第13話「ギルドマスターとOHANASHI」
前回の続き。
突然現れた爺さんに抱えられて、ドナドナされて行ったサイラス
このままでは、サイラスの身に危険が!となるかは読んでのお楽しみです。
「で、爺さん一体何の用だよ?」
ギルドマスターの部屋の様な場所へ抱えて連れて来られたは良いが
暑苦しい爺さんと二人きりなんてホントマジ無理。
「お主こそワシになんか用があるんじゃないのか?」
「いや?俺が用事のあるのはギルドマスターであって
おっさんじゃ無いぜ?」
そう言うと、おっさんのコメカミがピクッと動く。
「てめぇ、いつ気が付いた。」
やべぇ、このおっさん殺気がダダ漏れジャン。
まぁ、殺されるつもりは無いけどまた面倒な感じだなコレ。
どうやって誤魔化そうかなぁ~。
「おい、誤魔化そうなんて考えはするんじゃねぇぞ?」
おっと無駄に鋭いな。
まぁ、正直に話しておくか。
「だって爺さんって言ってもそこまでの年じゃないだろ?
ギルドマスターって言えば、ウチの爺ちゃんの古くからの知り合いだって
聞いたし。
まず、おっさんみたいな若さじゃそんなのは無理だ。
エルフやドワーフなら見た目じゃ解り難いだろうけど
人間には誤魔化しきれないでしょ?
それに、隠蔽の魔法やスキルを使うほど
おっさんは魔法が得意そうに見えない。
むしろ、先陣切って敵に殴り込みに行くタイプででしょ?
マスターって言う位なら、思っても表情には出さない狡猾さも必要だしね。」
とりあえず、思いついた事をツラツラ言い連ねていく。
だんだん爺さんの表情が曇りはじめるもついには笑いだした。
「くっくっくっく。つくづく面白い坊主だな。
おめぇ、ホントに12歳のガキか?
下手すりゃ、俺より長生きしてねぇかって思えて来るんだが
本当に人間か?」
「そんなの、ウチの爺ちゃんに聞いてよ。
俺は気が付いたら爺ちゃんとずっと森の中の家で暮らしてて
王都なんてホントに数回しか来た事無いんだもん。
ウチの爺ちゃんが人間なら俺も人間だと思うよ?」
「まぁ、確かに賢者様の孫って聞いてなけりゃ疑う所だったが
ザックの目もあながち節穴じゃねぇな。」
どうやら、ザックおじさんからすでに俺が来る事を聞いてたようだ。
「で、マスターはどこ居るのさ?」
「そんなもん、俺に聞かれてもわからねぇよ。
あの人は、突然現れちゃいつの間にか姿も形もねぇって位たまにしかいねぇんだよ。
だから、普段は俺がマスターの業務も兼任してるサブマスターのアインだ。
」
「あとな言っておくが、俺はまだ30台だじいさんじゃねぇぞ?」
「ぉお、ゴメンナサイ。おっさんも苦労してるんだなぁ。」
「おっさんか・・・・。
まぁ、良いか。
とりあえず、冒険者登録するんだろ?坊主?」
「あぁ、それも兼ねて手紙の件を引き受けたんだ。」
「おい!アレを持ってこいや!」
おっさんが大きな声を出すと、小奇麗なネェちゃんが銀色のトレイを持ってくる。
「坊主、そのトレイに血を一滴たらしてくれや。
そうすりゃ、すぐにでもカードは出来るからよ。」
「へー?そんなに簡単なんだ。
はいよっと。」
そう言って血を垂らすと、ネェちゃんが軽くお辞儀をして
退出して行った。
「まぁ、坊主のランクだが
ザックの野郎からはAからでも問題無いとは聞いてるが、
まずはカードが出来てからだ。
さすがにAからは無いがDスタートはありえるから安心しろ。」
「おっさん、FとEを素っ飛ばしても良いのかよ。
規則とかどうすんだ?」
そう言うとおっさんはニヤッと笑いながらこう言って来た。
「おいおい、俺をあまりなめるんじゃねぇぞ。
おめぇの鎧キラーエイプのレザーアーマーだろ?
俺の見立てじゃそれも亜種だ。
そんな鎧着れるヤツがFやEスタートで薬草取りでも行くのか?」
「なんだ、バレてんジャン。」
「しかも、剣の腕もそこそこ出来ると見た。
さっきの剣筋見えてたんだろ?
まぁ、全く本気じゃなかったがな。」
「うん、あんなの寝てても避けれるね。」
「おうおう、言うじゃねぇか。
それじゃぁ・・・。」
「マスター、カードの用意が出来ました。」
「おい、この仕事長いんだからもう少し空気読めよ。」
「ですので、空気を読んで暴走する前にお止めしたんですが
何か問題でも御座いますか?」
「「アリマセン!!」」
おいおい、勢いでこっちまでカタコトになっちまったじゃねか。
サブマスターより、ネェちゃんのが遥かに怖いぞ。
「何か仰りたい事でもあるのでしょうか?少年?」
俺は無言で首を振り否定する。
こりゃダメだ死ねる。
「では、こちらがギルドカードになります。
初回は無料ですが、紛失された場合は金貨三枚。
破損した場合は直ちに持ってきていただければ
事情により費用は考慮しますのであしからず。」
「はい。ありがとうございます。」
「ちなみに、細かい説明はマスターからありますので。
イイデスネ?マスター?」
「おぉう。任せとけ。」
「では、失礼します。」
「じゃぁ、まずカードに坊主の名前がある事を確認してくれ。
名前の横がランクだ。
名前の下にステータスの大まかな値が表示される。
遥か昔は数値化できるものがあったらしいが、大戦時に喪失したとの事だ。
そして、最後に武器適正等がその下にあるはずだ。」
~~サイラス Lank D~~~~
力C
素早さB
耐久力C
魔力A
スキル:
剣術C 魔法A 格闘C 杖術B
魔法:
炎C 水B 風A 土D
~~~~~~~~~~~~~
久々に自分のステータスを見た気がするな。
鑑定スキルについては神爺の悪戯なのか
修行をしている時に使おうとしたら使えなくなっていた。
さっきの話からすると、この時代にはありえない物だから
消したのかな?
