宣戦布告2
やぁ、こんにちは語り手だ
己が信じるものの為貫きたい想いを背にアラヤは五大ギルド会議に乗り込み他の五大ギルド長の前でラインハルトに宣戦布告をする。
アラヤの行動は身勝手だと思うかい。
まぁ、そうだろうね。
あくまでもアラヤが闘うのは何処まで行こうとも結局は己が為でしかない。
……だがどうしても貫きたい果たさなければならない想いがあるのなら例え他を踏みにじる事に成ろうとも行動するのが人間である。
一般のプレイヤーは噂でしか知らず秘匿されていた五大ギルド会議にいきなり乗り込みあまつさえラインハルトに対し宣戦布告まで行なったアラヤにざわめきだす一同だった。
だがそこはやはり五大ギルドと呼ばれるトッププレイヤーの中のトッププレイヤー達だ瞬時に落ち着きを取り戻した。
「誰だてめぇは…って、うん?てめぇはたしか…あー!ラインハルトとPVPした奴じゃねぇか!」
「あら、本当ね」
「本当ね」
最初誰が入って来たかは分からなかった五大ギルド長と副ギルド長、側近達であったがマオを筆頭に会議に乗り込んだ乱入者をよく見てみるとそれが今回のギルド会議でラインハルトに処罰を与える要因になった原因の一人アラヤだと云うことに気づいた。
「おいおい。
こりゃあいったいぜんたいどういうわけだ。
なんで噂の坊主が此処に来たんだ。
誰かの差し金か?」
ジュウベエは顎を擦りながらマオ達を見渡すと
「なぁ、そこんとこどうなんだ坊主」
アラヤに真意を聞いてきた。
ジュウベエは本来五大ギルドが集まって会議することは一般プレイヤーの間では周知の事実ではなくあくまで噂でしかないのにアラヤが何故この場に現れたのかそもそもどうやって知ったのかを問うているのだ。
しかしそうアラヤに問いながらもジュウベエは内心
(此処にいる誰かってことはないな…。
となると慌てて出ていって坊主を連れてきたアンが怪しいがあの慌てようを見ると坊主の行動はアン本人も予想外の行動みたいだな。
とするとアン本人の意思ではなく誰かに頼まれて連れてきたってとこか。
まぁ、この際そんなことはどうでも云い問題は俺達が会議中だと分かったうえでの事かと云う事だ)
あり得ないが万が一知らないで来たならの偶然だと苦しい言い訳ではあるが捉えられない事もないが知っていて行動したのら五大ギルドに属していないアラヤに会議の情報が漏れているとこあであり、あまつさえその会議中に自分の目的の為に乗り込んだと云う事はつまるところ自分にはそんなの関係ないと、つまり嘗められていると言うことだ。
「貴方達には悪いがもちろん分かった上での行動だ。
俺は貴方達が会議中だと知っていながらラインハルトにPVPを申し込みに来た」
アラヤは弁明もさずただ真っ直ぐにラインハルトを見据えていた。
自分達五大ギルド長を前にしてアラヤの誤魔化しの無い発言に
「ほ~」
「「へぇ~」」
「そう」
「そうか、分かった上でか」
五大ギルド長達は内心感心すると同時に好戦的な笑みを浮かべた。
五大ギルド長を前にしてアラヤの度胸は感心するがアラヤの用事はあくまでもラインハルトだけに向けられているものであり他の者達には興味がないと言ってる様なものだ。
何時爆発するとも分からない導火線に火が付いた爆弾の様な不穏な雰囲気が会議室を覆うなか一筋の声が響いた。
「アン。これはどういうことだい」
「!?あっ…あ…す…すいませんラインハルト様!」
アラヤの後ろで事のなり行きを見ながらどうしたらとあたふたしていたアンに両手を組ながらラインハルトが状況の説明を求めるとアンは本当に申し訳なさそうに頭を深々と下げ謝罪した。
「その…ですね。
お姉、ルビィからアラヤを案内して欲しいと連絡がありまして。
私もまさかこんな事に成るとは思いもせず」
「ルビィさんが」
顔を上げたアンはしどろもどろになりながらも告げると
皆はルビィが原因だと知るとアラヤが会議の事を把握していたのも納得した。
しかしアンも自分が反抗できないとは云えルビィに言われるがままアラヤを連れてきた結果起きている事態なのは分かっているので
「いえ!こうなったのも私の失態です。
如何様にも処罰を」
真剣な顔でラインハルトに己の処罰を求めた。
「いや。ルビィが原因なら仕方ない事だアン君に責任は問わないよ」
(ルビィなら仕方ないって、他の五大ギルドの人達も頷いて納得しているしほんと何者なんだよルビィ)
アラヤはラインハルトを見据えながらも内心ラインハルトとアンの会話や五大ギルド長とも関わりがあるのかルビィなら仕方ないと云う皆に驚いていた。
「しかし!」
「不問にすると私はいっている」
「ツッ!身に余る光栄寛大な処置ありがとうございます!」
しかしラインハルトが不問にする言っても己の失態を理解しているアンは納得できず処罰を求めようとするがラインハルトは己が裁定を曲げず再度アンに告げるとアンはラインハルトの寛大な処置に感動し涙を浮かべながら礼を告げた。
「さて、アラヤ君先程君は私の聞き間違いでなければ私にPVPを挑むと言うことだが」
「いや、聞き間違いって、あのアラヤって奴あいつにPVPを挑むって二回も言ってたよな」
「言ってた」
「ぷっ。あいつあの見た目でもうボケてるのかよ」
「クスクス。お静かにしてください」
「クスクス。そうですわ。あれはそう、様式美ってことですわ」
