ローグンのダンジョン⑦
「じゃあ階段はまだ見つかってないんだな?」
「うむ、じゃが火山の方はまだ見ておらんのじゃ」
「だね~っ!僕達は火山は最後に調べようとしてたんだけど、その前に襲われてるのを見つけちゃったからねっ!」
「じゃあ火山方面に階段がある確率が高そうですね?」
母さんがロック達を連れて戻った後、俺達はダンジョンの攻略を再開していた。
日が落ちるまでもう少し時間があるからな、少しでも探索を進めないとなぁ.....
そしてさっさと戻って危険人物の監視をしとかないと.....
「じゃあ火山方面の探索だねっ!どうする?また僕とシャルミナが抱えて飛ぼうか?」
ミラーカがそんな提案をしてくる。
「そうだな.....時間も惜しいしお願いしてもいいか?」
「任っかせてよ!」
ミラーカそう言って自分の胸を叩く。
「そう言えば.....カズキ様は飛行の魔法は使えんかったか?」
「いや.....アレは使えるって言わないだろう?」
少しでも制御を誤ると、ロケット噴射の如く何処に飛んで行くか分かったもんじゃないしな。
俺が地面に突き刺さるイメージしか湧かない。
「まだまだ鍛錬不足じゃな!今後はもうちと厳しくするべきか?」
シャルミナがそんな事を言いながら何やら考え込んでいる。
「あ、あの.....ごめんなさい.....」
すると、突然リロロがシュンと俯きシャルミナに謝り始める。
「むっ?人には向き不向きがあるからのっ!リロロはそのような事は気にせんでもいいのじゃ!」
リロロは魔法が使えないからな.....
いや、厳密に言うと魔法の基礎である簡単な生活魔法や身体強化魔法は使えるのだが、それ以外はサッパリなのだ。
身体強化だけはシャルミナ以上なのだが、模擬戦でリロロはシャルミナに勝てた事はない。
『戦いの経験が違うからの!身体強化だけで妾に勝とうなど1000年早いのじゃ!』
って言ってたっけ.....
それにしても.....
「.....何か俺の時と対応に差がないか?」
「アハハッ!シャルミナとネルはリロロちゃんに激甘だからねっ!」
恨みがましいい視線を向ける俺の呟きにミラーカは声を上げて笑った。
確かにミラーアの言う通り、シャルミナとネルはリロロを妹のように溺愛しており、リロロ自身も2人の事をお姉ちゃんと慕っている。
「まぁ、仲が悪いよりは良いけどさ.....」
俺は一人呟き、しばらくの間ミラーカに抱えられて静かに空を運ばれて行くのであった。
火山も近づいて来た時、俺はシャルミナに声を掛ける。
「シャルミナっ!このまま二手に分かれて探索しよう!」
「分かったのじゃ!妾達はこのまま山の裏手から探してくるのじゃ!」
「了解っ!じゃあ何か見つけたら念話飛ばしてくれっ!こっちも何か見つけたら呼ぶからっ!」
「うむっ!ではまた後でのっ!」
そう言ってシャルミナはリロロを抱えたまま火山の裏手の方へと飛んで行った。
「カズキ様?このまま空から探す?それとも降りる?」
「う~ん、このまま空からざっと探してみようか」
「分かったよっ!じゃあ少し高度は落とすけどこのまま行くねっ!」
ミラーカにそう聞かれ、俺は少し迷ったがこのまま空から探索する事に決めた。
ざっと見渡して何も見つからなければ降りてじっくりと探索かな?
そんな事を考えていたのだが、ソレはあっさりと見つかった。
「洞窟.....だな」
「洞窟.....だよね」
「.....明らかに怪しいよな?」
「.....明らかに怪しいねっ!」
火山の中腹辺りにポッカリと穴が開いており、その奥は割と深いと思える。
俺とミラーカは念話でシャルミナ達を呼ぶ。
すると、割と近くに居たのか直ぐに2人はやってきた。
「これはまた.....明らかに怪しいのぉ.....」
「何か入口が装飾されてますね?」
シャルミナが呟き、リロロは入口の洞窟にしては整えられた装飾を見て感想を漏らす。
「ちなみにそっちには何かあったか?」
俺は一応2人に聞いてみた。
この洞窟の奥が正解だと決まった訳ではないしな。
「いや、こっちは特に何もなかったのぉ」
「はい!特に怪しい場所などはありませんでした」
って事は今の所この洞窟が怪しい訳なんだが.....
