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真・恋姫大戦記  作者: 明火付
第二部・逆賊、北郷一刀
19/34

第十九話『起死回生の一手』

陽平関の戦いは激化の一途を辿っていた。

一刀達の軍は静かに疲弊していく。

「いつまでこんな温い戦をしておるのだ!」


張遼軍陣営。

陽が没した全天の空の下。

篝火に頬を染めながら趙忠が詰問の声を上げた。

軍議の席だ。隊を率いる武官数名と、審議に応じていた張遼はその声に顔を向ける……何故か呂布だけは素知らぬ顔で隅で群がる犬達に干し肉を上げていたが。


「最初に比べ、連日ただ悪戯に小さく攻め寄せるのみ。そして夜は」


言った時だ。

張遼の軍が布陣する山々より声が響いた。

それは雄たけびだ。兵士達が、陽平関に向けて叫んでいた、

千を超える唸りは地を震わし、鼓膜を強く刺激する。


「これだ!お陰で私は眠れんではないか!肌が荒れたらどうする気だ!」


「あんたは戦より自分の肌が大切かいな……」


思わず突っ込みを入れる張遼である。

そして赤子に諭すように指を前で振るった。


「ええか?あの陽平関は想像以上に堅い。ただ迂闊に攻め寄せても被害が出るばかりや。だからここは――疲弊を誘うんや」


「疲弊だと?」


「せや。連日連夜、夜襲に関攻め。その波をずっと繰り返すんや。うちらは相手より数は多いから、交代で休める。でも、相手は関を抜かれたら終わりやからずっと気を張ったまま」


