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魔法少女のお勤め  作者: めこめこさん
3/6

2話 少女、魔法少女を語る

何とか余裕を持てる時間に校門前へたどり着くことができ、見慣れた後ろ姿の2人組を見かけて声をかける。


真央(まお)ー!小紀(おき)ー!おはよー!」


翼芽(つばめ)ちゃん」


「おはよー」


小柄な真央と高身長な小紀が振り返る。間違っていなくて良かった、と心の中で息を吐くが顔には出さない。


「今日も遅刻ギリだったよー」


「まぁ間に合ったし、気にしなくていいでしょ」


「ねぇ…それよりさ、昨日送ってきたメッセージ!アフリニャード見たってマジ!?」


小紀は、興味んしんしんといった顔でこちらを見てくる。彼女は写真部兼魔法少女ヲタクなので、きっと生で会ったというのは、人一倍気になることなのだろう。


「うん、凄かった!ふわっふわのドレスをバサッて羽みたいにまとって、真っ白の衣装を少しも汚さずロスターを圧倒してた!」


「い〜な〜いーな!!写真は!写真とかないの!?」


「その時はぼけーっとしちゃってて、とりあえず記念に戦った後の現場の写真を…」


そう言って2人に今朝見た写真を見せる。


「いやこれただの事故現場の写真じゃん!」


「だって助けられた後話しかけられたんだよ!?そんな本人にカメラ向ける余裕なんてないよ!」


「まぁ、最近だとあんまり戦闘後の現場は見ないし、珍しいと思うよ」


真央がフォローを入れてくれる。確かに、最近では技術の発展で、戦闘後の現場も1時間もあれば元どうりになる。そのためテレビぐらいでしか跡地は見なくなってはいるのだが


「いやそれでもアフリニャードの写真のが見たいわー」


当たり前である。そもそも需要が違う。跡地を見て喜ぶなど、よほどマニアックなファンでないと無理だろう。


「あれ、でも隼陽(はやひ)これみてテンション上がってたな…」


「隼陽って、翼芽ちゃんの弟だっけ?」


「うん、まぁアイツは漫画とかもバトルシーンが好きなタイプだから、こういうのも好きなんだろうけど」


「はーあ、あたしも会いてー。そしたらこの一眼レフで絶対最高の1枚を撮るんだから」


「小紀ちゃんならほんとにやりそう。ウチの地区だと、はぁとの魔法少女のクオリちゃんとか会えるかも」


「クオリちゃんって確か真央の推し魔法少女だったよね。私あんまり詳しくないんだど、どんな子?」


「えっと、衣装が量産型をモチーフにしてて、とにかく可愛いの!メイクとかもめちゃくちゃ参考になるし、憧れって感じだな〜。あ、所属会社の公式サイトにプロフィールもあるから、興味あるならぜひ!」


「確かにクオリあたりは頑張れば会えんことなさそう。確か真央、チェキとかサイン持ってたろ」


「うん、クオリちゃんはファンをほんとに大事にしてくれてて、アイドル的なイベントも多いの。だからあんまり会うのは難しくないと思うよ」


「そこなんだよなー、やっぱり中々会えない人ほど撮りたい欲が疼く…的な?だからこそ、アフリニャードに会うなんてそうそうないんだけど」


そう言われてまた顔がにやけてくる。普通魔法少女というものは、担当する地区が決められており、1つの地区あたりに3人の魔法少女が担当するのが理想的とされている。

しかし魔法少女は憧れる人数に対していつだって人手不足だ。理由はその仕事の圧倒的な危険度にある。本人がやりたくても親の同意が得られないなど、危険な仕事はそれだけ多くの弊害が付きまとう。そのため、単独で多くの戦闘をこなせるアフリニャードに決められた地区はなく、人手の少ない場所を毎日回ってロスターを倒している。

昨日出会えたのだって、私達の地区には件のハートの魔法少女しか担当が居ないためなのだ。


「やっぱ教室騒がしいな、まあ昨日他にもアフリニャード見た人が居るんだろうけど」


小紀は躊躇無く教室の扉を開けた。


「あ、翼芽じゃん!なあなあ、お前昨日アフリニャードに話しかけられてただろ!?」


教室に入るなり、遠慮なく話しかけできたのはクラスメイトの谷口くんだった。臆する私に、すかさず小紀が前に出て助け舟をくれた。


「おい谷口〜、教室入って開口1番それはないだろ〜。もっと段階踏め段階」


「あ、ごめん翼芽。おはよ!」


「お、おはよう谷口くん」


「いや俺昨日ロスターが街へ来てたじゃん?実は俺その場にいてさ、やべぇって思ってたらアフリニャードが来て!ロスター倒したと思ったら誰かに話しかけてたから覗いたら、お前っぽい人がいたーって話をしてたんだ。あ、これ証拠の写真!」


写真には確かに昨日の場所で、アフリニャードが私へ話しかけている写真があった。


「な、これお前じゃね?」


「うん、それ私だ。ね、良かったらその写真送ってくれない?」


なんということだ、偶然にも私とアフリニャードの写真を持っている人がいたなんて。


「え、別にいいけど。お前写真撮らなかったの?」


「緊張して撮るの忘れちゃってて…」


なんせこっちは本物のアフリニャードと話していたのだ。緊張でそんなことは忘れてしまっていた。


「アホだなー。でも本物のアフリニャードだし、仕方ないか」


そう言うと谷口くんは「クラスのグループの入ってるよな」と確認して写真を送ってくれた。


「良かったね、翼芽ちゃん」


「うん、アフリニャードとツーショットだ、嬉しい…!」


帰ったら隼陽に自慢してやろう。そんなことを考えながら、思わずスマホを胸に抱きしめた。今日は1日笑顔でいられそうだ。そんな気がする。

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