ギルド会議
アラヤが会議に乗り込む前。
五大ギルド会議は会議を行う際の会議場所は外や都市にある集会場ではなく必ず各五大ギルドホームを順番で交代しながら行っている。
居るだけで何かと目立つ六人、それこそこの間のラインハルトの様に中央広場に現れただけで騒ぎに成るのは確実なメンバーだ。
その六人が一同に会すのだこの間のラインハルト以上の騒ぎに成るのは間違いない。
なので取り決めとして五大ギルド会議を行う際は無用な騒ぎや混乱を及ぼさないように各ギルドの会議室を使いひっそりと行われている。
……注告だがなんかその方が暗躍してて格好いいからと云うわけではない。
さて、今回の五大ギルド会議はオリュンポスギルドホームクロノスタシスで行う為五大ギルド長及び側近の者達はクロノスタシスに集まっていた。
そして現在クロノスタシスに集った五大ギルド長達は今回の会議内容について話していた。
「まったく、てめぇのとこはどうなってんだよ」
桃色の長髪を後ろで一個のリングの筒に通し纏めていて、妖艶さを感じる褐色の肌を足の付け根まであるスリットが際どい桃の模様が入った赤いチャイナ服を着ており、手には手の甲部分に【水面に桃の木エンブレム】が描かれた赤色の指抜きグローブを着けて、腕と脚を組み椅子に仰け反りながらその豊満で出るとこは出て引っ込むとこは引っ込んでる見目麗しい容姿からは想像つかないような男勝りの口調で呆れたように薄い緑色の目でラインハルトを見ながら言う背丈の高い端麗な女性は桃源郷ギルド長【天帝】の神威開放保持者マオである。
「ハッハハ、皆には申し訳なかった」
マオから指摘を受けたラインハルトは五大ギルドの面々に向かい軽く笑いながら謝るも他の五大ギルドの面々からしたらまったく悪びれてない様に見える。
「いや、反省してないだろお前」
マオは軽い様子のラインハルトに嘘つけと云うように半目でジーと見ながら言う。
「いやいや、本当に反省しているとも。
都市内で認証もなくPVPをしたシドの件は私の不手際だった本当に申し訳ない」
ラインハルトは笑みを止め今度は深々と頭を下げ本気で反省しているという姿勢を取るが
「いや、貴方もなんですけど」
「そうですわよ」
自分の事を棚にあげ言うラインハルトに対して二人の少女が間髪入れず突っ込みをいれた。
ラインハルトに突っ込みを入れた二人の少女は《マオ》と同じく容姿が見目麗しく、触れたら壊れそうなガラスの様な透明感を持った薄い白い肌に白い髪、赤い髪を髪とは逆の【二対の赤と白の竜のエンブレム】が描かれた赤い髪留め、白い髪留めでツインテールに纏めており、ドラゴンの目の様な深い金色の目を持ちゴスロリで服の色が白と赤以外ドッペルゲンガーと言っていい程に同じ容姿のアバターをしている二人の中学生ぐらいの背丈の可憐な少女達はブリテンのギルド長
【白い竜】の神威開放保持者シオンと
【赤い竜】の神威開放保持者クオンの
【双煌姫】である。
「二人の言う通り貴方も同罪」
ロボットの様に淡々と表情も変えずに言うのは烏のように肩まである漆黒の短髪を正面に【隻眼の白と黒の烏のエンブレム】が描かれた魔女の帽子みたいに先がとがっている三角帽子を被り雪国に居るような陶磁器みたいに薄い白い肌を黒い修道服に包み肩から黒いマントを羽織って右目に黒い眼帯、見えてる左目は青紫色をしている小学生と見違うぐらいの背丈の幼姿でありながら背徳的を感じさせる見目麗しい少女はアースガルズのギルド長
【オーディン】の神威開放保持者リリアである。
「アハッハハハハハ!!、確かにそいつらの言う通りだな!」
