ラインハルト
やぁ、こんにちは語り手だ
グランドクエストを受けるため森林エリア都市フォレストパレスからマロンの村に向かうためルーベルの森を行くアラヤとユエは次々に現れるモンスターを倒し又は逃げていった。
途中に対し二連射同時という技を披露したユエに対し興味津々なアラヤ。
二人はその後も無事に進んみ発生条件の一つである【プレイヤーのHP中10%以上のダメージを受けない】を見事クリアしマロンの村に着く。
さてさてグランドクエストに向け順調に進む二人にどんな運命がまってることやら。
おやこっちでも動きがあったみたいだね。
ルビィの店
店のドアが開き二人の男女が入って来た。
入って来たのは黄金のような金色の髪と目を
持った白と金色の騎士風の戦闘服に右胸の所にオリュンポスギルドのエンブレムがある男と男と同じエンブレムを戦闘服の右胸にし女性用にアレンジしたスカート型の騎士風の戦闘服を着た紫色の髪をサイドアップさせた女性だ。
またオリュンポスギルドの者が着たにも関わらず冷静な態度のルビィ。
だか、無理もない来店したのが五大ギルドの一角オリュンポスギルドのギルド長と副ギルド長だから………ではなく勝手知ったる顔見知りの二人だからだ。
ルビィは咥えていたキセルを口から離し煙を吹くとカウンター越しに二人を見て
「おやぁ、ゼウスにヘラじゃないか珍しい客が来るもんだ」
店に入った時点で誰が来たか分かっていながら妖艶に微笑みながら言う。
ラインハルトは右手を挙げて軽く苦笑した。
「やぁルビィ久しぶりだね。
しかしここでは今私達しか居ないのだから名前で呼んでくれないか」
ルビィはラインハルトの頼み我関せずと云う態度でをキセルを咥え煙を吸いキセルを口から離し吹くと妖艶に微笑みながら
「よく言うね~いちいち自分の呼称なんて別に気にもしないくせに。
……まぁ、いいさ。
で、天下のオリュンポスのギルド長ラインハルト様と副ギルド長のアン様がこんな客が来ない寂れた店に何のようだい」
「ハッハ、様もとってくれるとありがたいんだが」
「注文の多いことで。じゃあ坊やと嬢ちゃんってのがいいかい」
とからかうように言った。
ラインハルトは首を軽く左右に振りながら溜め息を吐くと苦笑で
「まったく君にはかなわないな」
と降参する様に言った。
その様子はラインハルトを知るものからしたら目玉が飛び出るぐらい驚愕する様なフレンドリーな気安い態度であった。
ルビィとラインハルトが会話をしているなかラインハルトの右後ろに控えるように立っているアンがルビィを睨んでいたので
「う~ん、何か言いたいことでもあるのかい」
ルビィはラインハルトからアンに視線を移し口角を上げニヤリとした表情でアンに聞くとアンはルビィの表情にビクッ!と体を震わせるとラインハルトの背中に隠れるように移動した。
「………いえ別に」
アンはラインハルトの背中越しから親から叱られた子供みたいに小さな声で言った。
端から観なくても
(関わらないで~話しかけないで~此方を見ないで~)
と云った内心がまる分かりだ。
「えぇ、なんだってぇ~聞こえないよ。
私は何か言いたいことでもあるのかと聞いてるんだよ」
ルビィ自身もアンの内心を分かっていながら苛めるように少し威圧的に言うとアンラインハルトの後ろで泣きそうな顔になり生まれたての小鹿のようにプルプル動き出した。
アンの様子はアンを知るものからしたら、何時も冷静でラインハルトの秘書みたいな振る舞いをしているアンが肉食獣に狙われた草食獣の様にガキ大将に狙われた子供の様に怯えた態度を見せていると驚愕するものだ。
ちなみにラインハルトもアンもアバターとはいえその端整な容姿と誠実な態度でファンが多い。
まぁ、これを見たら更にファンが増えそだが。
「そのぐらいにしてもらえないか」
ラインハルトは苦笑しながらルビィに制止を入れるとアンはさっきまでの態度が嘘だったかの様に一瞬で顔を輝かせ幸福な顔をしたが
「じゃあ~用件がすんだらお仕置きね」
情け容赦ないルビィの言葉で一瞬で絶望した顔になった。
ルビィがキセルを咥え煙を吸い吹きながら
「でぇ~何のようだいラインハルトにアン~」
ラインハルトにわざわざ店まで来た用件を聞くとラインハルトは真剣な表情をし
「オリュンポスギルドの者が迷惑をかけたみたいですまなかった」
深々と頭を下げ謝罪した。
ラインハルトについて来たアンは用件を知らされてなかった様で敬愛するラインハルトがまさかそんな行動をとるとは予想外だったみたいで驚愕し
「お止めくださいラインハルト様!
