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魔法少女のお勤め  作者: めこめこさん
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プロローグ

あなたが魔法少女になったのは何故ですか?


信号待ちをしていると某カメラショップのビルで大型ビジョンから広告が流れる。視線を向ければ、華やかな服を纏い、異彩の髪を持つ少女が先程の質問に答えていた。


「私が魔法少女になったのは、やっぱり1位のあの人に憧れてーーー」


魔法少女。そんなファンタジーな、と、驚くものは誰もいない。都会は、ただ慌ただしく急いて急いて、私もその流れにのっかっている。


信号が変わり、前へならえと足を進ます。端から端へ、音が小さく、大きくなるのを聞いていた。ふいに続きが聞こえなくなる。変わりに、ドゴオンと言う轟音と共に目の前の信号機が吹き飛んだ。


「ロスターが出たぞ!!」


誰かがそう叫ぶ。信号機があった場所を見やれば、角の6つある星を模した異形が、自身の周囲全てを吹き飛ばしていた。

空を舞う車、異形が動く度めり込む地面、逃げ惑う群衆。そしてその元凶はなんと、こちらの方へ向かってきていた。足は恐怖で動かない。まさに絶体絶命。異形は、もう目と鼻の先だ。



それでも、私は、人々は決して希望を捨てない。諦めない。なぜなら


「そこまでよ、ロスター!」


自信に満ちた声が混沌の現場へ落ちる。白銀の髪をなびかせ、華やかな衣装をまとい、天からの使徒を思わせるような容貌の少女は、


目の前で異形を蹴り飛ばし、私に背を向けふわりと着地した。


少女がくるりとこちらを向く。


「もう、大丈夫よ」


そう言うと、少女はまた背を向け


「魔法少女、アフリニャード・ウェールズ…皆、私に守らせて!」


言明と共に異形へと向かっていった。


少女は豪華な装飾を器用に翻し、華奢な身体からは想像できない力で異形を圧倒する。ひとたび地面を蹴れば軽々と空へ跳び、拳を放てば地面もろとも異形を砕いた。そして、異形の体に完全な穴が空き、眩い光を放つ球体が、崩れゆく異形の亡骸の上へと残った。


【コア ヲ 感知!コア ヲ 感知!】


機械音声と共に、空から鳥のような機械が降ってくる。機械は異形の残した球へ近づき、飲み込むように回収した。


【エネルギー 回収完了!状況確認…アフリニャード ウェールズ 250ポイント 追加! 現在ランキング…


1位!】


そう言うと鳥型機械は、またどこへと飛んでいってしまった。


少女は下を向いて少しため息をつき、顔をあげ、そして


「この場はもう大丈夫。みんな、守らせてくれてありがとう」


と言った。


人々は歓声を上げ、携帯を取り出して少女を撮る者、周りの者と無事を確認する者、起こったことを受け止めきれず呆然とする者など余裕を取り戻し始めた。


「ヤバくない!?私ウェールズ初めて見たんだけど!!」


「ちょ、写真撮ろ写真」


私はと言うと、聞こえてきた声に同意しながら、ただ呆然と少女を見つめるしかできなかった。


「あなたは大丈夫?見たところ怪我はないみたいだけど」


白銀のツインテールが傾き、黒曜石のような瞳が誰かを捉える…大きな猫目のような瞳は、あろうことか私を写していた。


「あうぇ、あ、わたし!?だ、だ大丈夫、です!」


気の抜けた声しか出なかった、最悪だ。


「そう、なら良かった」


間抜けな反応にも慣れているのだろう。彼女は優しく微笑み安堵の声を漏らした。


「あの、本当にありがとうございます!私、あなたがいなかったらきっと…」


少し考えてゾッとした。確かにあの瞬間、死が人生で最も身近にあった。それでも


「それでも、私たちが守るから。これからも安心して」


そう言うと彼女は「またね」と言い、地面を一蹴りして別の場所へと飛び去って行った。


…あの瞬間、彼女が、彼女達が、『魔法少女』がいたから、私たちは希望を捨てない。決して諦めない。


人々の希望を背負う魔法少女は、今日も人々を守り続けた。

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