可笑しそうに腹を抱えながら笑って自分も同じ意見だと賛同の言葉を上げているのは
日本人特有の容姿、黒目で黒髪を短くかりたてて顎にも髭を生やし肉食獣の様な野性味を感じさせながらも一本の芯を感じさせる黒の和服に肩に【二対の白と黒の刀が交差するエンブレム】が描かれた炎のように赤い羽織を羽織っているラインハルトと同じぐらいの背丈の男は武蔵のギルド長【スサノオ】の神威開放保持者ジュウベエである。
ちなみにこの会議室には各ギルドの副ギルド長も自分達のギルド長の後ろの壁の方に控えている。
「ふむ、そこなんだが私はオリュンポスのギルド長なのだから自分に許可をだしたと言うことにはならないかね」
「ならねぇよ」
「「ならないわ」」
「ならない」
「ならないぜ」
頭を上げ真剣な顔をしたかと思えば馬鹿な事を言い出したラインハルトににべもなく間髪いれず各ギルド長五名は否定した。
「そうか」
一切お前には反論の余地がないと言う風に否定されたのでラインハルトは若干落ち込んだ仕草をするも直ぐに立ち直り
「なら私の件も含め申し訳なかった」
今度は自分の行いを含め謝罪した。
ラインハルトの謝罪を他のギルド長四名は冷ややかな顔で見ている。
((((こいつ指摘しなかった自分のPVPについては問題ないと流す気だったな)))))
これでも長い付き合いなので各ギルド長達は謝罪するラインハルトに対しそう感じていた。
「まぁ、反省…反省してるよな?」
「しているとも」
「…………」
マオは間髪入れず自信満々に答えるラインハルトに疑わしそうな目を向けたが
「はぁ、なんかもうめんどくせぇ。
もう二度と勝手をやらないなら今回の件はいいんじゃねぇか」
マオは心底面倒くさそうに頭をがしがし掻きながら溜め息を吐くとラインハルト以外の周りの五大ギルド長に提案した。
「もちろんだとも」
何故か他のギルド長よりもいの一番に沙汰を待つはずのラインハルトが答えた。
しかも矢鱈真剣な表情でだ。
これには堪らずラインハルトを許そうとしたマオもいらっとし
「お前には聞いてねぇよ!」
ラインハルトに向かい叫んだ。
「で、この馬鹿はほっといて、てめぇらはどうだ」
マオは再度ラインハルト以外の五大ギルド長に訪ねる。
「私達は別に構わないわ。ねぇ、クオン」
「そうね。私もシオンと同意見よ」
クオンとシオンはお互い顔を見合わせながら答えるなか
「私も別にいい」
リリアも賛同し
「俺も別に構わないが」
ジュウベエも賛同の声を上げるがそれだけでは終わらずに何か言いたげだった。
「ああっ、構わないがなんだよ?」
マオがジュウベエの言い方に疑問を持ち訪ねる。
「俺もラインハルトを許すのは別にいい。
だがな、自分がやったことのケジメはしっかりとつけなきゃ成らねぇ。
じゃなきゃあ俺達はいいとしても俺の同心達や他のプレイヤー達に対して示しがつかねぇ」
髭をさすりながら笑みを浮かべながら言うジュウベエだがその瞳には絶対に此れは譲れないと強い意志が感じられた。
「確かにそうね。自分の失態に反省の意味も込めて責任を持つのは大事よね。
まぁ、私達のギルドは大丈夫だとしても貴方達の、特に何処かの野蛮なギルドの方はねぇ…」
「ええ。
シオンの言う通りよ。
私達のギルドは私達の言うことに素直に賛成してくれる良い子ばかりだけど、何処かのギルドはそうはいかないんじゃないかしら。
貴方もそう思うでしょ」
シオンが妖艶に指を口に当てながら薄く笑みを浮かべまるで貴方の何処と云う様にマオの方を見ながら言うとクオンは自分とシオンの後ろの方に控えている金色の短髪に青い目をして【二対の赤と白の竜のエンブレム】が模様として入った騎士甲冑を着たブリテン副ギルド長のアーサーに声をかけた。
