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レベル4 話し合いだネ

 無事に今日も宿屋に戻ってくることができた。今日は下手したら四人とも森の中で丸焼きになっていてもおかしくなかったので、無事帰ってこられたのはかなり運がいいのかもしれない。


 そんなことを考えながら、俺はカンナへの質問を開始する。


「さてカンナ。あの白い粉は本当に回復薬か?」

「回復薬だ」

「あら? カンナのHPが少し減っていますわ。この大量の粉でたっぷり回復させてあげますわ」

「やめてぇぇぇぇ。やめてぇぇぇ」


 逃げようとしたところをキナコに回り込まれてしまったようだ。


 なんで回復薬をそんなに嫌がるんだろうなぁ。


「カンナ。この白い粉は回復薬なのか?」

「回復薬……」

「たっぷり回復させてあげるネ!」

「か、回復薬だ。ただちょっーと、ほんのちょっーと副作用があるからHPを回復するのには向いてないだけだ」


 回復薬なのに回復に向いてないのかよ!


「ところで話は変わるが、俺は鑑定っていうなかなか便利そうなスキルを持っていてな」


 おいカンナ、取引中の売人が現場を警察に抑えられたみたいな表情になってるぞ。


 パーティを組んでいても、お互いのスキルは見れないからな。どうやら俺が鑑定を使えることに気が付いてなかったようだ。


「す、すまない。この回復薬には状態異常にかかってしまう副作用があるんだ」


 どうやらちゃんと話してくれる気になったらしい。


「一応回復効果は高いから緊急時などは役に立つんだが、見た目と効果がいかにもって感じだからな……。黙っていたことは謝る。だからパーティから追い出さないでくれ」


 なるほどそういうことだったのか。鑑定でも高い回復効果があるって表示されてたし、薬草じゃ間に合わないような時なんかは役に立ちそうだな。


「そのくらいでパーティから追い出したりとかなんてしないから安心していいぞ。そうじゃなきゃユリカなんて十回は追い出されてるだろ?」

「そういえばそうだ。安心した」


 最初は色々と考えてたけど、話してみると意外と良いところも結構あるしな。問題行動は気になる(特にユリカ)ものの、なんだかんだで俺自身楽しんでるのに気が付いたのだ。


 いやぁ、話し相手がいるってのはいいなぁ。あっ、別に元の世界では友達いなかったとかそんなことないから。久しぶりに話し相手ができて嬉しいとかそんなことはないから。


「昨日警備兵のおっちゃんに粉を売ってたのは、緊急時のためを思ってのことだったんだな」

「あのおじさんはただ単に粉の副作用が気持ちいいから買ってただけだぞ?」


 おい、この町の警備大丈夫かよ。


 まあ警備兵長のゴンザレスさんは良い人そうだったからモンスターが攻めて来てもきっと何とかなるだろう。

 そのゴンザレスさんに森を焼いて負担をかけてしまったのは心が痛む。


「はぁ、森を燃やしてしまったから俺も問題児の仲間入りかぁ」

「大丈夫だヨ。誰にもバレてないからネ!」

「そうですわ。この秘密を胸に、仲間みんなで頑張って行きましょう」

「かつてないほどの団結力を感じる。チームが一つになるのは私は嬉しいぞ」


 嫌な団結の仕方だな。こんなの勇者パーティじゃない。


 いや、もしかして勇者として魔王を倒す冒険をしたいと考えているのは俺だけなのか?


 みんなは観光気分でゆっくり異世界を旅行したいのだろうか。現代の地球からやってきたということは聞いたけど、元の世界での生活のこととか全然聞いてなかったな。まずはその辺から聞いてみるとするか。


「そういえば、みんなは元の世界ではどんな生活だったんだ?」

「私はベテランのウォーリアーとして一日中モンスターと戦っていたぞ」


 カンナはニートの廃人ゲーマー、と。


「おいアキラ、今私のことをニートのゲーマーとか考えなかったか?」

「いや全然」

「断っておくが私はまだ学生だ。だからニートじゃなくて引きこもりだからそこを勘違いしないでくれ」


 どっちも似たようなもんじゃないか。その二つはどう違うのだろう。


「ユリカはどうだったんだ?」

「はい! 私は女子高に通うお淑やかな女の子でしたわ」


 いやその大嘘は前も聞いたからな。

 それとも、世の中には女子高っていう名前の刑務所でもあるのだろうか。


「ユリカ、お勤めご苦労様。もう二度とやるんじゃないぞ」

「私は捕まるような悪いことなんてしたことないですわ」


 ……まあいっか。本人がそういうなら、きっとそうなんだろう。


「キナコはどんな感じだったんだ?」

「とっても楽しい生活だったヨ」

「そうか」

「うん」


 とても幸せそうな笑顔だ。ただどんな生活かは結局よくわからなかった。


「そういうアキラはどんな生活だったのですか?」


 ふむ、俺の生活か。俺の日常は――


「朝六時に起きて軽くジョギングをして学校には早めに登校。放課後は友人とともに部活で汗を流し、夜は予習復習を欠かさず夜十二時までには就寝。健全な男子高校生だったな」

「嘘をつけ。アキラからは私と同じ引きこもりオーラがするぞ」

「誰が引きこもりだ。俺はたまには学校に行ってたから半引きこもりだ」


 しまったみんなの視線が痛い。つい勢いで本当のことをしゃべってしまったぜ。


「まったくアキラはダメダメですわね。少しは私を見習ったらどうですか?」


 ユリカを見習ったらダメを通り越して明日には警備兵に捕まってしまうだろう。下手したら今日の夜お縄につく可能性もある。


「それに健全な男子高校生ってなんですか。こんなに私のことを不健全な気持ちにさせる男の子が、健全なわけないですわ」

「ユリカは出会った最初からすでに不健全だっただろ。俺のせいにするんじゃない」

「ならそういうことにしといてあげますわ。ところで、アキラは女の子のパンツについてどう思いますか? 私はとても良いモノだと思うのですが」


 話題のそらし方が強引すぎるだろ。しかもそらした先の話題も不健全だというのが流石ユリカだ。


「ねえユリカ。やっぱり女の子のパンツが好きってのは良くないと思うヨ?」


 いいぞキナコもっと言ってやれ。


「好きになるのに性別なんて関係ありませんわ!」


 うーん、ここいらでこいつの性癖をなんとかした方がいいかもしれないな。

 彼氏でも出来れば少しはマシになるだろうか?


「武器屋のおっちゃんがそろそろ女房が欲しいって言ってたぞ。ユリカどうだ?」

「いや男はちょっと……」


 おい、性別は関係ないんじゃなかったのか。二秒前に自分で言ったことと矛盾しているぞ。


「あっ、そういえば防具屋のおじさんも恋人が欲しいって言ってましたわ! 丁度いいので武器屋のおじさんに紹介してあげましょう!」

「丁度良くねーよ! 両方男じゃねぇか」

「あの二人ならお付き合いできると思ったのですけど、残念ですわ」


 残念なのはユリカの頭の方だ。


 そもそも村の女の子のおっぱいをガン見している武器屋と防具屋のおっちゃんが男に興味を持つなんてありえない。


「ねえ、お腹が空いたからそろそろ夜ご飯食べようヨ?」


 そういえば色々あってまだ食べてなかったな。金に余裕はあまりないが、時間が時間だし仕方ない。宿屋の食堂に食べに行くか。


 色々と話したいことはあるものの、とりあえずは飯を食おう。話はそれからだ。


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