第15話「初めてのクエスト受けよう」
宿をでてギルドハウスへ向かうサイラス。
巻き込まれ体質ではないかと思うような彼に
今日はどんな災難が降りかかることやら
続きは読んでのお楽しみです。
宿から出ると、すぐそこには露天街が並ぶ。
森では見た事の無いような果物やら魚、切り分けられて吊るされた
肉などが立ち並ぶ。
「安いよー!どうでい?坊主一本喰うか?」
目の前に差し出されたのは旨そうに油の滴る串焼きだった。
「押し売りならいらねぇよ。」
「おう。一本目はサービスだ喰え。」
言うが早いか半ば無理やり口に突っ込まれる。
うん旨い。
「どうだ?坊主うめぇだろ?1本銅貨2枚だぞ。」
口の中には串焼きがあるため、左手を開いておっさんに突き出す。
「まいど!5本で銅貨10枚だ。」
朝から無駄遣いしてしまった・・・・・。
まぁ、良いか。
そうこう考えながら歩いていると後ろから誰かがついてくる。
追跡と言うよりは串焼きに釣られてついてきてる様だ。
「なんか用か?」
振り向くとどうみても5歳~7歳位だろうか。
スラムに居そうなガキがついて来ていた。
「なんだ?欲しいのか?ほらよっと。」
そう良いながら串焼きを袋から一本だして突き出す。
「い、いいのかよ?返さないぞ?」
「あぁ、俺は一本サービスで貰ったからな。」
「あんちゃん、ありがとな!」
そう言って串焼きを握ったまま走っていく。
冷めたら味が落ちちまうのに・・・・。
あ、衛兵に止められやがった。
「おい、クソガキ!
盗みをするなんてふてぇやろうだこっちに来い!」
「はーなーせー!そこのあんちゃんがくれたんだよ!
盗んでなんか居ないって!みんなも見てただろ何とか言ってくれよ!」
そういいながら引きずられて行くも、誰も助けようとすらしない。
我関せずってヤツだ。胸糞が悪くなる。
「おいっ!そのガキの言ってる事はホンドだ!
俺がくれてやったんだよ!
だから盗んじゃいねぇんだよ!」
(おい、やめろ衛兵に逆らうんじゃない)
串焼き屋のおっさんが声をかけてくる。
「なんだと?この街を守る衛兵の俺様に逆らうのか?
お前も同罪だ!詰め所まで来てもらおうか?」
そう言いながら、俺の胸倉を掴もうとしてくる。
はっきり言って遅すぎる。目をつぶっていても避けれる位だ。
チャキッ
「誰が盗人だって?もう一回言ってみろよ。」
さすがにそのまま連れて行かれる気は無く
剣を抜きそいつの首筋に当ててやる。
「なっなにをするか!キサマ!牢屋にぶち込むぞ。」
「ほう、この状況で威勢がいいな?
どうやって牢に入れるんだ?
瞬きするより早くお前の首が胴体と別れを告げる事になるぞ?」
「くそっ!キサマ名前を名乗れ!」
「あ?俺の名前だと?俺はサイラス冒険者だ!
俺は逃げも隠れもしねぇ。文句があるなら冒険者ギルドまで来いよ。」
「ちっ!いい度胸だ!覚えてやがれ・・・・・」
おいおい、完全に三流の悪役のセリフじゃねぇか。
「あ、あんちゃん本当に良いのかよ?マジで牢屋に入れられちまうぜ?」
「ふん、あんなヤツ何人来ようと物の数じゃねぇよ。
それより、折角の串焼きが泥だらけじゃねぇか。
なんで喰わずに持って帰ろうとしたんだ?