「勿論です我等が姫。
姫の意思は我等の意思。
私達煌姫の守護騎士の全ては姫達の為にあるのですから」
クオンの意見に対しアーサーが当然だと言わんばかり全肯定でクオンに忠誠心を示すなか野蛮なギルドと言われたマオは額に青筋を立てていた。
「おいおい、野蛮なギルドってもしかして俺等の事を言ってんのかねぇ、ええっ」
威嚇するように円卓に右肘を置くと前のめりになりながらシオンに対し口角を上げ言う。
「あら、以外でしたはまさか自覚がおありだとは」
シオンは威にも介した様子もなく逆にマオを煽ってくる。
「アッハハハハ!だってよサーシャ」
マオは額に青筋をたてながら可笑しそうに笑い声を上げ自分の後ろに控える朱色の長髪を後ろに三つ編みにして朱色の目をした青いチャイナ服でマオと同じ手には手の甲部分に【水面に桃の木エンブレム】が描かれた青色の指抜きグローブを着けている桃源郷副ギルド長のサーシャに言うと
「あらあらウフフフフフ」
サーシャはただただ、笑顔で微笑んでいた。
ひとしきり笑ったマオだったが
「あ~あ……。ブッ飛ばすぞてめぇら」
シオンに怒りの表情で凄んだ。
「あらあら、怖いわねクオン」
「そうね、シオン恐ろしいわ」
シオンは怒りの表情で凄むマオに対し隣のクオンと手を合わせ怖いと口に出しながらまったく怖がってない表情でクオンと共に言う。
「上等だよてめぇら。
今此処でそのふざけた態度を矯正してやるよ」
マオはあくまでふざけた態度を取るシオンとクオンに怒りのメーターが振り切れたのか手をボキボキと鳴らしながら威圧的に言う。
「あらあら、私達と戦うつもりなのかしら」
「あらあら、無駄なのにね」
シオンもクオンも怒るマオに怯えもせずむしろ戦っても自分達が絶対に勝利するという余裕な態度である。
「おいおい、まったく」
「しょうがない人達」
ジュウベエとリリアはこの状況に呆れるなか
「君達此処はオリュンポスのギルドホームつまりは都市内だ。
都市内で私闘のPVPは我等五大ギルドの何れかの許可なくする事は禁止のはずだが」
この男自分がしたことはもう無かったかの様に真顔でマオ、シオン、クオンを窘めるように注意をした。
「てめぇが言うな!」
「「貴方が言わないで」」
「貴方が言うな」
「お前が言うな」
此れには各ギルド長全員がいらっとして間髪入れずラインハルトの方を見て批判した。
各副ギルド長や側近達も同意見だと頷いていた。
ラインハルトが自分の行いを棚に上げ言うものだから皆の矛先は完全にラインハルトの方に向いた。
「おいてめぇら。
この馬鹿の罰だがアルカディア中央広場で自分は馬鹿ですって張り紙して一日中正座にしねぇか」
「えっ?」
「それじゃあ生ぬるいわよ。もっと罰を与えなきゃね」
「そうよね。服装も囚人副にして足に鉄球、手に手錠を着けて罪人だと分かるようにしなきゃね」
「待ってくれ」
「1日だと短い一週間にした方がいい」
「落ち着いて」
「よーし、じゃあそれで決まりだな」
ラインハルトに苛ついたマオ、シオン、クオン、リリア、ジュウベエがラインハルトに対しどんどん罰を決めていってるなかどんどん罰が酷くなっている事に慌てる様に制止しようとするラインハルトだが皆ラインハルトの事は見えてないかのようにガン無視である。
ちなみにラインハルトの後ろの方に控えているアンは敬愛するラインハルトへの罰が酷くなっていっているのでラインハルト以上に慌てていた。
