閑話‐赤の希望のメンバー達
トネルコ商会からライクニフまでの護衛依頼を果たした後、『赤の希望』の4人はラナード王国まで戻っていた。
帰りもトネルコ商会の護衛を指名依頼され、王都まで戻った彼等は次の依頼を受けラナード国内に3つあるダンジョン都市の1つ、『プログム』の街に今来ている。
「ここがプログムか.....王都程じゃないけどジーポーンの街とは比べ物にならないぐらい栄えてるな.....」
ポルトはジーポーン時代にいた自分たちの街と見比べ、思わず感心してしまう。
ラナード王国はタカシが地球の知識を惜しみなく注ぎ込んだ魔道具で溢れている、この世界でもトップの超技術大国だ。ラナードの平民に生活は、下手をすると他国の貴族の生活より豪華と言えるレベルなのだ。
「そうよね.....改めて見ても驚愕よね.....」
「そもそもジーポーンと比べるのが間違ってるんじゃない?」
「でも.....ジーポーンの上層部は戦えば勝てるって思ってるんでしょ?」
ポルトの呟きに反応し、ポルトの嫁でもある弓使いのサラも共感するとそのサラの弟でもある魔法使いのランドリックが比べるのも間違いだと言う。
その2人に続き、ポルトの妹、神官のニーナが不思議そうに首を傾げている。
ジーポーンの上層部は現実が見えていない馬鹿しかいないのか?まるでそう言いたげな様子だ。
「まぁ、今の俺達には関係ない事さ。今の俺達はラナード王国の冒険者なんだ」
「そうよね~.....しかも王家お抱えのね.....」
「僕は今でも信じられないよ.....」
「凄いですよね.....それにこんな物までポンッと支給してくれるんですから.....」
そう言ってポルト達は、自分たちの腰からぶら下げたバックに目を向ける。
このバッグはマジックバッグで『冒険者ならあると便利だろ?』っと言ってタカシが4人にくれた物である。
マジックバックはこの国では珍しくない物であるが、その値段は容量で決まる為にピンからキリまでだ。
タカシが4人に渡したバッグは当然最大容量の物であり、1つで大きな屋敷1個分ぐらいは入るというマジックバッグの中でも最高級品なのである。
これ1つをポルト達が買おうと思ったら、一体何年かかる事なのやら.....
そんな物を気軽に4つも渡してくるタカシに対し、4人はその期待に応えようと必死に頑張っている最中なのだ。
タカシからすれば、あると便利だから渡した程度の気持ちなのだが、真面目な4人はその事に気付く事はない。
「陛下の期待を裏切らないように俺達はもっと頑張らないとな!」
「ええ、そうね!」
「勿論だよ!」
「頑張ります!」
こうして4人は新に決意を固めると、プログムのギルドへと向かって歩き出したのであった。
☆☆☆
「『赤の希望』の皆さんですね?今回はうちのダンジョンへの立ち入り許可ですか?」
「はい。よろしくお願いします」
「分かりました。少々お待ちください」
ポルトはダンジョンへの立ち入り許可を取る為、ギルドの受付へと来ていた。
ラナード王国のダンジョンは完全に国が管理しており、3つのダンジョンは全てその街のギルドの地下にあるのだ。その為、こうやって立ち入る為にはギルドの許可が必要となってくる。
本来ラナードはダンジョンを完全に管理している為、資源等は好きに取り放題なのだがそれは控えている。
こうやって依頼を出す事で、冒険者の仕事を作っているのだ。
「お待たせしました。こちらが許可証になります。では、お気をつけて」
「ありがとうございます」
受付嬢から許可証を受け取ったポルトは、お礼を言って仲間達の元へと戻る。
「お待たせ。無事に許可も取れたよ」
「どうするの?今から潜る?」
「.....いや、明日からにしよう。今日は移動の疲れもあるし宿を取って休む事を優先したいと思う」
サラから聞かれたポルトは、少し考えてからそう答えた。
ダンジョンでは何が起こるか分からない。その為挑むなら体調は万全で無くてはならない。
慎重で仲間思いのポルトらしい決断だった。
その後、ポルト達はギルドでおすすめの宿を紹介してもらい、そのまま宿へと向かった。
「狼の昼寝亭へようこそ。4名様ですか?お部屋はどうされますか?」
「2人部屋1つと1人部屋2つお願いします」
ポルトとサラは夫婦なので2人で1部屋だ。ランドリックとニーナは年頃の男女なのでそれぞれ1部屋で分かれる。
別にポルト自身4人部屋1つでもいいのだが、そうなるとサラが不機嫌になるのだ。
理由はお察しの通りである.....
「承知したしました。お食事はどうされますか?ご希望ならお部屋までお運び致しますが?」
「食事は隣の酒場で取りますから大丈夫です」
「はい。ではごゆるりと我が宿で疲れをお癒しください」
そう言って宿の亭主はポルト達にそれぞれの部屋の鍵を渡してくる。
「じゃあ晩ご飯の時間に酒場に集合って事で。それまでは各自のんびりとしよう」
ポルトはそう言うと、サラと共に部屋の中へと入っていくのであった。
☆☆☆
ポルト達がそれぞれの部屋へ別れると、1人の少女が部屋の中で妄想を膨らます。
(あぁ.....今日もお兄ちゃんはカッコよかったな.....)
超絶ブラコンを拗らせたニーナである。
(今頃はきっとサラお姉ちゃんと.....いいなぁ.....お兄ちゃん、私の事も襲ってくれないかな.....いっその事、私がお兄ちゃんを襲うってのも有りかな?お兄ちゃんの〇〇〇を私の×××に△△△して□□□しちゃおうかな?.....いや、でもやっぱり初めてはお兄ちゃんから来て欲しいし.....あ~んっ、悩ましいよぉ~っ)
ニーナはそんな妄想をしながらベッドの上を1人でゴロゴロと転がると、自分のマジックバックから何やら布を取り出して自分の顔に近づける。
(ス~ッ.....ハァ~.....あぁ.....お兄ちゃんの匂い.....お兄ちゃんの逞しくて芳醇な香りが私を満たしていくよ.....)
彼女が手に持っているのは、ポルトの下着である。
(我が神ルナシェナ様.....どうかお兄ちゃんと私の未来に幸福を.....)
.....彼女の闇は深い。
☆☆☆
「.....どうしたの?」
「いや.....何か急に悪寒が走って.....風邪かな?」
「移動の疲れが出たんじゃない?今日は早めに寝てゆっくり休んで明日に備えないとね」
「.....そうかもしれないな。多分大した事はないと思うけど明日に影響ないように気を付けるよ」
「そうね。リーダーが移動でへばってダンジョンに行けませんでしたって事になったら、他のパーティーに笑われるわ」
「確かにそうだな」
そう言ってポルトとサラは笑い合う。
ちなみにこの2人、別にニーナが妄想するような夫婦の営みなどは行っておらず、普通にのんびりとお茶を飲みながら会話しているだけである。
こうしてポルトは、隣の部屋で自分の妹が自分の下着を片手にナニをしている等とは露にも思わず、新な依頼に向け英気を養っていくのであった。