発生するのは小さな波だ。

勿論、その程度では簡単に落とせない。

だが波は静かに海位を上げていき、そして。


「あの関はそろそろ溺れるで。まあ見とき」


「悠長な……このことは皇帝に報告させてもらうからな!」


趙忠は捨て台詞を残して脚を荒げて陣を出て行った。

その姿が消えてから、武官の1人が言う。


「趙忠殿、最近やけに苛々してますね」


「ま。噂は本当っちゅうことや」


やれやれ、っと首を振り張遼が言う。


「噂というと皇帝の体調が予想以上によくないという、あれですか」


誠しやかに大陸に伝わっているものだ。

黄巾の勢力は、今やその勢いを大きく落としていた。

それは大陸の戦火が縮小していることを表す。

だが同時に、その地を統べる現皇帝が倒れたという話しが聞こえてきていた。

伝わってきたのは数日前のことだ。そして、


「奴も焦っとるんやろ。早く結果を出さんと、後ろ盾を失うからな――」


言った時だ。

音も無く兵が幕を上げ入ってきた。

髪を小さく切り、目つきの鋭いその男は、董卓軍に長年使える間諜だ。

男は無言で書状を差し出す。それを篝火に照らして読んだ張遼は静かに笑った。


「よっしゃ。さすが賈駆っちやな。これで負けても勝っても後顧の憂いは消えたで」


「では――いよいよやりますか」


「ああ。叫び声を止めさせえ。今日は静かに寝ようや。そして、明日で決着や」


書状が篝火に放り込まれる。

生じた熱気は爆ぜる音と火花を生み、それは夜空に上がっていった。


「楽しい戦やったけど、北郷。決着つけようか!」





同時刻。

一刀は関の上に立っていた。

夜の中、篝火を除けば光りがない。

見上げれば満月の光が、淡くこちらを照らしている。

夜風に乗って、時折耳朶を打つのは敵の声だ。

お、という言を伸ばしたもの。

たまに近くを通る兵達が、時折流れるその音に不愉快そうに眉を潜ましている。


「お休みになられないのですか」


それは星だった。

月夜に照らされた顔が、登ってきた階段より半身出してこちらを見ている。


「ああ、ごめん。何か眠れなくって」


「謝られることではございません。ふふっ、最近の主殿は謝ってばかりですな」


「ごめ――」


言おうとして、一刀は再び謝罪の言葉を出そうとしている自分に気づいた。

口元をほころばせ、彼女はそんな主君に微笑む。

階段より上った彼女は、寄り添うように一刀の隣に立った。

照れ隠しも含めて、一刀は星に尋ねた。


「星はどうしたんだ。こんな夜中に」


「はい。どうも決戦が近そうなので」


そう言って、星は手を口元に寄せた。

その下には悪戯を思いついた子供のような笑みがそこにある。そして、


「主殿に夜這いを掛けようと思いまして」


「ぶっ」


吹き出したのは一刀だ。


「な、何を言っているんだよ、こんな時に」


「おや?主殿。私程度ではお目に敵いませんか――そうですよね、私など戦でしか能の無い女。畏怖はされても抱く対象として見てくれる男など」


「そんな訳ないだろ!星はとても綺麗で頼りになるし、魅力的だ!」


声を荒げ言って、そして一刀は、はっとした。

だが遅い。

周りの警護に着いていた兵達が全員こちらを見ていた。

それは一瞬だ。

すぐさま兵達は元の行動に戻っていく。

目を反らしながら、口笛を吹かせながらだ。


「……凄く気を使われた気がする」


「ふふっ。主殿は見ていて飽きませんね」


「星……お前わかっててからかったな」


「主殿はお優しいですから」


言って、彼女は視線を落とした。

それは一刀の手、そして足に。


「体の傷は癒えましたか?」


「ああ。一時ゴッドヴェイドウで習ってた人が軍医にいるからね。それなりに動けるようにはなったよ。星こそ、呂布に受けた傷は癒えた?」


「あんなものは傷の内には入りません。唾でもつけておけば治ります」


笑い、そして視線を山々より変え、関の中に向ける。

そこには決戦に備えて武具を手入れするもの。

仲間と談笑する者。

倒れるように眠る者、傷を受け布を巻かれた者と、様々だ。

しかしその横顔には共通するものがある、それは。


「皆、疲れておりますね」


「連日連夜攻めてきて、一日も休んでないからな。疲労が溜まっているんだろう」


「風からの伝言です。あの子の見立てでは、もう充分に体を動かせる者は半数にも満たないと――それと例の道具ですが、なんとか完成に間に合ったようです」


それは沈黙だった。

一刀は静かに目線を上にやる。

満天の空。そこにいる誰かに愚痴を零すように、だ。


「もうちょっとだ。もうちょっと耐えられれば――」


「あの言われたことですか。黄巾党が討伐され、そしてすぐに皇帝が亡くなる、と」


「ああ。皇帝はもうすぐ亡くなる、そうすれば宮中で争いが起きる。もうそこでしか、逆賊の汚名を削ぐことは出来ないと思う」


張譲が宮中で力を振るっている限り、弁論の余地はない。


「それは天の智恵ですか?それとも勘?」


「どっちもだよ」


苦笑するように一刀は目を細めた。

だいぶ自分の知ってる外史とは、ずれてしまっている。

今までの経験がどこまで生きるか分からないのだ。

だけど、今の一刀にはそこしか寄り添う所がなかった。

気づけば外から流れる声がなくなっている。

最近では滅多に無かった静かな夜だ。

だから、っと星は口を開く。


「厳しい戦いになりますね」


一刀は答えず眼下の山々を見つめていた。

その横顔をじっと見つめる星。

二人を、静かに月が照らしていた――





明朝だ。

朝霧に包まれた中を軍馬が歩を進めていく。

地を覆うような大軍勢だ。

露出してある地面を全て包むように、その群は進んでいく。

掲げられた旗は呂旗と張旗。

その先導に立つは呂布と張遼の二人である。

呂布は修復された方天画戟を手で簡単に振るって。こくんと頷いていた。

対するは一刀、星、風の三人率いる陽平関だ。

最後の軍儀の中で風は二人に言った。


「今の扱える兵は3000にも満たないでしょう。対して相手は今だ15000は控えています。城攻めは三倍の兵を用いろとの言葉通り、相手が有利です――そして私達にはここを超えられれば勝ち目はありません。ですが」


