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レベル10 ダンジョンクリアですわ

 うーん、最初は一時間もあれば攻略できると思っていたけど、この分だともっとかかりそうだ。マップで見るのと実際に中を歩くのでは大違いだな。視界が悪くて足場もデコボコしているから歩きにくいし、モンスターを警戒する必要もある。時間がかかるのも仕方がないか。


 とはいえ、時間の点を除けば俺たちのダンジョン攻略は非常に順調だと言えるな。ほぼ無傷のまま進んでいるし、必要なアイテムはしっかりと回収している。時間以外は完璧と言っていいだろう。


「あと少しで洞窟の奥に到着ですわね」

「ああ、もうちょっとだ」


 この直線を抜ければ、ダンジョンの一番奥の宝箱の部屋へと到着だ。

 ダンジョン攻略に向けて歩いていると、右手側にある小部屋に宝箱が置かれているのをユリカが発見した。


「アキラ、あそこに宝箱がありますわ! 取りに行きましょう」

「待て、あれは宝箱のフリをしたモンスターだ。無視して先に進もう」


 攻略本には宝箱(ミミック)と書いてある。間違いなくモンスターだ。


「残念ですわ」


 俺たちがそのまま道を進もうとすると、宝箱の部屋から声が聞こえてきた。


「おいおいちょっと待てよ。俺はお宝がギッシリ詰まった宝箱だぜ。開けてみようぜ」


 しゃべる宝箱とか怪しさ満点だ。こんなのは無視するに限る。


「まあ待て俺の話を聞いてくれ。俺はどこにでもある普通の宝箱だ。開けてみてくれよ」


 冒険者に直接話しかける宝箱のどこが普通なんだろうか。こんなのがそこら中に置いてあるダンジョンとか俺は絶対に行きたくない。


「頼むよ、な。開けてくれよ」


 あまりにもしつこいので、俺たちはその宝箱を開けてみることにした。


「本当に普通の宝箱なのか?」

「おう、その通りだ。俺を信用しろ」


 まったく信用していないが俺は宝箱を開けてみた。


「ふはははははバカめ! 俺はミミック様だ! ここがお前たちの墓場だ!」

「包囲しろ! 生きて帰れると思うなよ!」

「セイヤっ! ハァっ!」

「ぐぉぉ四人がかりとは卑怯だぞ!」


 うるせぇ! お前に卑怯とか言われたくない!


「待ってくれ悪かった反省する。もう悪いことはしねぇ、だから見逃してくれ」

「本当か?」

「本当だとも。お詫びと言っては何だが、俺に良い儲け話のアイディアがある。それを話そう」

「どんなアイディアなんだ?」

「俺を人通りの多いダンジョンへと運んでくれ。そうすれば俺は冒険者を仕留めることができ、お前らは冒険者の装備を奪えて大儲けだ。良い考えだろう?」

「コイツ何も反省してないぞ! 囲め!」

「ぐおおおおおお」


 カンナが宝箱の体内に放り込んだ火炎瓶がトドメになり、モンスターは経験値となって消えた。


「正義は勝つ。悪しきモンスターは正義の勇者により討伐される運命なのだ」


 体の内側から燃やすという、極悪な戦術をとるカンナが正義の勇者というのは大きな疑問が残るところだが、無事モンスターを倒せたのでよしとしよう。


「むっ」

「どうしたカンナ?」

「私の正義の行いの結果、新しい称号が手に入ったようだ」

「なんていう称号だ?」

「今確認してみよう」


 急いで自分のステータス画面をチェックするカンナ。


「す、すまない、私の気のせいだったようだ」


 どうやらあまりよくない称号だったらしい。なんていうかこのパーティ、着々と正義の勇者から遠ざかっている気がする。


「どういった称号が手に入ったのですか? 教えて欲しいですわ」

「う、うるさいっ。それより先を急ぐぞ」

「えー、いいじゃないですか。誰にも言いませんから」


 話を聞きつけたユリカがカンナに質問を浴びせている。よほど変な称号仲間が増えたのが嬉しいようだ。

 カンナに声をかけながら、チラチラと俺とキナコの方を期待した目で見てくるユリカ。いや、俺たちはあれ以降変な称号手に入れてないから! そんな目で俺たちのことを見るんじゃない。

  

 そんなことを心の中で念じていると、ユリカが近くに寄って来て話しかけてきた。


「アキラはあれから何か称号手に入りましたか?」


 そのまなざしは希望に満ち溢れている。しかし残念ながら俺はユリカの期待に応えてあげることはできない。


「言っておくがあれ以降怪しげな称号は手に入れてないからな? 何せ俺は、勇者(自称)だからな」

「隠さなくてもいいですわ。私たちは仲間なのですから、私を信じてすべてを話して欲しいですわ」


 仲間だから信じてくれというのなら、まず俺の発言を信じて欲しいんだけどなぁ。


「とにかく俺は変なものは手に入れてないからな?」

「わかりましたわ。それでしたら、私が仲間としてアキラに新しい称号が手に入るようお手伝いしますわ」


 どうあっても俺を変な称号仲間へと引きずり込みたいらしい。


「よし、私も手伝おう。やはり称号は多い方がいいだろうからな!」

「その通りですわ。私たちが協力すれば称号なんてすぐ手に入りますわ!」


 なんて嫌なチームワークなんだ。まるで絡みつく沼のような吸引力で俺を引っ張り込もうとしてくる。


「今は称号とか要らないから! もう少しでダンジョンクリアだから、先に行かせてもらうぞ」


 そのまま俺は二人から距離を取り、急いでダンジョンの奥へと走り出す。


「今日のところは見逃して差し上げますわ」

「ああ、しかし次の機会には必ず……!」


 後ろから聞こえる中ボスのようなセリフを無視して、ダンジョンの最奥へと走ること数十秒。俺はようやく最後の宝箱の部屋へと到着した。


「大変だったネ」


 そこには素早く危機を察知して逃げ出していたキナコの姿があった。


「ああ、いろんな意味で大変だった。けどようやくダンジョンクリアだ。この宝箱を開けてさっさと村に帰ろう」


 安全だということはあらかじめわかっているので、俺はそのまま宝箱を開けて中身を回収する。中に入っていたのはゴールドリングというアイテムだ。これといった特殊効果はないものの、店で売ると高く売れる、換金系のアイテムらしい。


 アイテムを回収できればここにはもう用はないので、俺とキナコはそのまま部屋の出口へと歩き始める。丁度ユリカとカンナが部屋に入ってくるところだったので合流し、そのまま四人でダンジョンの外へと向うことにした。


「ゴールドリングは手に入ったのか?」

「手に入ったぞ。これを売ればそこそこの金になるだろうから、その金でカンナの武器を買うか」

「それは楽しみだ」


 誰もダメージを受けず、アイテムの取り残しもなし。完璧なダンジョン攻略だったな。


「こうして私たちの初めてのダンジョン攻略は、無事終了したのだった」

「何サラッと嘘ついてるんだ。二回目のダンジョン攻略だろ」

「こうして私たちの初めてのダンジョン攻略は、無事終了したのだった」

「……そうだな」


 初めてダンジョンをクリアしたんだし、少しくらいカッコつけてもいいか。 


 こうして俺たちの初めてのダンジョン攻略は、無事終了したのだった。



 *【称号】ウソツキを手に入れました!*


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