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三種のゲーム

やぁ、こんにちは語り手だ。

強さを得るのは簡単だろう、学び鍛えるそれだけでいいのだから。

しかしそれで得られるのはあくまで普通、常人の強さでしかない。

だからもしそれを越える強さの果て頂点に頂く強さを得ようと思うならそれこそ険しく進む度に傷付く無限の針山であったとしても逆境を死地を理不尽を自分の限界に挑み越えたものにしか常人を越える超人の力を得ることは出来ない。

つまり何かを得るにはそれと同等かそれ以上の行いをしなくちゃいけないと云うことさ。


1192。

この数字が何を意味するもの……

連夜が今までの人生でじゃん拳で勝った回数か………いや違う。

連夜の今までの腕立て伏せの回数か……いや違う。

連夜の今までのゲームの総プレー時間か……いや違う。

じゃあこの数字はいったい何を意味するものなのかそれは単純にして明快これは連夜がゲームオーバーになった回数だ。

しかもプレーを初めてから二時間の間ハイオメガだけでのものだ。


回数はえげつないが連夜も只何度も同じ事をしていたわけではない。

嘆いていても現実は変わらないとやられる度にどうすればいいのか幾度も考察を繰り返していたのだ。

その結果GAMEOVERからやり直しを繰り返しすこと通算1192回最初はログインしGAMEOVERだった連夜も今では五秒はもつようになった。

たった五秒と侮るなかれ此れは凄い進歩である。

ハイオメガを今までプレーしていたゲーマーの数は優に300は越えておりいずれも最低でも500回はプレーしてる諦めの悪い猛者達である。

しかしその誰しもが即GAMEOVERが当たり前でありこんなのやってやれるかと怒りや絶望を抱え匙を投げる者が多い。

ちなみに余りの興奮でデバイスを投げてしまい壊してしまうものもいる。

そんななか連夜は目的の為とはいえ投げ出さず、諦めず五秒も持っている此れはまさに快挙と云っても過言ではない事である。

……まぁ、今だに人形の機械人形ビーロイドは一体も倒せてはいない現状ではあるが。

だが何とか初戦の一撃目の光速の攻撃は何とか躱すことができた…そう出来たのだが攻撃を躱したその後に出てくるコバエぐらいの大きさで弾丸のような速さで突撃し爆発する魚雷型のエネミーであるビーエイトの天を覆い尽くさんばかりの大群や三メートル以上はある虎、鰐、犀、鷹等動物を催した重厚かつ巨大なミサイルを撃ってくるメタリックなロボット、ビーズーンにやられてしまう。

さて此処でおさらいだが連夜はまだハイオメガにログインし最高でも五秒しかプレーできていないなのに敵エネミーの種類を幾つも知ってる。

この結果が導く答えそれは………開始たった五秒と云う僅かなそれこそ一呼吸するだけの時間でこれだけのエネミーが出てくると云うことである。


(流石は伝説の死にゲー感心するべきか、何だこれはと怒るべきかそれとも呆れるべきか……。

しかしだ取り敢えず俺は声を大にして叫びたい事がある……これRPG要素何処いった!?完全にSFゲームだろ!?

あれか最初の段階で装備しているのが木の棒だからそうだと言いたいのか!?ってかそれだとしても何で最初が木の棒なんだよ!レトロゲームか!?せめてエネミーに遇わせてレーザー銃とか科学武器でいいだろ!それかこの際贅沢は言わないがせめて鉄の剣ぐらいにはしてくれよ!

木の棒で機械の敵に立ち向かうって端から見るとやってる俺が馬鹿みたいじゃん!?)

連夜はエネミー以前のそもそものゲームバランスに頭を抱える想いだ。

確かに連夜の言うことにも一理ある。

ゲームにしても木の棒で機械の敵に立ち向かう姿は正直端から見なくともまともじゃない…ってかぶっちゃけこいつ気が狂ってねぇとしか思いようがない。

それでもそんななかで五秒は持つようになったのはやはり凄い進歩である。

……ほぼほぼ真田守の助言、アドバイスのおかげではあるが。


まぁなんにしろ折角最初よりはましになり五秒はもつようになったのでこのままハイオメガをプレーしても構わないんだが…………すまない発言を撤回する、正直このままプレーし続けてもこれ以上進歩できるか不安と云うか今日と云う日が下手しなくとも此れだけで終わりそうなので真田と相談し今日のところは五秒は進んだと云う成果を刻み後二種のゲームを一旦気持ちを切り替える意味も込めてプレーすることにした。


