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策略

やぁ、こんにちは語り手だ。

過去の残滓、それは未練、後悔からくるものだ。

人はそれを意味の無いものと称する。

過去は変えることは出来ず何時まで想いを馳せようと意味がない。

確かに一理ある変えようが無いなら引き摺って居ても仕方ないのだから。

愚かだと無駄なことだと未練がましいと嘲笑うかい

だけどね忘れてはいけないよ。

今の未来の自分が有るのは過去の全てが有ってのもの。

過去は過ぎていくとしても終わったものではない。

私達は過去から続く道を歩んでいるのだから



連夜が真田守と木戸健哉との意外な関係性に驚くなか真田守は手に取った写真立てを寂しそうに優しい笑みで見ながらもどこか懐かしそうに語る。


真田守の父親と木戸健哉の父親が親友同士であり木戸健哉の父親が弓道をしていて真田の道場に通っていたこと。


父親同士の縁で出会った真田と木戸はよく一緒に遊んでいたこと。


真田守にとっては木戸が初めての唯一無二の友達で有ったこと。


昔の木戸は今と違い誰にでも隔てなく優しく思いやりのある子供だったこと。


写真は小学三年生の頃に撮ったものであり写真を撮った数日後に木戸健哉が変わっていったこと。


そして変わっていく木戸を真田は何度も引き留めようと説得するが聞き入れて貰えず、次第に説得し続ける真田がうざいのか面倒なのかそれ以外の理由からか木戸は真田に対しパシリや暴力を始めたこと。


そして真田は木戸と昔の様に仲が良かった頃に戻りたいが為に木戸と完全に関係を断たれるぐらいならと耐え忍んでいたこと。


連夜は聴きながら思う。

(木戸に何があってそうなったのか俺には分からない…だが木戸の様子や真田の話しから察するにきっと過去に今に変わるぐらい辛く悲しいことがあったのだろう。

だがそれでも木戸の今まで行いがユエへの侮辱や真田にしたことが正当化されるわけではない。

きっと木戸もそれは分かっている筈だ、そう分かってはいても自分でも抑えきれない程に蓋をしようとしても溢れる程にどうしようもなかったのだろう。

だから真田もそれが分からなくとも感じていたからこそ諦めず耐えていたのだろう何時の日にかその時が訪れるのを祈り切望しながら)

連夜がそう想いながらも真田守は何も出来ない自分がいかに弱いかを無力かを苦しそうに辛そうに吐き出す。

連夜はそんな真田を見ながら思い出していた。

それは前に屋上にて木戸健哉達にやられた真田守に対し連夜がそのままでお前はいいのかと問うた時だ。

真田守は

「荒木君、僕も今のままがいいなんて思ってるわけじゃないんだ、でも今よりもっと酷くなるんじゃないかと思うと怖くて一歩を踏み出す勇気がでないんだ」

と言っていた。

てっきり真田守は自身の今の現状を憂いての言葉だと思ったがまったく違った。

真田守は自身のことじゃなく木戸に対しての思いを言っていたのだ。


(…強いなこいつ。

諦める事もそれこそ投げ出すことも出来た筈だ、それなのにこいつは自分が傷付きながらも諦める事、いやそもそも真田の中には諦める選択すらなかった)


決して真田のやり方が正しかったわけではない他にもっとうまいやり方があった筈だ。

だがそれはたらればの話し。

今さらどうのこうの言っても意味のないことであり自分が傷付きながらも耐え忍びいつか来る未来を信じた真田への侮辱に他ならない。


連夜にとってユエは月だ。

暗闇に居た自分を照らし光を与えた存在まるで夜に輝く月光。

連夜にとってラインハルトは雷だ。

一筋轟くだけで周りに畏怖をもたらし圧倒的存在感を与える雷轟。

連夜にとって木戸ことシドは太陽だ。

常に己を燃やす激しい熱と苛烈、触れたものを焼き尽くす業火。

そして……

真田守、こいつは正に大樹だ。

自分が幾ら傷付こうが一つの芯のもと決して折れず聳え立つ不屈だ」

そこまで想いながらも連夜は気付いたいつの間にか写真立てを持って立っていた真田守が顔を真っ赤に染め口をパクパクしながらも自分を見ていたことに。

(?)

そんな真田守の様子に不思議そうに見ていた連夜だったが気付いた、気付いてしまった。

(……………!)

「……もしかして…だが俺口に出していたか?」

連夜が喉を鳴らしおそるおそる聞くと真田守は激しく頭を上下に振る。

つまり肯定だ。

(こ、これはとても恥ずかしい!)

思っていた事が口に出てたうえ本人に聞かれる凄い恥ずかしくなることに連夜は顔が暑くなり真田守と同じく赤く成りそうになる。

(どうする!どうする!どうする!)

起きてしまった事は変えられないどうするか定まらない思考を光の速さの如く巡らす連夜。

正直手で顔を覆いたい気分だ。

そして連夜が下した答えは

(よし起きた事は変えられないなら………誤魔化そう!)