「ぷっ。つまりまたあいつの天然のかっこつけって奴かよ」
ラインハルトがアラヤに問うなか周りは自分達は度外視の光景に暇なのか外野気分でひそひそと話していた。
(丸聞こえなんだか)
「皆…」
流石のラインハルトも自分に対しての馬鹿にした言葉も含まれているので此れには我慢できず怒りの抗議の声をあげるかと思いきや
「酷いじゃないか!話なら私も混ぜてくれないか」
自分も混じりたいと抗議の声を上げた。
「「「「「「てめぇ、貴方、お前は話しに集中しろ、しなさい、して、しろよ」」」」」」
にべにもされず叱られた。
(これが…これがあの五大ギルド長なのかよ)
アラヤは最初ジェネティクノーツにて知るものはいないとされる最高峰のトッププレイヤー達に言い知れぬ圧を感じていたが今ではなんと形容したらいいのか困惑の方が大きい。
ラインハルトもまるでアラヤが知っているラインハルトとはまるで違った。
PVPの時とは違い印象、雰囲気とまるで別人のように感じられる。
(これが本来のラインハルト…いやこれも含めラインハルトか)
アラヤはこの瞬間ラインハルトと云う男の真髄を少し理解した気持ちになった。
「さて、話を戻そうか。アラヤ君は私とPVPをしたいと云うことだね」
「…戻そうって、あいつ自分から話し逸らした癖に」
「自分が気を逸らした」
「お静かにしてください。
こうゆうのは分かっていても口にしないことですわ」
「そうですわ。
誰だって認めたくないことはありますわ」
「まぁまぁお前らそう言わず暖かい目で見守ってやろうぜ」
ラインハルトの言葉にまたも外野の皆はひそひそと言い出した。
「皆…」
ラインハルトはまたもや楽しそうな皆の様子に混じりたそうに口を挟もうとしたが皆からの無言の目の圧力で黙った。
アラヤには押し黙ったラインハルトがしょんぼり落ち込んでいるように見えた。
(はぁ。こんなグダグダになるなら最初の威圧されてた時の方がまだよかったな)
アラヤはイメージとは違う賑やかな五大ギルドの様子にそう思わずにはいられなかった。
「さて、PVPの件なんだが。
アラヤ君には悪いが実はさっき無断でPVPをしたことで処罰をうけたところでね。
私もおいそれと私情のPVPを受けるわけにはいかないんだ。
で、アラヤ君。そんな中で私が君の申し出をはたして受ける理由があるのかね」
ラインハルトはアラヤに対し威圧的な笑みを浮かべる。
「ああ。お前が俺のPVPを受ける理由はある」
「ほー。それは気になるな。
是非その理由を聞きたくなった、よければ教えてくれないか」
「単純だ。
ラインハルト、俺はあんたのPVP申請を受けた。
ならラインハルトお前は俺のPVPを申請を受ける権利はあるはずだ」
アラヤの言葉にラインハルトは目を見張ると
「ほー。
つまりアラヤ君は自分は私の申し出を受けたのだから私も君の申し出を受けるべきだと言いたいのだな」
「ああそうだ。
それがお互い公平だろ」
「公平って…」
アラヤの言葉に周りは眉を潜める。
皆が思っている事は分かる。
アラヤの言ってる事は権利、特権、資格、道理、義務だと正当性はなくほぼ言い掛かりに近い。
何故ならラインハルトとアラヤでは立場が違う上に無理矢理受けたのならまだしもアラヤは自分の意思でラインハルトのPVPを受けたのだ。
アラヤ自身もそれは分かってはいた。
此れだけでは不十分だと。
だから分かっているこそアラヤはラインハルトが受けざるえないある言葉をラインハルトにぶつける。
「それともなんだいくら最強の男とは勝利したにも関わらず一プレイヤーの俺ともう一度戦うのは怖いうえ…皆の前で敗北を去らすのは恥ずかしいか」
それはラインハルトが挑発のためアラヤに言い放ったものと酷似していた。
「なぁ!?」
「へぇー言うじゃねぇかあいつ」
「クスクス面白い方ですわね」
「クスクス本当ですわね」
「興味深い」
「アッハハ!面白いなあいつ」
アラヤの発言に度肝を抜かれアンが驚くなか五大ギルド長達は驚くというよりこの場で言い放つアラヤに愉快だと感心を寄せた。
「ほー」
アラヤの挑発にラインハルトは獰猛な肉食獣みたいな笑みを浮かべた。
ラインハルトも分かっているこれがあからさまな挑発であることを。
分かっているからこそ引くことはできない。
何故ならこの場に五大ギルドの長が集まりその長達の目の前でジェネティクノーツ最強にして象徴の己が此処まで言われたのだから。
「アッハハハ!ああーあ。
アラヤ君流石だよ。
そこまで言われたのなら私も退くわけにはいかないな」
だからこそラインハルトはアラヤのPVPの申し込みを受けた。
「だがアラヤ君。
君もこの場においてその言葉を私に言うということは君はもう後には退けない事は承知しているね」
ラインハルトの覚悟を問う声にアラヤの脳裏では儚く笑うユエの姿が写し出された。
(ユエ)
アラヤは元よりそのつもりだと頷いた。
「承知のうえだ。
もとより俺に退路はいらない。
いるのはラインハルトあんたからの勝利だけだ」
「そうか。皆」
ラインハルトはアラヤの覚悟に嬉しそうに笑みを浮かべると他のギルド長達を見渡した。
各ギルド長達は何も言わず笑みを浮かべ頷いた。
つまりアラヤとラインハルトのPVPを了承したと云うことだ。
「アラヤ君。いいだろう私は君からのPVPを受けよう!」
ラインハルトはPVP了承を宣言した。