風は頷き、言う。


「先ほどお教えしたとおり、私達には策があります。間に合うかは分かりませんが――お願いします。耐えて、耐えて耐えて――。勝ちましょう」


「みんな行くぞ!」


一刀の言葉に応、っとその場にいる全員が頷いた。

漢中軍は陽平関に陣を取る。

対する張遼率いる軍勢は、狭めるように前方を支配した。

張遼軍はゆっくりと前進していく。

満ち潮のように、少しずつ、その波を狭めていく。

彼らの中心には幾つも伸びるようにうず高く積まれた戦車があった。

巨大な木の杭を木製で組んだ車に搭載したそれは、中に動かす兵達を入れている。

衝車という攻城兵器だ。

しかも関の門前以外の場所には上に兵達を乗せ、中には梯子、弓兵を限りなく搭載している。


「やはりきましたか。門の兵は火矢の用意をお願いしますー」


風の言葉に壁の兵達は鏃に布を巻いた。

それを足元に置かれた油の入った容器に充分に浸す。

あとは手元の篝火に布を付けて、幾つもの火点が関の上に並んだ。


「ってー」


おっとりした声だが、しかし号令は目的を成した。

幾つもの火矢が宙に舞い、落ちてくる。

衝車の中にいる兵は、その振ってくる火矢を見ていた。

確かに火には弱い。だが、その為にもありったけの水で濡らしてきているし、

――なによりここは荒野だ。いざとなれば土でも掛ける。

そう思った矢先だ。

彼は何かを踏んだ。それは草だ。

見れば、自分達が進撃する場所、そこ至る所に野草が生えていた。

先ほどまでは黄土色の砂地だったのに何故――?