その様なことを!
だいたいラインハルト様のせいではありません!
他のプレイヤーに迷惑をかけないようにとラインハルト様がおっしゃったのにも関わらず粋すぎた行為をした奴が悪いのです!
だから頭をおあげください!」
慌てふためきながらラインハルトに責任はないと伝えるがラインハルトは頭を下げたまま不動の体勢をを崩さず
「そういうわけにはいかない。
私はオリュンポスギルドのギルド長。
ギルド長であるならばギルドメンバーの責は私の責だ。
ゆえに頭を下げ謝罪するのは至極当然の事だ」
その言葉には確固たる信念が込められていた。
その絶対的な強い意思を感じさせる切実な言葉にラインハルト信者でもあるアンは否定することもましてやラインハルト信者だからこそ逆に肯定も出来ず出来ずなんと言ってよいか迷走し口をパクパクさせていた。
ルビィ頭を下げるラインハルトと迷走しているアンの様子を横目で見ながらキセルから煙を吸い吐くと宙に視線を移し
「ラインハルト」
と先程の苛める様なものではない強い口調で名を呼んだ。
「……………」
ラインハルトは頭を下げたままの状態だ、そのラインハルトに対しルビィは視線を宙に向けたまま
「あんたはこのジェネティクノーツの五大ギルドの一角オリュンポスのギルド長にして最強のプレイヤー、謂わば私達の強さの象徴だ」
「……………」
「そのあんたがまぁ、一プレイヤーに謝罪するのは別にいい。
あんたの勝手だし私がそれを縛り付ける権利も制する権利もないしね。
あんたも最強已然に一プレイヤーだからねあんたの矜持がそれを許さないならそれでいい。」
「……………」
ルビィはそこでラインハルトに視線を移し髪で隠されてない濃い紫色の左目でラインハルトを厳しい目で強く見据えながら
「でも、頭を下げるのだけは無様な真似を晒すことは最早許されない」
「……………」
「それはあなたを慕い憧れ信じてきた人達への侮辱に失望に繋がる行為だから。
それに最強である私らの象徴がいちいち頭を下げたとあっては私らは日本サーバーはそんなものかと嘗められるよ」
ラインハルトはルビィの説教を聞くと頭を上げた。
「…ああ分かってる…いや分かっていなければならなかった。私の決断がどのような結果になるのかを私の存在が及ぼす影響を」
とルビィに対してではなく自分に言い聞かせるようにルビィの言葉を自分が行なったことを吟味しながら言った。
最強たかだか二文字で表される文字はその意味の通り重いものである。
ラインハルトは薄く笑うと
「私もまだまだだな」
自嘲する様に呟いた。
ルビィはラインハルトから視線を移し横に向くとキセルを咥え煙を吸い吐くと何時もの飄々とした軽い笑みを浮かべた。
「理解したならいいさ、もう二度とするんじゃないよ。
仮にするとしても他の奴の責ではなくあんた自身の責の時だ。
だいたい元からあんたの責じゃないんだから謝罪なんか他の奴に任せてあんたはドンと構えておいたらいいさ。
じゃないと他の奴ら、特に他の五大ギルドの奴らに嘗められるからね」
「ああそうだな。ありがとうルビィ。
しかしやっぱり君には敵わないなぁ、いつも大事なことは必要なことは君に教えられる」
と苦笑しながら言った。
キセルから煙を吸い吐くと
「なぁ~に長い付き合いさぁ」
と口元を緩め笑みを浮かべた。
そこにはまるで長い時を共に過ごした友人のような厚く切れない絆の強さが感じられた。
「それより」
「なんだね?」
「そこのをどうにかしな」
ルビィがラインハルトの背後に向かい右手に持ったキセルを指すと釣られるようにラインハルトもキセルの指す方を見るとそこにはよっぽど敬愛するラインハルトに謝罪だけではなく頭を下げさせる原因となったギルドメンバーが許せない怒髪天をついたアンが底冷えのする表情で
「殺す、ラインハルト様に頭を下げさせやがってあのカスどもただではすまさない。ボロ雑巾いやそれ以上にボロボロにして生きてること後悔させてやる。」
ゲームの世界だと云うのに怨念を背負ったみたいにハッキリと見えるどす黒い暗黒のオーラを纒い呪詛を吐き続けるアンがいた。
「あんたの責任だ。あんたがどうにかしな」
とルビィは楽しげににまーとした表情を浮かべながら言った。
ラインハルトはアンの様子や楽しげなルビィの顔に苦笑すると
「アン」
アンに声をかけた。
するとさっきまでのがなんだったのかアンは一緒で何時もの冷静な顔になり
「はい、なんでしょうか」
返事をした。
その間約0.00000000000001秒
すごい変わり身の早さだ。
変わり身選手権などあったらぶっちぎり優勝間違いないぐらいの早さだ。
「私の責で気苦労をかけたみたいですまなかった」
「いえとんでもないです。ラインハルト様の意思は私の意思何を苦に思うことがありましょうか」
丁寧な口調でよく聞けばとんでもない事を言っているアンにラインハルトは微笑みながら
「いつも感謝している」
「私ごときにもったいないお言葉ありがとうございます」
冷静な態度でラインハルトの礼を受けとるアンだが心の中では
(キャー-!!きたコレ---!!
