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レベル6 お金稼ぎですわ

 話し合いの結果、今日の予定はお金稼ぎとダンジョン攻略に決まった。


 そして今、俺たち四人は金を稼ぐために村の裏路地へと来ていた。


 なぜ裏路地に来たかというと、キナコにいい考えがあるから着いてきて欲しいと言われたからである。

 こんな人気のない場所で出来る金稼ぎ。……嫌な予感しかしない。


「お金を稼ぐならダンジョンに行った方がいいんじゃないですか?」

「まあまあ、私に任せてヨ」


 そういうとキナコは新しく覚えたスキル、指笛を使用する。町の外で使用するとモンスターを呼び寄せる効果があるが、人の気配が多い村の中ではなんの効果もないスキル、らしい。


 きなこが笛を吹いてから約三分、やってきたのは盛り上がった筋肉に厳つい顔の男が三人。どこからどう見てもゴロツキだった。


「ふむ、ゴロツキからカツアゲか。これはいい考えだ」

「いや、駄目だろ」

「正当防衛だ」


 思いっきりカツアゲって言ってんじゃねぇか!


 ゴロツキに対して石斧を構えるカンナ。その隣ではユリカが拳を握りしめている。

 村の厄介者であるゴロツキが相手なら金をとってもいいと言う考えに至るとは、昨日の一件でこのパーティは一皮むけたようだ。俺たちはいつの間に盗賊団になったのだろうか。


 武器を構えるカンナに対して、ゴロツキのリーダー格の男が焦った様子で話しかける。


「遅れてすんませんっした! どうか制裁だけはご勘弁を!」


 ひたすら謝るゴロツキリーダー。これは一体どういう状況だ。


「この人たちは私の舎弟だヨ。だから武器をしまっテ」

「舎弟!? なんでゴロツキを舎弟にしてんだよ!」

「前に狩りをしてたらこの人たちが私のナワバリに入ってきてネ。だから立場をわからせてあげたノ」


 そんな、いつの間にかキナコが不良になっていたなんて。

 それにいくら見た目がアレだからと言って、問答無用で叩きのめすのはかわいそうだろう。この人たちが何をしたって言うんだ。


「キナコの姉御! 一体なんの御用でしょうか」

「私たち今からお金を稼ぐから人手がいるノ。だから手をかしテ?」

「わかりやした姉御! 盗みにしますか? それとも恐喝にしやすか?」


 前言撤回。こいつら見た目通りだわ。


 見た目通りといえば、湖で出会った時のユリカという前例があったな。やっぱり見た目が怪しいヤツは中身も怪しいんだなぁ。


「アキラ、どうすル?」

「俺に聞かれても困るんだが」


 ゴロツキに悪事の指示を出すなど、どう考えても俺の管轄外だ。ただでさえも勇者の道から外れ気味な状態なのに、それをやると決定的に道を踏み外してしまう。


「お頭! 早く指示をだしてくだせぇ」

「えっ? お頭? もしかして俺のことか?」

「そうですぜお頭」

「私たちをまとめて来た経験から言って、やっぱりリーダーはアキラの方が良いと思ってネ」


 やめてくれ。これじゃマジで盗賊団だ。


 そもそもみんながみんな好き勝手にやっているので、まとまってるもクソもない。キナコから見るとこのパーティはまとまっているように見えるのだろうか。


「お頭、指示をくだせぇ。俺たちゃ金になるならなんでもやりますぜ?」

「それなら真面目に働くというのはどうだ?」

「それはちょっと無理ですぜ」


 なんでもやるとは一体なんだったのか。


「村の人から依頼を受けるというのはどうだ? モンスターと戦うようなこともあるが、荒事が好きそうなお前らなら大丈夫だろ」

「ま、魔物ですか? 俺たちゃ自分より弱いものにしかからまねぇ主義なんでさぁ」


 こいつらとことんクズだな!