まぁ、不用意に見えてもいい事は無いからどちらでも良いんだけど
少し不便な位だし。
「確認出来たか?
ちなみに名前とランク以外は本人にか見えないからな。
後は犯罪歴などがあれば裏側に表示される。
これは、隠そうとしても出来ない。
それに、再発行したとしても基本的には永続で表示される。
まぁ、償ったりすれば消えはしないが、横線が入り無効とされる。」
「基本、殺人窃盗は重罪。
窃盗については被害によっては死刑もある。
取得物や盗賊の持ち物に関しては、基本討伐者に権利がある。
例外として、家宝や国宝など貴重な物の場合は
それ相応の対価と引き換えになり隠蔽した場合はこれも犯罪行為となるから注意しろ。」
「あと、冒険者ランクC以上になると指名依頼が発生する。
これについては、基本断る事も自由だが
よほどの事情が無ければ受けてやってほしい。
だが、相手が貴族だからと言って強制力はないから安心してくれ。」
「Dランク以下は理由が無く一定の期間クエストを遂行しない場合は
降格もありうる。
逆にCランク以上は指名依頼等の制約もあり降格は基本的には無い。
受けられるクエストは基本自分のランクの一つ上まで。
Aランク以上に関しては同ランクでかつ最低2人は必要だ。
それ相応の危険があると思ってくれ。
冒険者についての説明はこんなもんだが質問はあるか?」
「いや?特には無いぜ?」
「そうか、ではとりあえずDランクから始めてくれや。
成果しだいじゃBまでは俺の権限で上げてやる。
それ以上は俺の権限だけじゃ無理だ。
国に対して中立とは言え国への貢献度もかかわって来ることだからな。」
「十分だ、助かるよ。
俺は、今夜の宿も決めなきゃだからそろそろ良いか?」
「そうだ、忘れてたぞ。
ザックからの言伝で、王都の商業区にある片角の牡鹿亭って所に泊まれって言ってたぞ。
なにやら報酬の一部で春先までの料金は支払い済みだそうだ。」
「そうか、ザックおじさんにしては無駄に気が利いてるな。
んじゃ、また明日の昼位にでもクエストを覗きにくるさ。」
「おう、ちょくちょく顔を出せよ。
じゃねぇと忘れるからな。」
「忘れんなし!」
そうして、むさいおっさんと二人きりだった状況も終わり
ギルドから出るとすっかり真っ暗になっていた。
言われた通りの場所に来ると
入り口に牡鹿の角が片方折れた骨のかかげてある所に着いた。
「こりゃ、解りやすい看板だなー。」
納得しながら頷いてると、突然腕を引っ張られ店の中に引きずりこまれた。
「かあさーん。客捕まえたよー。」
声のする方を見ると年の頃は7~8歳だろうか、可愛らしい栗毛の女の子が俺の腕を引っ張っていた。
まぁ、確かに客には間違い無いんだが今日は色々と騒動に巻き込まれてばかりだなぁ。
「ヘルガー!あんた又強引な客引きしたんじゃないだろうね。
ちょっと手が離せないから、一晩銀貨1枚で良ければその子に渡して部屋は二階の一番奥があいてるからそこで寝ておくれ。」
「どうする?おにいちゃん?」
「おう、問題ない。
追加料金で良いからなんか喰うもの無いか?」
「ん~。黒パンなら何個か残ってたけど
それでいい?」
「問題ない。出来ればコレも焼いてくれるとあり難いな。
半分はお嬢ちゃんにお駄賃としてあげるよ。」
「ほんと?黒パンは籠で銅貨10枚ね。
この鳥さんは半分を調理費として頂戴します!」
「んじゃ、宿賃とあわせて銀貨1枚に銅貨10枚ね。」
「まいどありー。部屋の鍵は御飯と一緒に持っていくね。」
「頼むよ。」
いらぬ事に首を突っ込むのは明日にしよう。
そう思いながら、遅い晩御飯を流し込むとその日はそのまま倒れるように眠った。
なんとか、解放されたサイラスは宿代の事は色々あり過ぎた為か
すっかり忘れて宿賃を払ってしまう有様。
やはり前世で4x歳の経験があるとは言え
この世界ではまだ12歳に満たない子供。
今夜の彼はどんな夢を見ることやら。
少しは良い朝が迎えられると良いかと思います。
ただ思うだけで、なるとは言い切れませんが・・・。
では次回お楽しみに。




