成長の実感とシャルミナの気持ち
メンテみたいなので今日の分の更新を今しておこうと思います。
いつもお読み頂き、ありがとうございます。
ポポイさんに鍛えられ始めてから数日、俺は今日の訓練を終え倒れこむように部屋のベッドへとダイブする。
「ぐはぁぁぁぁ.....な、何とか今日も生きてるぞ.....」
ポポイさんとの訓練は熾烈を極め、俺の想像よりも遥かに厳しかった。
『駄目じゃないか。今少し気を抜いただろう?』
『これぐらい防ぐ事が出来ないと話にもならないよ?』
『大丈夫。手足が千切れようが身体が爆ぜようが、即死しない限りはジン君からもらったエリクサーで何とでもなるから安心してくれ』
『おっと。ゴメンゴメン。いい攻撃だったからつい力が入っちゃったよ。でも、左腕が消し飛んだだけだし問題ないだろう?』
このように訓練中のポポイさんは凄く厳しく、俺は何度も命の危機を感じた。
そのおかげで親父特製のエリクサーの効果を身を持って何度も経験したよ。
ちょっと効果が凄すぎて少しキモいぐらいだ。
腕とか消し飛んでたり、身体が抉れたりしててもニョキニョキ生えて元通りなんだぜ?
おまけに傷も体力も満タンになるし、これさえあれば一生戦い続けられるのではなかろうか?
.....そんな事はしたくないけど。
しかし厳しい訓練のおかげか、自分でも少しの成長を実感出来ている。
『カズキ君の主武器は何だい?.....えっ?特にない?.....ハァ~.....なるほど、ジン君の方針か』
『ジン君を参考にしてはいけないよ?まずは主武器を決め、それを極めてから他の武器に手を出す。それが普通だからね?カズキ君が伸び悩んでいる原因の1つがそのせいさ。ジン君は自分基準で考えてるみたいだけど、普通の人にジン君の真似は不可能だからね?』
『ふむ.....僕が見た所、刀がカズキ君に1番合ってるように思えるね。これからは刀メインで戦闘を組み立てていこうか』
『そうそう、その調子。ちゃんと両腕で、身体全体を使って振るのさ。特に腰の使い方が重要になってくるから、そこは慣れていこう』
『まだ片腕で振ろうとしているよ?片腕の斬撃は色々と安定しないから注意だ。ほら、こんな感じで横から力を加えられると簡単に態勢を崩して無防備になる。そしてこのように滅多打ちさ』
そんなポポイさんのアドバイスを受け、俺は今刀をメインでの戦闘方法を模索している。
『判断が遅い。今の距離は接近して攻撃してくるより魔法を使った方が良かったね。君は魔法も使えるんだろ?ならそれも生かさなきゃ』
『いいかい?刀をメインにしたからと言って必ず刀で攻撃しなきゃいけない訳じゃない。君は手札が多いんだ。それをどこで切るのかよく考えながら戦わないとね』
『今度は魔法ばかりに気を捕らわれて刀の存在が薄くなってるよ?状況を瞬時に判断して思考は柔軟にね?』
簡単そうにポポイさんは言うのだが、コレが非常に難しい。
刀で攻撃するのも、魔法で攻撃するのも、どちらを選ぶにしても考える時間が物凄く短いのだ。
そんな一瞬で判断できる程、俺にはまだまだそんな実力はない。
ないが.....コレが出来ないようではお話にならないのも事実。
ポポイさんは焦る必要はないって言ってくれてるが、やはり心はどこか焦ってしまう。
.....フゥ~.....落ち着け、落ち着くんだ俺。一歩一歩確実に歩んでいけ。
俺は心を落ち着かせると、ゴロンと横になったまま姿勢を変える。
「.....成果はどうじゃ?」
俺の頭の下に、フワリとした感触がする。
シャルミナが膝枕をしてくれ、そのまま俺に語り掛けてくる。
「まだまだかな.....でも、少しは強くなってきてるって実感もあるし、充実はしてるよ」
「.....そうか.....」
シャルミナの顔は、何故か今にも泣きそうに見えた。