冷めたら不味くなるだろ?」
「いや、弟や妹達に食わせてやろうかと・・・・。
にいちゃんホントゴメン!」
「おい、おばちゃんそこのカゴにあるパン全部くれ。」
「あんたもホントに物好きだねぇ。銅貨30枚だよ。」
「んー。ただの気分だ。同じガキとして見てられなかったんだよ。」
そう苦笑いするとおばちゃんはカゴはサービスだとおまけしてくれた。
「ほら、持ってけ。」
「あんちゃん、いいのかよ?」
「俺はこんなに食えねぇんだよ。コレで十分だ。」
カゴから黒パンを一つつまみ口に放り込むと
串焼きの残り4本もカゴに入れて持たせてやる。
「転ぶんじゃねぇぞ。」
「うん。あんちゃんまたねー。」
「次はおごらねぇよ!」
そう言うと雑踏の中に消えていった。
「ムダに時間を食ったしさっさとギルドに行くかな~。」
と言いながらギルドに着くと騒々しいギルドがいつも以上に騒がしくなっていた。
そして、中に入ると昨日の受付のネェちゃんが怖い顔をしながら俺に詰め寄ってくる。
「どうも、サイラス様おはようございます。
昨日はユックリオヤスミでしたか?」
「ん?俺に何か用か?」
とぼけてみるも腕をがっちり掴まれて逃げられなくされた。
「さぁ、いまから少しお時間よろしいですか?」
「いや、これから用があるから急がないと・・・・。」
「少しO 0HA NA SHI しましょうね?」
「は、はい・・・・。」
そうして、俺はギルマスの執務室で椅子に座らされた。
そして何故だか顔面ボコボコの騎士が二人ほど目の前の床に座らされ
横のソファー、そう俺の目の前には初老の老騎士が座っている。
この状況はなんだ?何が起こった?
「おい、サイラスおめぇなにした?」
「さー?さっぱり記憶に無いな。」
「昨日の今日でとぼけるんじゃねぇ。
何もしてなきゃ、騎士団の総括であるセルゲイ様がこんな所に来るわけねぇだろ!」
「マスター?こんな所とはどの様のな所の事でしょうか?」
うん、ネェちゃんマジパネェ。顔はニコニコしてるが威圧感がマジだ。
アインのおっさんも汗ダラダラだし。
「うっ、これはだな、あれだ、言葉のアヤってヤツでな。」
「マスター、後でゆっくりお時間を頂きますね。」
「いや、この後はよて「夕方までは予定は無いはずですので」いがあr。」
「アイン殿より先程紹介されましたが騎士団を纏めさせて頂いております
セルゲイと申す者でございます。
先日門でありました騒動と、先程の町なかで貴殿に無礼があったと言う事で
当事者達と話し合いの結果正式に謝罪をしに来た次第でございます。
我々騎士団としても、有事の際は冒険者ギルドの方々と円滑に連携が取れねば
死活問題となりうる為、ここで遺恨を残すわけにもいかないので・・・・。」
「セルゲイ様我々は何も謝罪するようなことは・・・・。」
「自分も職務を全うしようとしたまででして・・・。」
うん。人相すら解らないからどっちがどっちか解らんなコレ。
「おぬし等は今更弁解出来るとでも思っておるのか?
サイラス殿に感謝こそすれ、何か言えるような立場ではない事が解らぬか?
正直、相対するまでは半ば冗談かとも思っておったが
この目にすると、お主らでは一合の時ですら持たず切り捨てられるわい。」
「「・・・・・・。」」
「で、いったん何がしたいんだ?面倒ごとならゴメンだぞ?」
そう言い、席を立とうとするが、うん扉は無理だな。
窓は・・・・うん無理だ。
扉にはネェちゃん、窓にはアインのおっさん。
完全に逃げ場はふさがれた。
「何をと言う事は無い。
この馬鹿共の事は今回に限りワシの顔を立てて謝罪を受けてくれんか?
この通りじゃ。」
そういい、爺さんが頭を下げてくる。
うん。ダメだ俺爺ちゃん大好きっ子だから老人には甘いな。
「しょうがねぇな。爺ちゃん貸し一つな。」
「承知した。ワシで力になれる事ならこの老骨に鞭打ってでも手助けになろう。」
「「セルゲイ様!」」
「ほんとに、おめぇ怖いものって無いのかよ・・・。」
「将来大物になりそうですわネェ。」
二人の視線が痛い・・・。
「じゃぁ、これで俺はいくぞ?