「待つんだ皆!私の話を聞いてくれないか」
この期に及んで抗議をあげるラインハルトに各ギルド長達がめんどくさそうな顔で見るなか
「なんだ、遺言なら最後の情けに聞いてやるが」
代表する様にジュウベエが訪ねる。
「私も自分の起こした失態について罰を受けるのは構わない。
だがその罰だけは駄目なんだ他のにしてくれないか」
ラインハルトは抗議の声を上げるだけではなくこの期に及んで罰の変更を言い出した。
各ギルド長達がラインハルトの発言にどの面下げてと更に呆れるなかラインハルトは全員を真剣な顔で見渡すと
「いやなに何も罰を失くせとは言わない。
ただ内容を変えてはくれないか」
「てめぇ、この期に及んで罰の変更だと」
「そうですわよ」
「みっともないですわよ」
「失望」
「ああ。さすがにそりゃあないぜ」
皆が余りにも見苦しいラインハルトの発言に呆れを通り越して失望を滲ませる。
「此れには理由があるんだ」
「はぁ!いったいどんな理由だってんだよ!」
マオの怒りの声にラインハルトは目を瞑りゆっくり目を開けると
「ルビィから他のプレイヤー達の前では無様な姿を晒すのは私を慕い憧れ信じてきた人達への侮辱にほかならないと言われたばかりなんだ。
君達みたいに私を知っている者達の前なら別に無様を晒そうが問題はない。
しかし此処には居ない私を知らない君達ギルドメンバーや他の一般プレイヤー達の前では私は無様を晒すわけにはいかないんだ」
「「「「「「……………」」」」」」
ラインハルトの言葉に皆が沈黙した。
しかし別にラインハルトの真剣な表情に言葉に感動し心をうたれたからではない
「まぁ、ルビィさんが言うなら仕方ねぇよな」
「そうねルビィさんが言うなら仕方ないわね、クオン」
「そうねシオン。
ルビィさんが言うなら仕方ないわね」
「ルビィさんが言うならいい」
「あー、そうだなルビィさんが言うならしょうがないな」
ルビィが言ったと言う事に対し反応したのだ。
しかしジェネティクノーツの栄光ある五大ギルドの代表たるギルド長にしてこのルビィへの信頼度。
それに加え全員がルビィに対し呼び捨てではなくさん付け。
ギルド長だけではなく各副ギルド長もルビィなら仕方ないと納得した表情をしている。
ルビィまったくもって不思議と言うか謎の多い女性である。
ジュウベエはそうなるとラインハルトへの罰はどうするかと悩みながら
「じゃあどうすっかな」
他の面々に問うと全員が下手な罰はできないと悩み出した。
暫くして何か思い付いたのかリリアが手を上げた。
「おっ、何かいいのあったか」
「今度の夏のイベントクエストラインハルトは不参加で」
手を上げたリリアにジュウベエが聞くとリリアは頷き提案を告げた。
「待ってくれ!」
リリアの言葉に対しラインハルトは先程よりも激しく反応し椅子を蹴飛ばさんぐらいの勢いで立ち上がった。
ラインハルトが制止を掛けるなか他の五大ギルド長達はリリアの提案にナイスアイデアと賛同した。
「いいなそれ」
「そうね」
「そうね」
「そうだな」
「それだけは勘弁してくれないか!この夏のイベントクエスト、いったい私がどれだけ楽しみにしていたか」
このままじゃあ不味いと激しく抵抗するラインハルトであったが
「じゃあ、決定だな」
無情にも罰の内容が決定された。
流石のラインハルトも決定されてしまった以上此れには先程の様に覆す言葉はないと悟り燃え尽きたように椅子に崩れ落ちた。
周りが良い案だったっ喜ぶなかアンだけが
(おいたわしはラインハルト様!)
涙混じりにラインハルトにお悔やみを申していた。