 いや、あっという間に死ぬ可能性があるこの世界では、それが正しい戦略なのか? よく考えたら俺たちも弱そうなモンスターを狩りに行ってたわけだし、そう考えたら普通なのかもしれない。


「大丈夫だ安心しろ。最初は採取系の依頼や弱いモンスターと戦う依頼から始めて、徐々に慣れていけばいい」

「大丈夫ですかね……? 俺ら三人ともレベル1ですぜ」


 ペットショップのチワワのような目つきで見つめてくるゴロツキ三人衆。


「お前らいかにも戦うことが好きそうな見た目なのにレベル1なのかよ!」

「へっへっへ」


 何がへっへっへだ、見た目と強さにギャップがあり過ぎるだろ。村人でさえ角うさぎ狩りでレベル2に上がっているという話だから、こいつらはその辺の村人以下の強さということになる。


 普段誰に絡んでいるのだろう?


「俺たちゃ泣く子も黙るゴロツキ三人衆ですぜ」


 その一言ですべてを理解してしまった。子供に絡んでんじゃねぇよ!

 村の子供たちにしか絡めないゴロツキ、なんて悲しい存在なんだ。


「今日から真面目に依頼をこなそう、そうすればちゃんとした生活ができるから……」

「お、俺たちにもできるのか?」

「任せてくれ」


 嬉しさからか三人で抱き合い、これでまともな飯が食える、とか新しい服が買える、とか言い合っている。

 そこまで苦しい生活をしているのならなぜ普通に働かないのだろうか。人生を賭けた縛りプレイか何かかな?


「話がまとまったことだし依頼を受けに行くか。お前たちの見た目じゃ依頼を貰えないかもしれないから、俺たちが着いて行って交渉しよう」

「ありがてぇ。ありがてぇ」

「それで、俺がその依頼の簡単な攻略法を教えるから、依頼終了後に報酬金の一部を情報料として俺たちに渡すこと。こんな感じでどうだ?」

「何から何まですまねぇな。俺は約束は守る男だ。金はちゃんと払うから安心してくれ」

「ユリカたちもそれでいいか?」

「私はそれでいいですわ」

「右に同じだ」

「私もだヨ」


 そうと決まれば行動は早い方が良い。この時間なら薬草採取と解毒草採取の依頼が受けられるはずだ。まずはそれらの依頼を受けに行くことから始めよう。

 俺たち四人とゴロツキ三人の集団は、路地裏を抜け、薬草採取と解毒草採取の依頼人である道具屋のおっちゃんの元へと行くことにした。


 今日は雲一つない晴れやかな空で、朝の太陽の陽ざしが村全体を優しく照らしていた。さわやかな雰囲気に誘われてか、散歩をするおじいさんや井戸端会議をする村のおばちゃん、買い出しを行う見習いの若者など、多くの人が村の広場を行きかっている。

 そんな活気のある広場を歩いていると、村人たちの雑談が俺の耳に入って来た。


「ヒソヒソ。おい、なんだあの集団は。ヒソヒソ」

「何かやらかすつもりじゃあるめぇな。ヒソヒソ」


 そんなに怪しい集団が居るのだろうかと周りを見ると、村人たちの視線は一様に俺たちの方を向いていた。どう考えても俺たちを怪しい集団だと思っているようだった。


「まったく、なんて失礼な連中なんだ」


 そう愚痴をこぼしつつ、俺はパーティメンバーたちの方を見た。


 ユリカ(指名手配犯)

 カンナ(怪しい粉の売人)

 キナコ(ゴロツキのまとめ役)

 ゴロツキ(ゴロツキ)


 どう見ても怪しい集団だった。


「本当に失礼な人たちですわ。私たちが何をしたというんでしょうか」

「ユリカは下着ドロボーをしてるだろ」

「公衆の面前でパンツの話をするなんて、やっぱりそういう趣味があるんですのね」

「あるわけないだろ。ユリカと一緒にするな」

「嘘をつかなくてもいいですわ。それにウソツキは泥棒の始まりっていうでしょう? だから正直になった方がいいですわよ」


 ウソツキは泥棒の始まりか。ユリカが言うと説得力があり過ぎる。実体験が篭ったリアルな説得力だ。


 ちなみに、ここ最近俺のパンツは加速度的な速さで行方不明になり続けている。そのせいでよく衣服売り場へとパンツを買いに行くのだが、毎日買いに来る俺のことを店員のおばちゃんはパンツコレクターだと思っているようだった。ユリカ折檻の日は近い。


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