ラインハルト様が私にありがとうってありがとうって!
しかも微笑みながらですよ!微笑みながら!
重要な事なんで二回言ったけどと云うか逆に10回でも100回でも言いたいんですけど!!
何故お礼を言われたか分かんないけど取り敢えず私これで後10年いや100年だって戦える!ああなんて幸せなんだろう!!!)
さっきまでの怒りはなんだったのか内心狂喜乱舞のアンだった。
アンの中ではギルドメンバーの失態やラインハルトの謝罪の件も含めさっきまでのことはどうやらあまりの嬉しさに忘れてるみたいだ。
しかし、彼女は一体何と戦うきなのだろうか?
「ではすまないが私はギルドでやらなければならないことがあるので此処で失礼する」
ラインハルトがそう告げ身を翻し店の扉の方に歩きだそうとしたら
「なぁラインハルト。なんで今回はあの坊やに関心を持ったんだい。
珍しいじゃないかやられたと言ってもあんたの直接の部下ではなくシドの部下だろ、私にはあんたが関心を持つ理由に検討がつかないが」
ルビィの疑問にラインハルトは足を止めると
ルビィに背中を向けながら
「そうだな。私のギルドメンバーがやられたからじゃダメかい」
「ダメだね」
ラインハルトはフッと笑い前を見据えながら
「ジェネティクノーツが始まって二年。
私のギルドができて約一年半最初は私に挑戦する者もいた。
だが今では私はおろかオリュンポスのギルドメンバーだからと恨みを買いたくない一心でギルドメンバーの者にすら戦いを挑む者もいなくなった。
唯一は他の五大ギルドの者だけだが一応私達にもジェネティクノーツを象徴する五大ギルドと云う立場がある。
気軽に勝負を挑めるものでもない。
多数のしがらみのせいかオリュンポスギルドメンバーだからと自分は強いのだと笠をきるものが多くなった。
その中で五大ギルドじゃない一プレイヤーが挑みしかもその理由が自分の力を知らしめるためではなくアルテミスを誰かを守るために戦ったという美談極まったものじゃないか。
そんな高潔で勇気あるプレイヤーに興味が湧くなんて当然の結果さ」
そうアラヤを誉め評価するラインハルトだがその表情は飢えた獰猛な野獣の笑みだ。
言葉通りラインハルトはジェネティクノーツが開始されて半年という早さで後の五大ギルドの一角となるギルドを作り上げた。
だがそれは他の五大ギルドにも言える事だ。
流石にラインハルトほどの早さではないが他の五大ギルドのギルド長も大規模ギルドを一年未満で作り上げている。
それは強さゆえかカリスマゆえかギルド長により種類は様々だが全ての五大ギルド長に言えるのは彼等が他のプレイヤー、特にトッププレイヤーとは一線を画している強さだという事と多くのプレイヤーから恐れ敬われているということ。
ルビィはラインハルトの言葉にクックと可笑しそうに笑うと
「そうかい」
軽く言い放った。
「私の返答はお気に召したかい」
「充分さ」
ルビィはラインハルトの言葉に満足したのかキセルを咥えた。
話しは終わったとラインハルトは歩きだし扉を出ようとしアンもラインハルトの後に続こうとしたら
「アン」
逃がさないとばかりのルビィの声にビクッ!と身体を振るわした。
「お仕置きが残ってるよ」
ルビィの言葉にアンは小刻みにブルブルと震えラインハルトの背中をすがるように見たが
「あまり無理な事はさせずお手柔らかに頼むよ」
とルビィに伝えるラインハルトに絶望した顔をした。
ラインハルトはそのままアンを置いて出ていき店にはルビィとアンだけとなった。
ルビィはキセルをカウンターにコツコツと叩いた。
「さて」
今から始まるお仕置きに恐怖するアンはギギっとロボットの様にアンの方を泣きそうな顔で振り向くと
「じゃあいくよ」
ルビィが妖しく笑いながら指をパキパキ鳴らした。
「ご、ごめんなさい~お姉ちゃん!」
ルビィの表情に恐怖の限界を迎えたアンは泣き叫んだ。
ちなみにルビィの店の付近では暫くの間女性の
「ギャあああ!!」
と云う悲鳴が聞こ続けたらしい。
余談だがルビィとアンは現実の世界では血の繋がった姉妹である。