「どうするの?このまま進むの?それとも今日はもう休む?」
「もう少し時間もあるし少し進んでみよう。奥まで長そうなら一旦戻ってまた明日からかな?」
俺はミラーカにそう返した。
洞窟の中へ足を踏み入れると、中はひんやりとしており外の騒がしさが嘘のように静まり返っていた。
「中は結構広いんだな.....」
俺はライトの魔法で辺りを照らしながらそう呟く。
1層の洞窟は少し狭かったのだが、ここの洞窟はかなり幅が広い。
この広さなら多少デカい魔物でも何なく通れるだろう。
「この先に更に広い空間があるみたいです。そこに何か居ますね.....」
リロロが耳をピコピコ、鼻をスンスンとさせながらそう言ってくる。
「何か.....まぁ、普通に考えてボスじゃろうな」
「そうだねっ!どんな奴がいるのかな?」
シャルミナとミラーカ余裕の表情で答える。
しばらく進むとボスが近づいて来た為、俺達は気配を魔法で消し静かにゆっくりと近づいて行く。
会話も念話に切り替えてある。
少し開けた空間が目に入って来たので、俺達はそ~っと中を覗き込んでみた。
『.....何か恐竜みたいなのが居るんだけど.....」
俺の目には、ティ〇ノサウルスのような見た目のデカい魔物が寝ている姿が映っている。
『アレはアースドラゴンじゃな。今までの魔物より遥かに手強いの.....』
『どう戦う?』
『ふむ、次は妾が行こうかの.....リロロとミラーカに負けてられんのじゃ』
えっ?あんな恐竜みたいなのを1人で相手すんの?
いや、シャルミナが負けるとは思わないけど、何て言うか見た目がね.....
小〇生が巨大な恐竜に1人で挑む姿にしか見えないんだよね.....
『じゃあ行ってくるのじゃ!』
そう言って俺の心配を他所に、シャルミナは1人スタスタ歩いてアースドラゴンに近寄って行く。
「ほれっ!起きんかっ!敵じゃぞっ!」
シャルミナはそう言いながらアースドラゴンをペチペチ叩いて起こしている。
何やってんのっ!?何でわざわざ起こしちゃってるのっ!?
叩かれたアースドラゴンは目を覚まし、シャルミナの姿を捉えるとゆっくりと起き上がり大きな口を開いて咆哮を上げた。
その咆哮のあまりの大きさに、辺りはビリビリと振動している。
「全く.....叩かれるまで起きぬとは.....野生はどうした野生は.....まぁ良い。ではゆくぞ?」
シャルミナは呑気に寝ていたアースドラゴンに苦言を呈すると、そのまま指をパチンッ!っと鳴らした。
その瞬間アースドラゴンは足の先だけを残し、そこから上は一瞬で消滅してしまっていた。
何でっ!?アレッ!?何でぇぇぇぇッ!?
ただ指鳴らしただけじゃんっ!?それだけで何でアースドラゴンが一瞬で消滅するんだよっ!
「流石シャルミナお姉ちゃんです」
「流石だねっ!」
リロロとミラーカはシャルミナの活躍に絶賛の嵐を送っているが、俺は驚きすぎてそれ所ではない。
「うむ、こんなもんかの」
そう言いながらシャルミナは俺達の元へと戻って来た。
「いやいやいやっ!一体何やったの?ただ指鳴らしただけにしか見えなかったんだけど!?」
「んっ?ただ魔力を圧縮してぶつけてやっただけじゃよ?」
「それだけであんな事になんのっ!?」
「カッカッカッ!戦いの年季が違うからのっ!年季がっ!」
俺の言葉にシャルミナは豪快に笑う。
「お~いっ!階段あったよ~っ!」
「やっぱりここが先に進むルートだったんですね」
ミラーカとリロロが階段を見つけたらしく、俺達を呼びながら手を振っていた。
「では妾達も行くのじゃ!流石にお腹も空いたし、今日はこの先までかの?」
そう言ってシャルミナは2人の元へ歩いて行ってしまった。
いや.....シャルミナの強さ別次元過ぎだろう.....
他の嫁さん達も強いけどさ、1人だけレベルが違うんだよ.....
いや.....今更だな。シャルミナも俺の愛する嫁さんの1人に違いはない訳だし、別にいいか。
俺はシャルミナの強さに少し戦慄を覚えながらも直ぐに気持ちを切り替え、、3人の元へと向かって足を踏み出し近づいて行った。
こうして無事に4層を攻略した俺達は、未知の領域でもある5層へと足を踏み入れるのであった。




