げー!? さとしの彼女!?
※8話目です。
その女っての言うのは何とさとしの別カノだった!
ムカつくぅー!
お陰で、さとしとのラブラブ関係は壊れちゃった!
「ちょっとぉー! 私のカレに手を出さないでくれるぅ~!?」
物凄い剣幕で、私を睨む女性。
私は呆然と彼女を見つめるだけだ。
「どなた?」
「この男! 細谷さとしのフィアンセなんだけど!」
ハァ!?
フィアンセ!?
意外な言葉に驚いた私はさとしに問うた。
「さとし! フィアンセってなーに!?」
「フィアンセって、えーっと…」
気まずい状況だからかな?
さとしは戸惑いの表情を見せる。
女性は私に対して、敵意を剥き出して来た。
「人の男を馴れ馴れしく呼ぶんじゃねーよ!」
ハァー!
怒ると言葉遣いが乱暴になるんだ、この人。
「フィアンセって、どう言う事よぉッ!? ちゃんと説明してッ!」
興奮状態の私も、声を荒げる。
「コイツ、俺の…」
バシーッ!
いきなり、女性はさとしの頬をビンタした。
「さとしは黙ってて!」
「あ、ハイ…」
シュンとなったさとし。
何だか、女性の方が強いって感じ。
女性は私の方に振り向き、堂々とした態度で言った。
「さとしはね、私と結婚する予定なの」
「結婚!?」
「そう、結婚するよ。私たち5年も前から付き合っているし、結婚するまでになった深い仲なの」
「本当なの?」
私の問いに、さとしは何も言わず首を縦に振った。
ゲー! ショックぅ!
女性は冷たい口調で言葉を続けた。
「なのにアナタったら、人の彼氏に手を出すなんてどう言うなの?」
「そんな状況だったなんて、コッチは知らなかったのよ!」
「そーっかぁ、さとしは何も言わなかったのね?」
「それにその男、異性との出会いが無くて寂しい思いをしてるって私に嘘を付いたんだからね。私は何も悪くないから」
苦笑いする女性。
「ハハ、そうなんだ?」
色々と、私たちは言い争いしたけれど…
事は最後まで収まらなかった。
結局…
私が細谷さとしの前から姿を消す事で決着は着いた。
悔しいけど仕方が無い。
相手の女性の方が先だったのだから。
南さんとの電話での語らいで、私は細谷さとしの件について話し聞かせた。
「まーた、あの男かぁ? 相変わらずだなぁ」
南さんの意味有り気の言葉。
「相変わらずって、どう言う事?」
「あの男、真面目な顔してて結構浮気っぽいんだよねぇ」
「浮気っぽい?」
「そうなんだ。ちゃんとしたフィアンセがいながら、他の女の子に手を出すクセが有ってね。会社の人間も含めて、今まで色んなコと付き合っているんだ」
「じゃあ、私も…その中の1人?」
「篠崎さんも、単なる浮気相手の1人って言うワケ」
「信じられない」
「アイツから、どんな言葉で口説かれたのかな?」
「異性との出会いがなくて、寂しい思いをしているとか言ってた」
ブァハハハ!
南さん、電話の向こうで思わず吹き出し笑いをしちゃった。
「同じ、セリフで口説かれたんだ」
「他の女の子にも、同じような事を言ってたの?」
「どうも、そうらしい」
呆れた!
あまりの呆れぶりに、私は怒る気が失せてしまった。
細谷さとしって、素は物凄い浮気者だったなんて!
男の風上にも置けないヤツだし、私たち女の敵だと言えるかも。
後日、南さんの方で細谷さとしが詳しく問い詰められた。
私をナンパした理由は好みだったかららしい。
巨乳で有った事も、ナンパの理由だったようだ。
浮気の対象は別として、それほど私の事が魅力だったって事は…まあ、少しは誇りに思ってイイかな?
トイレの前でぶつかってしまった事…
あれは偶然にも私の姿を見つけた細谷さとしが、タイミングを見計らってワザと出て来たと言う事らしい。
ところで、細谷さんのフィアンセ…
名前は塚口友里恵さん。
私と同じ25歳の年頃で、ファッション雑誌の現役モデルをやっているらしい。
どうりで、スタイルがイイと思った。