ボックルのアドバイス
※8話目です。
ボックル爺から恋愛成就に関する重要アイテムを教えてくれた!
その後も私、恋活を続けた。
案外、出会いのチャンスって訪れるものである。
だけど、私の場合は殆ど空振りに終わってしまっている。
なかなか良い結果が出ないのだ。
彼氏ゲットまでには、かなりの道のりと時間を要するように感じてならない。
空振り続きの恋活をして、さすがの私もホトホト疲れてしまった。
そこで私は…
あのボックル爺の事を思い出して、師のいる占いの館へ久々にお邪魔した。
今までの状況は大体、メールとかで報告済みである。
私は営業を済ませた爺と、ゆっくりと温かいコーヒーでも飲みながら語り合い始めた。
「調子は、なかなか良くないみたいじゃのぅ?」
美味しそうにコーヒーをすすり、煎餅をバリバリかじる爺の前で私はため息を付くばかりである。
「浮気相手の1人とかにされちゃったりするし、他のコに取られてしまうし。まるっきり、空振り状態なんだよねぇ」
「なかなか、縁が無いってワケか?」
「うん」
「そーっかぁ…、これは困ったもんじゃあ」
爺も、私の深刻な状況を心配してくれていた。
「どうしたらイイの?」
「気合いを入れてやるしかないわい。辛いかもしれんがのぅ。精一杯頑張れば、目的は果たせるハズじゃ」
「自分から積極的に動くようアドバイスされたから頑張っているけどね」
「良い心がけじゃ。ジッとしているだけじゃ状況は変わりゃあせんからのぅ」
立派なアドバイスだけどね。
でも聞いただけで余計、ハラが立つ。
「それは分かってるよぉ! 十分、分かっている!」
「あーん?」
「だ・け・ど! なかなか出会いが無いの出会いが!」
半分泣き言状態で、私は不満をあらわにした。
興奮しながら大きな声を発した私を見て、爺は驚きの表情を見せた。
しーん…
沈黙の雰囲気に包まれちゃった。
「すまんすまん。良い結果が出せんで。さぞ、辛いじゃろう?」
大きく深呼吸して気を落ち着かせた私は、コーヒーを一口飲んで喉を潤した。
「何か…、恋愛運が良くなる手立てはないの?」
「良い手立てか?」
「何でもイイの。名前を変えてみろって言うなら変えちゃうし、引越しだとかイメチェンだってやっちゃうから」
コーヒーを飲み干し、空のカップを置いた爺は話しを続けた。
「それじゃがのぅ。お前さんに、重要アイテムでも教えておこう」
「重要アイテム?」
「悪運を断ち切って、願いを叶えさせるキーワードって言ってもイイ」
「どんなキーワード?」
「黄色じゃよ」
「黄色?」
「黄色に関する物を身に付けるか、カバンか何かに入れて置くんじゃ」
「どんな物がイイの?」
「何でもイイ。ストラップかキーホルダー、或いは黄色いハンカチかスカーフかのぅ? 財布でもイイぞ。黄色に関する物を傍に置いておけ」
「そっかぁ。でも何で黄色なの?」
「今のお前さんの運が良くなる為には、黄色が重要なアイテムに必要になるからじゃ。お前さんの運気に関して色々と分析して、総合的に判断した結果じゃ」
「なるほど…、でも大丈夫?」
「何が?」
「黄色に関するモノを身に付けるだけで、運気が良くなるの?」
「言ったろう? 総合的に判断した結果じゃって。ワシを信じろ」
「うーん」
私って…
半信半疑なんだけど…、
「後はのぅ、お前さんの頑張り次第で効力が発揮して来るハズじゃ」
「私の頑張り次第で」
「そう、頑張り次第でのぅ。それとじゃ。日に何回は、心を無にして呪文を唱えるとイイ」
「何を、唱えるの?」
「ハッピーイエロー! 願いは叶う! …この呪文を唱えるんじゃ」
ハッピーイエロー! 願いは叶う!
マンガみたいな呪文に、私は思わず吹き出しそうになった。
本当に、こんな呪文が効くのかしら?
私は信じられない気持ちである。
ところがこの呪文…
後々になって、効力を発揮するのだ。