明日からのメシ代も稼がなきゃならんし。」
「そうじゃ、忘れておったわ。コレを受け取ってくれ。」
そう言うと、セルゲイの爺ちゃんが机にガチャンッと袋を置いた。
「ん?コレは?」
「こいつら二人の向こう三年分の給金じゃ。」
「「え!?そんなの初耳です!それでは我々はどうすれば・・・・。」」
うん。そりゃそうだ。
三年間無給か、こりゃ絶望的だな。
「あんずるな。主らは向こう三年間ワシの屋敷に住み込みで
修行になった。騎士団長と国王様も納得済みじゃ。」
「「解りました・・・・。」」
二人ともこの世の終わりの様な顔をしている。
よほど辛い修行なんだな~。
「俺はそんな金要らないぞ?」
「「「「え?」」」」
爺ちゃん以外が驚いたようにこちらを見る。
爺ちゃんは何故か嬉しそうに眼を細める。
「ほう。コレを懐に戻せとおっしゃるので?」
全員の視線が痛いなコレ。
「ん?誰も戻せなんて言ってないぜ?
俺は爺ちゃんと二人で生きてきてたが、
こうして一人前かどうかはわからねぇが冒険者になれた。
この街に来て思ったが、スラムには親の居ないガキ共が
たくさん居るんじゃねぇか?」
「全体を把握してはおらぬが、それなりの数はおるじゃろうな。」
「そこで、相談なんだがその金でスラムのガキ共の住める孤児院ってヤツを作ってくれよ。」
「ほう、何が目的じゃ?」
「その金を俺が貰って使うのは簡単だ。
だが、俺も年を食えば戦えなくなる。」
「スラムじゃなくて、孤児院があればそこででかくなった奴らが騎士なり
冒険者なりになれば俺の老後も安心だろ?
スラムで育った奴らは、この街に恩も縁もねぇから大きくなりゃ出てっちまう可能性が高いからな。」
「ふむ、しかし維持して行くとなるとこの額じゃ到底たらねぇぞ?」
「アインのおっさんも良い所に気がついたな。
そこで爺さん、さっきの貸し早速返して貰うぞ。
国王にその案を通してくれ。」
「ふむ。国で残りを負担しろと言うのか。」
「半分正解だが半分不正解だ。」
「ほう。残りの半分はなんじゃ?」
「そこは、爺さんここはどこだか解るよな?」
「んむ。ここは冒険者ギルドじゃ。」
「そうだ、残り半分とはいかないかもしれねぇが、俺達冒険者も協力する。
俺達のこなす日々のクエスト報酬からいくらかをギルドで徴収して
孤児院の運営に回す。
出来ねぇとは言わねぇよな?」
そう良いながら、アインのおっさんを見ると難しい顔をする。
「しかし、俺の一存じゃなぁ・・・・。」
「そこで良い案があるんだよ。
国から援助を貰って、スラムのガキ共でも出来る仕事をギルドで斡旋してやるんだよ。
例えば、ゴミ拾いだとか荷運びの手伝いとか。
冒険者がやるような事じゃねぇ手伝いみてぇな仕事だってたくさんあるだろ。
そうゆうのをガキ共にも手伝わせて金を稼ぐことを覚えさせるんだよ。
金が稼げりゃ盗む事も無くなろるだろうし良い事尽くめだろ?」
「クエストの方は私共で準備しましょう。」
さすが出来るねぇちゃんだ切り替えが早い。
「んむ。そう言う事なら国王に話してみよう。
「ちっ、本当に頭の回る餓鬼だな。ここまで言わせちゃ反論もでねぇわ。」
「よし、話も纏まった事だし、これで手打ちでいいな?爺さん?」
「なんか丸め込まれた気もせぬ事は無いが悪い気はせんな。」
「こっちは面倒事だらけなんだが?」
「キノセイだ。」
「んじゃ、俺は適当にクエストでもこなして来るぜ?
確か、常駐クエストでゴブリンやオークの討伐があっただろ?
肩慣らしにアレで良いわ。」
「ゴブリンは解るがオークはソロで行くもんじゃねぇぞ?
せめてパーティー組んでから行って来いよ。」
「いまからメンツ集めてたら明日になっちまうよ。
無理そうなら帰ってくるし。適当に肩慣らし程度だからさー。」
そう言いながら俺はギルドハウスを出て森へと向かう。
なかなか物語が始まらず申し訳アリマセン。
次回戦闘パートになります。