連夜は咳払いをすると真田守を真っ直ぐ見て

「真田、お前は弱くなんてないとても強く芯のある立派な人間だ。

誇るべき事でありとても尊敬するよ

凄い凄い本当に凄いよ」

真田守を誉めたおした。

真田守は更に顔を真っ赤になるが連夜が自分を誉めている最中顔を背け体を小刻みに振るえている姿に気付くとジーと目を細め

「もしかして荒木君からかってる」

「…………」

「荒木君」

「……ぷっ」

「~~~~~~~もう荒木君!!」

今度は別の意味で顔を赤く染めた。

連夜はぷんすか怒る真田を宥めながら

(真田、最後はともかくとして俺が口に出した言葉は本心からのものだ。

お前は俺が今まで出逢った誰よりも充分に強く優しい男だよ)


暫くたち落ち着いた真田守と連夜は座布団の上に座りながら当初の目的について話し始めた。

「荒木君の言ったレベルやステータスに依存しないTDシステムを主軸に置き最大限に活かすためにひたすらボス級モンスターと戦うって案は僕もいいと思う。

でも荒木君はそれだけではラインハルトさんに対しては不十分なんだと思ってるんだよね」


「ああそうだ。

今俺が思い付く最善の案が1ヶ月ひたすらボス級モンスターと戦う事なんだが、正直ラインハルトに迫ることはできても越えることは難しいと思う」


真田守は頷くと

「僕もコンセプトしては荒木君の案は間違ってはないと思う。

だからそれを踏まえて僕の提案はこれなんだ」

三枚のフルダイブゲームソフトを見せた。

連夜はその三枚のフルダイブゲームを見て目を見張った。

何故ならそれは

「伝説の死にゲー…だと!」

ハイオメガ、デッドバイト、リバイスクエスト、前に真田守と話したフルダイブゲームでありいずれも死にゲーといわれるほどのジェネティクノーツのグランドクエストを遥かに越える難しさ理不尽さ誇る有名な三種のゲームである。


真田守は重大な決断をするように重く頷く。

「そう、荒木君の言うとおり死にゲーと言われているフルダイブゲームだよ。

この三種はジェネティクノーツのグランドクエスト以上の難しさ理不尽さなのは荒木君も分かってるよね。

でも実はこの三種のゲームは極限に難しいだけで決してクリア出来ないわけではないんだよ実際にクリアした人も二人はいる」


「クリアした奴がいるのか!?ってかクリア出来るのか此れ!?」

連夜は真田守の言葉に驚愕した。


通常のゲームはそれ一つだけが意味を持ちゲーム内で幾らレベルを上げようがレアアイテムを手に入れようとも他のゲームでは使えない。

だがジェネティクノーツにおいては違うレベルやアイテムは他のゲームからコンバート出来なくてもTDシステムがある。

ジェネティクノーツの人間の未来を想定したTDシステムだがそれはプレイヤーのイメージ次第でゲームに反映される。

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「つまり荒木君がこの三種の死にゲーと言われたゲームをクリア出来るのが一番いいけど…正直1ヶ月じゃあ絶対に無理だ。

ならクリアは出来なくともせめていいとこまでいくことが出来たのなら…」


「ラインハルトでも予想の付かない奇想天外正に常人を越えた動きができると言うわけか」


確かにラインハルトとPVPをした連夜だから分かる。

ラインハルトの洞察力、思考力、反応速度全てにおいてトップ中のトップ正に常人を越えた超人だ、それに対抗しようと思うならも自分自身も常人を越えた洞察力、思考力、反応速度を得るしかない。

ならばもし死にゲーと言われた三種のゲームに慣れることが出来るならそれをFシステムに活かすことが出来るなら真田守の案は連夜にとって願ってもないことである。

連夜は覚悟を決めた。

「真田ありがとう、お前の案ありがたく使わせてもらう」

「うん!荒木君頑張ろう!」

真田守は握り拳を作り気合い充分に頷いた。


早速連夜は持ってきていたデバイスにゲームをインストールした。

「じゃあ荒木君まずはハイオメガから始めようか」

「ああ行ってくる」

そして連夜はハイオメガをプレーした。


ログインすると目の前に有るのは見渡す限り荒廃した街。

「此れがハイオメガの初期位置か、周りはっと…荒廃した街があるだけか」

連夜はまずは一歩と足を踏み出した瞬間崩壊した建物の瓦礫の隙間から出現した敵エネミー人形の機械人形ビーロイドから光速の勢いのレーザービームを眼前一杯に弾幕攻撃され

避けることも反撃することもそれこそ何も言うことすら出来ずHPがゼロになりGAMEOVERとなった。

連夜は無言でデバイスを一旦外し深呼吸して

「真田」

「荒木君?」

「行ってくる」

「えっ?」

もう一度真田守に告げるとログインした。

さて気合いを新たにログインした連夜を待っていたものは………………さっきとまったく同じ結末であった。

その後も

GAMEOVER

GAMEOVER

GAMEOVER

GAMEOVER

GAMEOVER

「……………分かっていた、分かっていたんだ、

だがここまで理不尽とは!」

連夜は黙ってフルダイブゲームを取ると顔に手をやり覆いあまりの難度に嘆いた。

やり直す度通算十二回。

連夜はエネミーを一度も倒せないどころか瞬殺されていた。


此れはあまりに酷い出来事である。

しかし忘れてはいけない此れは全てログインして直ぐの事つまりまだ序盤の序盤でありそして此れと同様レベルのゲームが後二種も連夜を待っていることを。

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