を複数保有。
・航空戦力はヘリコプターがMi‐8、Mi‐2、Mi‐24を保有し航空機はAn‐2、An‐26、Yak‐18など15機を保有。
・沿ドニエストルKGBも特殊部隊を含めた大隊を有している。
・2026年にロシアからT-14アルマータ10両とSu-27 5機がロシアから輸入され2027年にはBM-30 6両、S-400 3両、無人偵察機2機が輸入された。これによって陸軍と空軍の戦力が大幅に強化される事になった。