第3話 「ゴブリンと爺ちゃん先生」
目を開けると、ゴブリンたちは居なかったなんて事は無く
俺を囲むように木で出来た棍棒を片手に今にも襲い掛かってこようとしていた。
「やばいぞ、魔法なんて使ったことないしどうすればいいんだ?
しかも、神爺に能力を付与してもらった反動なのか二回目に確認した時体力がかなり減ってたし、まともな防具も無い状態であんなので殴られたらひとたまりも無いぞ。
くそー、じいちゃんにねだって簡単な魔法でも教えてもらっておくんだった~。」
あれこれと、考えを巡らせていると突然ささやく様な声が耳に入る。
(チカラ?チカラ?チカラ ガ ホシイノ?)
「誰だ?誰か居るのか?」
(オナカスイタ。マリョク。チョーダーイ。チョーダイ。)
「誰だか解らんが、俺がやれるモンならくれてやるから、コイツラを何とかしてくれー!!!」
(イッパイ。イッパイ。マンゾク。マンゾク。)
その声が聞こえたと思うと、全身から一気に力が抜けると共に視界がぐらつき始める。
「ぐぅ。何だ?ナンダ?ナン・・・。」
そこで、意識が途切れる寸前、暴風とも思えるような何かが
俺の周りを囲んでいたゴブリン達を巻き込みながら何も無いかの様に
周りの木々をなぎ倒していくのが解ったが俺が覚えているのはそこまでだった・・・。
キィィー、バタン。
木の扉がきしみながら閉まる音に目を覚ますと俺は爺ちゃんに背負われて
爺ちゃんと暮らす我が家へ戻ってきた所だった。
「サイラスや、目を覚ましたか。
ちと、目を放した隙にはぐれてしまったとはいえ
一人にしてしまってすまんかったのぉ。
お前は、自分に何が起きたか解るかのぉ?」
爺ちゃんの声に反応して爺ちゃんをみると、
今までは、気がつかなかった?
と言うよりはただ見えていなかった言うほうがしっくりくる
俺の目には爺ちゃんや俺の周りに反対が透けて見えると言うよりは
赤、青、緑、茶色に加え明るい白、吸い込まれそうな黒と言った
光の玉の様な人の様な何かが見える。
「爺ちゃん?ゴメンナサイ。
話に聞いてたけどやっぱり自分の目で見ると何でも珍しくて
夢中になってるうちに爺ちゃんを見失ったんだ・・・。」
と、爺ちゃんに返事をしながらも回りの光たちにどうしても目が行ってしまう。
「そうか・・・・。
やっぱり、見えるようになったか・・・・。」
「え?爺ちゃんどうゆうこと?」
「お主を探して、歩いてきた道を戻ろうと振り向いたら精霊の力の揺らぎを感じて急いだんじゃ。
そして、次に目に入ったのはお主を中心に風の精霊が嬉しそうに飛び回っておる姿じゃった。」
「風の精霊?」
「お主には、何かきこえんかったか?」
「うん。お腹がすいたって声がどこからともなく聞こえたよ?」
「ふむ。やはりお主には何かあるようじゃのぉ。
じゃがのぉ、前にも言ったが体がそれに耐え切れず
今回はたまたま意識を失っただけで済んだが、そのまま暴走を続ければ
命すら手放す可能性もありうるんじゃよ。」
「え?オイラ死んじゃうの?」
「いやいや、魔法の行使に不慣れな者は精霊の望むままに魔力を吸い取られ足りなければ体力まで根こそぎ持っていかれてしまうんじゃよ。
魔力と体力が根こそぎ無くなれば、人は生きてはおれん。
じゃが、お主はきっと魔法を行使する時無意識に力をセーブしたんじゃろう。
結果として意識を失うだけで済んだようなものじゃ。」
「そっか、そうなんだぁ。
だから爺ちゃんはまだ早いって言っていたんだね。」
「やはり、お主は賢いのぉ。
おぬしと同い年のシリウスはまだ喋るのもたどたどしいと言うに
お主は、ワシの話を理解し、又自ら考え答えを導く力ももっとる。
じゃから、今から言うことを良く聞いておくれ。
魔法を使うなとは言わんが、明日からはワシと一緒に魔法の修行をするぞぃ。」
「え?良いの?爺ちゃんが稽古してくれるってホント?」
「ワシにとってお主は大切な家族じゃ。
何も教えず無理をして命を落とされてはワシは後悔しても仕切れんわぃ。
最初は、魔法を使うのでは無く、魔力は何かということからじゃがのぉ。」
「うん!解ったよ爺ちゃん!イヤ、先生!」
さてさて、主人公が最初に使った魔法は風の魔法でした。
神様に色々サービスしてもらった時についた称号は魔法の適正をもらった際に
精霊に懐かれた様ですね。
前話の二回目のステータスでHPを減らした複線は回収できましたが。
まだ回収してない複線がちらほらありますが、そのうち出てくる予定になります。
次話も期待せずにお待ちいただけると幸いです。