そして次にプレーするゲームは真田と相談し二種の内デッドバイトをする事に決まった。

【デッドバイト】

まず特質する点はRPGゲームにも関わらずHPと云う概念がないところである。

つまりHPがないと云うことは一回でも攻撃を受ければその時点で敗けなゲームと云うことである。

正直RPGなのにHPがない時点で嫌な予感しかしない。

しかしだ流石にハイオメガと同じ死にゲームとは云われるもののハイオメガみたいにログインしたと同時に瞬殺されると言った理不尽かつ鬼畜要素は無いだろうと思いプレーしてみた。

プレーから暫くして連夜はハイオメガと同じ様に頭を抱えた。

(いや、確かに確かにだハイオメガと違いログインして直ぐに敵にやられることはなかった、というかそもそもモンスター、エネミーの姿すらなかったしな。

だが、だがな……トラップの数多すぎだろ!?)


連夜がログインした場所は辺り一面草原であり敵も周辺には見当たらずハイオメガみたいなことはないと胸を撫で下ろし安堵していた。

その瞬間の出来事だ。

連夜の前に何処からともなく閃光が走り気付いたら眼前に有るのは草原ではなく GAMEOVERの表示だった。

何が起きたのか何にやられたのかすら分からず困惑する連夜は取り敢えずハイオメガの様に何度もやり直すものの結果は全て同じGAMEOVER。

しかし連夜もハイオメガの様にただやられていたわけではない何度もプレーするうちに攻撃にはパターンがあることを察したのだ………

……嘘である。

またもやハイオメガと同様真田守の助言、アドバイスのおかげで概要を知り最初の攻撃は避ける事はできた。

出来たのだが最初の攻撃を避ける為足を右に踏み出した瞬間地面が突如光りがはしり気付いたらGAMEOVERになっていた。


真田守の説明によるとあれは地雷でありデッドバイトのフィールドにはあれに似たトラップが無数に仕掛けられておりプレイヤーはそれを避けながら遠距離攻撃を仕掛けるインセクトアーミーと云う拳銃、ライフル、光線銃、手榴弾、地雷、アーミーナイフを装備している虫兵の大群と戦うゲームらしい。


連夜は思う。

(だからMMORPG要素何処いったんだ!?これただの敵を人間から虫にしただけのミリタリーゲームだろ!てか敵は遠距離攻撃するうえにフィールド中に地雷トラップがあるってどうすればいいんだよ!?)

831。

この数字は二時間の内に連夜がGAMEOVERになった回数である。


連夜はハイオメガの様に一旦気持ちを切り替える意味も込めて次は三種最後の死にゲーであるリバイスクエストをプレーする事にした。


さて連夜はリバイスクエストは上手く逝くのか……逝くのかの時点でもう予想がつく方もおられるだろうがまさにその通りリバイスクエストをプレーしてみて……本日三度目連夜は頭を抱えた。


(正直他の2つも色んな意味で酷かったがまだ動作はスムーズに思い通りに動く分いい、他は酷いが、だがこのリバイスクエストに関しては他の二種よりも更に酷かった。

モンスター、エネミー以前にそもそもこのリバイスクエスト………圧倒的に動作が遅い、遅すぎる。

動こうとしても意思に反してまるで頭上からGを掛けられてる様に体が重く実際に動作を行うまでのタイムラグが長いのでまるでスローモーションのような動きになるし。

しかも何故かオープンワールドのフルダイブゲームなのにエンカウントしたモンスターからは逃げれないし)


連夜はログインして直ぐ前方の道からやってきた敵モンスターである一昔前の不良集団みたいに学ランを着崩した目付きの悪いファンシーの欠片も微塵も感じさせないリアルな二足歩行の動物達に集団でタコ殴りにされたのだ。

しかも動作がスローモーションみたいに遅いため攻撃しようとしても攻撃の初動を行おうとした瞬間にぼこぼこにされる、かといって防御しようにも此れ又同じく防御の初動を行おうとした瞬間にぼこぼこにされる。

つまりは何をしようにも動こうとした瞬間にぼこぼこにされるのだ。

ちなみにリアルな動物の癖に攻撃音がボコボコじゃなくこ小さな子供が叩くようなポコポコした音なのは無性に腹が立った。


(正直どうしろと云うんだよ!?

動作がこんなに遅いんじゃどうしようもないだろう!

しかもログインしたら場所は窓ガラスは割れ至るところに落書きがされた荒れた学校って!