その疑問は、すぐさま晴れる。

草の下。踏みしめる自分の足元を、何かの液体が浸したのだ。

ツンと鼻腔をつくそれに、兵はすべてを察して叫んだ。


「しまった!油だ!草の下に油が撒かれて――!」


叫びはしかし、一つの火矢が巻き起こした炎で掻き消える。

それは至る所で起きていた。

前日に事前に用意された草に油を大量に注いでいた。

兵達は気づかず前進し、そして飛び出した油に火がついたのだ。

軍中に幾つも生じた火柱に、眼下の兵達が巻き込まれていく。

とある衝車はその土台より出火し、火の渦は上にいる弓兵達を飲み込んだ。

体中を火で包まれた男は、悲鳴を上げながら塔の上より落下する。

しかし、それでも幾つかの部隊に傷を負わせただけだ。

火を掻い潜った衝車の幾つかは関の壁に取り付こうとしていた。



弓の応酬が始まった。

動きは二つ。降るものと、打ち上げるものだ。

多くの悲鳴が関の上と、その下より鳴り響いていく。

その間を縫うように、衝車、そして大地より梯子が掛けられていた。

関の上の人間はそれを外し、上から石を落とす。

壁半ばまで上った兵は、受けて何人も落下していった。

悲鳴を上げ、倒れていく仲間を、しかし踏み越えて次の兵が登っていく。

止まらない。そして、


「よし、落とせ!」


の壁の上でそれは実行された。

兵達が持ってきたのは巨大な丸太である。

そこには鉄の鎖が厳重に撒かれており、横長だ。

彼らはそれを、壁の上から落とした。

力を得た丸太は登ってきた梯子、そして衝車を兵士ごと飲み込み、


「――!」


幾つもの悲鳴を巻き込んで、押しつぶした。

重量のある落下は地を震わせ、木材の欠片が落下する。

土煙の中、赤く染まった丸太は壁を沿って登り始めた。

撒きつかれた鉄の網を引いた再利用である。




「はー!便利なもん考えるなあ!」


驚嘆の声を上げる張遼だ。

丸太の上、何人かの兵が上ろうとするが、しかし集中的に弓に射抜かれていた。


「き、貴様!真面目に戦をする気があるのか!?」


言ったのは趙忠だ。


「大丈夫や。確かにええ戦しとるけど」


張遼、目を細める。

そしてとある事実を確認して、視線を後方にやった。

そこには西涼の騎馬兵が轡を並べて待機している。


「あんた等準備せえ!そろそろ始まるで!」


そして武具を手に取る。


「見せたろうやないか!うちらの、神速っちゅうやつをな!」


号令はしかし、確実に威を震わせていた。

張遼はその目で確認したのだ。

敵を寄せ付けなかった壁の一角。その上が確かに崩れたのを。

吹き飛ばされ、落下していく兵は張遼軍所属ではない。

漢中の兵達だった。


陽平関。

自分の左方、そこから悲鳴が上がったのを見て、1人の隊長格が視線をやった。

見れば、兵で埋め尽くされた一角が吹き飛ばされ、爆発の中心には1人の姿がある。

赤い髪をした少女だ。その威は兵の全身の体温を一気に上げた。

――あの天下無双の、呂布が、いつのまに!?