一体どうしたんだろう?と俺は下からシャルミナの顔を見上げる。
するとシャルミナは、俺の頭を優しく抱え込むよう抱くと小さく言葉を呟いた。
「.....妾は.....妾達は別にカズキ様の行動にどうこう言うつもりはない.....じゃが.....こう毎日ボロボロになって帰ってくるカズキ様を見ると、どうしても止めたくなってしまうのじゃ.....」
「.....シャルミナ.....それは」
「分かっておる!分かっておるのじゃ.....カズキ様の心の問題、妾は気付いておった.....気付いておったが、妾ではどうする事も出来なかったのじゃ.....妾は女じゃからな.....真の意味でカズキ様の気持ちえお理解する事が出来んかったのじゃ.....」
シャルミナはポタポタと涙を流し、その涙が俺の顔に落ちてくる。
俺は黙ってシャルミナの言葉の続きを聞いた。
「カズキ様が妾達を守りたい、その為の力を欲しておることはとても嬉しく思う.....じゃが、妾はそこまで無理するカズキ様の心を理解出来ぬのじゃ.....別に今のままではいかんのかや?カズキ様は妾達の心を守ってくれておる.....存在自体が支えとなってくれておる.....じゃから.....」
「.....シャルミナ.....ごめんな.....それでも俺は.....」
「.....フフッ.....分かっておる.....カズキ様も男の子じゃからな.....ポポイもそうじゃった.....」
そう言って笑うシャルミナの笑顔はどこか懐かしさを思い出しているようにも感じた。
「.....俺はさ、皆をこの手で.....自分の実力で守りたいって思うと同時に、みんなに負けてる自分も悔しいんだ.....」
俺は心の中をシャルミナに話していく。
「正直、みんなを守りたいって気持ちより負けて悔しいって気持ちの方が強いかもしれない.....俺はそんなちっぽけな男なんだよ.....」
シャルミナを俺の頭を優しくなでながら静かに俺の話を聞いてくれる。
「この世界じゃ男とか女とか関係ないのかもしれない。でも、俺は男として好きな人達に負けてるってのは悔しいんだ.....俺が守るって気持ちが強いんだ.....傲慢だろう?」
「.....そのような事は無い.....他の男が同じような事を抜かしたら、何をほざいておるかと思ったのじゃろうが.....カズキ様が言うと不思議と嬉しく思えてくるの.....ホレた女の贔屓目なんじゃろうがな」
「.....そっか.....ありがとう.....」
「じゃがこれだけは約束しておくれ?絶対に無理はせぬと.....」
「分かった.....約束するよ」
俺がそう言うと、シャルミナの顔が俺に近づいてくる。
俺達はそっと口づけを交わした.....
「よしっ!しんみりした話はここまでじゃ!明日は休みじゃろう?今夜は寝かさぬからの?しっかりと妾の相手をしてもらうのじゃ!」
「えっ?今までのいい雰囲気はどこへっ!?ってか俺かなり疲れてるんですけど!?このままゆっくり寝るんじゃないのっ!?」
「何を言うとる?妾達はずっと我慢しておるんじゃぞ?寂しがる妻を慰めるのも夫としての当然の務めじゃろうて」
「いや、でも俺そんな元気ないぞっ!?」
「安心せいっ!ちゃんと薬は容易してあるのじゃ!コレを飲め疲れも忘れてバッキバキになるそうじゃぞ?」
「そんな怪しい薬に頼る時点で駄目なんじゃないですかねっ!?」
「問答無用じゃ!さぁ、妾が満足するまで相手してもらうのじゃ!」
「待って待ってっ!ちょっ!待っ!――――」
こうして俺はシャルミナに怪しい薬を飲まされ、朝までシャルミナの相手をさせられる事となったのだった。
翌日、俺は動けなくなった事は言うまでもないだろう.....