これ、ハイオメガやデッドバイトと同じくMMORPGじゃなくもはや別ジャンルの不良格闘ゲームだろ!?)


ちなみに今回のGAMEOVERの回数は二時間で合計773回である。

又もや真田守の助言、アドバイスのおかげで回復アイテムの焼きそばパンの場所が分かり何とか回数は一番少なくできた。


(この三種を作った製作会社絶対MMORPGの概念分かってないだろ。

ってかよく此れで売り出そうと思ったな、

この三種とももはや只の趣味ゲーの分類だろ。

しかし真田もよくアドバイスを送れるな、相当やり込んでいなければ出来ない芸当だぞ)

苦戦どころか最早死戦な状態で苦悩する連夜だがその一方で三種共に助言、アドバイスを送れる程にやり込んでいる真田守に対し尊敬の念を浮かべる。

(確かに噂に違わない難度と理不尽さだ。

正直何処までいけるか不安ではあるが………

だけど此れで絶対ではないが確信することは出来た。

もしもこの三種を乗り越えることができたなら俺はラインハルトを越すことができるかもしれない)

ラインハルト戦に対する希望を抱いた。

(………乗り越えることができたらだけど、

……俺大丈夫かな)

けどその前に乗り越える事つまりいいとこまでいくかクリアできたらの話なので不安に思い遠い目になる荒木連夜だった。


ちなみに三種とも最初から真田守がアドバイスを送ればより短い時間でいけたのでと思われるが真田守本人曰く

『アドバイスより実戦まずはやれる限界までやってからだよ荒木君!

さぁ頑張って逝こう!!』

とのこと。

真田守は顔や性格に似合わずゲームに関して凄いスパルタであった。



真田守の家に9時に着いた連夜だったがゲームも含め色々あり既に16時を過ぎたので真田と20時にジェネティクノーツに逢う約束をし今日はもう帰る事にした。

連夜が席を立ち帰ろうとした瞬間見計らったように真田の自室の襖がばっと勢いよく開き真田の祖父が入って着た。

「お爺ちゃん!?」

突然の事に驚く連夜と真田に対し真田の祖父は部屋に入ると厳つい顔のまま腕を組んで仁王立ちになり

「私には詳しい事情は分からんが荒木君、君に何か重大な理由があり今よりももっと強くなろうとすている事は分かった」

鋭い眼光を連夜に向けた。


(分かったって…いやそもそも何時から居たんだこの人?)

真田の祖父は連夜の前に正座すると鋭い眼光のまま

「荒木君よ何かに一生懸命になるのはいいことであり私はそんな君を立派だと思う。

だからこそだもし何か私に出来ることがあるなら遠慮なく言いたまえ微力ながら力を貸そう」

有無を言わせぬ様な雰囲気を漂わせる。

「えっ、あっはい」

連夜は真田の祖父の異様な圧に思わず頷くと真田の祖父も頷き

「さぁ、どうぞ遠慮なく言いたまえ」

(言いたまえって……だが冷待てよ此れは願ってもないチャンスではないのか、

真田の祖父は道場経営者だし真田の時みたいに良いアイデアが貰えるかもしれない)

連夜はそう思うと真剣な顔をしてユエの事は話さず自身の此からの未来の為にどうしても勝ちたい、いや勝たなければならない最強の男がいるんだと伝えた。

正直ユエの事を話さずだと自分勝手な理由に聞こえるが真田の祖父は真剣に話を聞いてくれた。

「そうか、自分の未来の為に最強の男に勝た無ければならないその為に強くなりたいと」

真田の祖父は静かにだが重々しく頷くと立ち上がり

「付いてきたまえ」

真田の自室から出ていった。

これまた突然の行動に思わず顔を見合わせる連夜と真田守だったが取り敢えず真田の祖父の後に付いて行くことにした。


三人が着いた先は真田家の隣にある道場である。

道場に着くと連夜達に向かい合うように立っている真田守の祖父は

「さぁ遠慮なくかかってきたまえ」

腕を前で組み仁王立ちをすると二人に言い放った。




ちなみにだがゲームをプレーする前に失礼だが真田守に道場の看板についてどう思うか聞いたところあれは自分の祖父が書いたものでありあの文字は凄いと絶賛していた。

(凄いな、あれを書く祖父も祖父だがそれを絶賛する孫も孫。

血は争えないと言うが正にこの事なんだな)

血の神秘についてしみじみと感心する荒木連夜だった。

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