登ってきた箇所は見覚えがある。

丸太が配置され、特に厳重になっている場所だ。

そして、彼女の近くには丸太の鎖があった。

彼らは上って来る彼女に気づき、弓を射かけ、それでも止まらず。

故に丸太を離した――だけどその頃には飛び移られたのか。

思考が帰結し、兵は手に持つ槍を握った。

煙を上げ一歩、歩いてくる呂布。

全身が沸騰しそうな錯覚に陥る。

勝てる訳がない。

だが、隣、足音がした。

それは彼が指揮する兵達だ。全員槍を捨て、金属の盾を構えている。


「構え――!」


地面につけ、道を塞ぐように立つ兵隊。


「お前等……」


「いま、趙雲将軍をお呼びしました!ここを崩されれば、他の壁も危ない!」


入ったばかりの新兵が叫ぶ。


「漢中に住む人間の意地を中央に見せましょうや!隊長殿!」


その声。昨夜眠れないと震えていた男の声に、隊長は苦笑した。

寄越せ、っと盾を持ち自分もその一角に入る。

呂布はその光景を前に、疾走した。

手に持つ方天画戟が、一閃。

その一撃は盾ごと、兵達を横凪に吹き飛ばした。

新兵も声をかけた男も、壁の上より落ちていく。

だが、残り半数は耐えた。

体を震わせ、前の仲間の衝撃に身を震わせながらも、耐えたのだ。

それも刹那の生に過ぎない。

呂布は振りかぶった方天画戟を、きりなおし、もう一度

一閃。

今度こそ、隊長ともども残った兵が空を舞う。

回転していく空。しかし隊長は薄れ行く意識の中、自分達が吹き飛ばされた箇所を、白の衣服に朱槍を持つ少女が飛び出したのが見えた。

背後が崩れるまで耐えられたことに隊長は歯を見せ笑う。


「ざまあみろっ!俺達は役目を果たしたぞ、俺達は――」


声はしかし、壁の下に落ち、敵兵の渦に埋もれていった。



「壁の一角、突破されました!」


その悲鳴のような声が関の中に響き渡った。

風はその速さに、眉を顰める。


「まだ……まだ、なのですか」


風は言った。しかし、兵は静かに首を振る。

儀上。一刀が立ち上がった。

その手に刀を持って、だ。


「風――少し早いけど、行くよ」


それは前回の暴走に似ていたが、これも策の内の一つの動きだ。

関の中、剣と矛の混じる音が聞こえてくる中。

風は思案するように目を細めたが、しかし頷いた。


「あの人たちなら、絶対に来てくれるはずです。だから」


腰を落とし、言う。


「ご武運を。お兄さん」


言葉に一刀は力強く頷いた。

すぐさま歩き出し、その後を武官達が付いてくる。


「打ち合わせ通りに、兵を出す!いくぞ」


武器を握る彼の背後には続々と兵が集中しつつあった。

その数1000弱。全てが騎兵だ。

壁の上は既に多くの張遼の兵達が上っており、陥落目前である。

故に一刀は連れて来た馬に乗り込み、叫んだ。


「俺達の漢中の為に!出撃!」


突如として門が開かれた。

雪崩れ込むように進入してくる歩兵達。

それを、白で装飾された騎馬兵が、一気に押し潰した。

目指すは中央突破だ。

黒の波を裂くように表れた騎馬兵達は、一気呵成に突撃した。

騎兵の勢いも力強さも歩兵のそれではない。

そして先ほどまで弓や衝車を押していた兵達は、その流れに飲み込まれた。

踏み荒らされ。押しつぶされ。

雑踏の中で多くの兵達が倒れていく。

しかし対する数は膨大だ。

一度切り裂かれた黒は、しかし押しつぶすように白の波を包囲した。

弓、槍。

方面から散々に攻撃され、何人もの兵が倒れた。

更に悪いことに、この機会だった。

前方の軍勢が、さっと道を開ける。

そこに、無傷だった張遼率いる騎馬兵達が、大気を荒らして突撃した。

神速と唄われる速度で食いついた兵達は、そのまま一気に押し切る。


馬上。

剣を振るう一刀は突撃してきた張遼とぶつかった。

出会い頭に鋭い斬撃を受け、一刀はなんとかその一撃を受け止める。


「北郷!来たでえ!もうあんたの負けや!降参しい!」


光りが引いた。

高速で振るわれる刃が対する刀にぶつかっていく。

しかし、その瞬間も一刀の兵隊は倒れていく。

駄目か――そんな叫びを残しながら。


「まだだ――!」


だが一刀は諦めていなかった。

気を巡らせ張遼の一撃を食い止め、叫ぶ。


「諦めてたまるか――絶対に!」


そう言った時だ。

突如として、陽平関の先、山々に旗が揺らめいた。

一つではない無数だ。それは伴う形で兵として現れる。


「急いで来たら、我らが主が苦境に立たされてるじゃないさ」


先導するのは、黒い髪を後ろで結った小柄の女性だ。

手に持つのは鍼と糸。

師愉。南の抑えに行った筈の彼女が、そこにいた。




「報を聞いて南に兵を半分残してから回り込んでみれば、こんな事態かい」


そう言う師愉の前、三つの人影が躍り出る。


「しかし我らは無防備な相手の後ろに回れましたぞ――絵面的に」


長身痩駆、楊昂。


「さあさあ、参りましょう!」


小男、楊松。


「私達の力を見せる時ですな」


腹部を肥大化させた男、楊任。

そこにはゴッドヴェイドウの弟子達がいる。

そんな三人を見て、師愉は苦笑いを浮かべた。


「あんた等、馬鹿だねえ。ゴッドヴェイドウを破門されてもどうしても付いて来たい、だなんて。貧乏くじを引くのはあたしだけでいいのにさ」


「我らは一度、懈怠の底に沈みました。しかし、それを引き上げてくださった」


楊昂が代弁して言う。


「楊柏がいればこうしようと言った筈です。だからご命令を、師愉様」


「はん。弟子が格好つけちゃって、まあ」


そうして師愉は背後に目をやった。

そこには戦意旺盛な兵達が命令を待っている。


「付近の豪族の協力や義勇兵で膨れ上がった、8000の兵――」


そうして師愉は右手を振るった。

三人の弟子を筆頭に兵達が駆けて行く。

張遼の軍、その背後に食らいつくようにだ。


「一刀様に褒めて頂くには充分な数だろうさね!」


一刀達を潰すため隊列を崩した敵軍には。

その強襲は充分過ぎるものだった。





またまた長めになってしまいましたね。

次で陽平関の戦い、最後です。

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