リネイシアの花園
やぁ、こんにちは語り手だ
姿を変貌させただけではなく属性付与迄使い始めるルドラバーストに絶望の淵に立たされたアラヤとユエであったが二人は終わらずルドラバーストとを二人で倒し勝利すると云う決意、覚悟を改めルドラバーストに挑んでいく対し只の数列のシステムでしかないルドラバーストもアラヤとユエに応える様にまるで意志があるかの様に迎え撃つ。
アラヤとユエはお互いがお互いを信じ連携を持ち徐々にルドラバーストを追い詰めるも決め手に欠けるアラヤとユエだったが
アラヤは自分の誓い決意を変えてまで神威開放を使い後一歩まで追い詰めるが制限時間を迎え危機に陥るアラヤをユエが救い遂にルドラバーストを倒すことができた。
まさにアラヤとユエ二人の絆が感じさせられる称賛に値する激闘だった。
ああ。なんと素晴らしい事だこのままアラヤとユエには喜ばしい未来が訪れて欲しいと私も想うよ…だが忘れてはいけない絶望から希望に行動、意志一つで簡単に変わるように希望から絶望にもまた行動、意志一つで簡単に変わってしまうと云うことを。
ユエは暫くの間嬉しそうに顔を緩めながらアラヤに抱きついていたが時間が経つにつれて落ち着いていき自分が何をしているか自覚すると顔を真っ赤にさせ素早くアラヤから離れるとアラヤに背を向けしゃがみ両手を顔にやり唸っていた。
(気を針積めていただけに勝利の余韻もでかく仕方ないと思うが)
ゲームとは云え感情に浮き沈みはある為ユエの様に興奮してアドレナリン全快でも仕方ないだろう。
「うにゃ~、うにゃ~」
猫の様に唸るユエにアラヤはどうしたものかと困っていたが暫くし落ち着いたのかユエは立ち上がるとアラヤの方に振り向いた。
振り向いたユエはさっきまでの事がなかったようにキラキラした笑顔をしていたがまだ頬にはほんのりと赤さが残っていた。
「さぁ!アラヤ君先に進もうか!」
「……………」
ユエは弾んだ声でアラヤに言うががアラヤはユエのまだ赤さが残って頬をなんとも言えない顔をして見ていると
「何か言いたいことでもあるのかな!アラヤ君は?」
途端にキラキラした笑顔をしているユエが目だけ据わりりさっきよりも若干低い弾んだ声で
「うん?うん?」
アラヤに問い質すように聞いてきた。
「……いや別に何もないが」
「そう。それならいいんだよアラヤ君!じゃあ先に行こうか!」
「…あ、ああ」
アラヤはこの時内心言い知れない恐怖を感じたとか感じなかったとか。
アラヤとユエはリネイシア城の外に出ると城の裏手にぐるりと回り城の閉ざされた裏門に着き閉ざされた裏門に近付くと裏門がひとりでに開いた。
この先はルドラを倒したものしか足を踏み入れられないのだ。
開けた裏門の先には真っ直ぐ続く開けた道があるのでアラヤとユエは道をたどり真っ直ぐ歩いていった。
道を歩きながらユエは手を腰の後ろで組ながら確信していたと云う表情でアラヤに先程見せた神威開放の事を聞いてきた。
「やっぱりアラヤ君も神威開放を使用していたんだね」
「ああ。俺がアキレウスの神威開放の所持者だ…失望したか?」
「何で?」
「何でって…ギリギリ迄使わなかったうえに所持していることすら話さなかったんだぞ、普通失望したり怒ってもしょうがない事だろ」
アラヤは自分の思いをユエに伝えるとユエは目線を俺から前に戻し口に人差し指を当てながら
「うーん、確かに普通は何で黙ってんだーって怒る場面なんだろうけど、結局アラヤ君は使用してくれたし、そのお陰で勝つこともできたでしょ結果良ければすべて良し別に気にすることはないかなぁって。それに私も神威開放保持者として疑われて周りの人達から色々あったし、まぁ保持者なんだけど。だから私はアラヤ君の気持ちが分からないでもないかなぁって。
まぁ、私が抱いているものとアラヤ君が抱いているものは違うものかもしれないけどね」
一ミリも怒りも恨みも感じさせない何でもないと気にした様子もなくユエはアラヤに告げる。
「だけどユエ、俺のせいで下手すれば俺達全滅していたかもしれないんだぞ」
「そうかもしれないね、でもアラヤ君私達はルドラに勝って結果こうして一緒に歩いている、ならそれでいいじゃないかなぁ」
「………」
アラヤはユエの言葉に目を見開き言葉を失っているとユエはアラヤの先をタタタと軽快に進むと両手を広げクルリと回り俺に振り向くと立ち止まり
「アラヤ君。
誰にだってどうしても言えないことはあるんだよ。
その理由は人それぞれで他人にとっては下らない、取るに足らない理由であろうと自分にとっては大切で尊いものであったり辛くてどうしようもなかったりするんだよ。
だから私はアラヤ君がギリギリ迄使わなかったのは見栄や虚栄心、自惚れ、自尊心からじゃなくてアラヤ君なりの抱えてる想いがあったからだと思うの。
だって」
ユエは両手を俺の方に差し向け淡く微笑みながら
「私が知っているアラヤ君はそういう優しい人だから」
「…女神さま」
思わず声が口から溢れるほど淡く微笑みながらアラヤに手を差し向けるユエの姿はまるで本物の女神、聖母の様に綺麗で尊く春の陽の光の様に暖かく感じた。
アラヤは歩きながらユエにアキレウス神威開放について説明した。
最初は神威開放という切り札に教えてもらうのはと渋るユエだったが
アラヤが呆れた表情でユエの月輪彩華神威開放を教えてもらったのだからこれでお相子だと言うとそれならと渋々納得した。
(ってか自分は関係なしに教えといて)と思ったアラヤだったがそれを言うと怖そうなので言わなかった。
永劫無双神威開放
自己強化型の神威開放である。
「システム起動勇名轟く不屈の勇姿、祖は不死の加護を受けし駿足の躯」
「永劫無双神威開放」
で起動する神威開放である。
最初の「システム起動不死の加護を受けし駿足の躯」で体を光が包むと同時に目の前に円を作るように六つのそれぞれ片手剣、双剣、槍、弓、鎚、篭手、描かれた丸いステンドグラスみたいな紋章が表れる。
その中の一つを選び触れると包んだ光が緑の風に変化しまるで鎧のように纒い装備している武器が消え変わりに触れた紋章の武装「イーリアス」が装備される。
つまり状況に応じ片手剣、双剣、槍、弓、鎚、篭手を選べると言うわけだ。
そして「永劫無双神威開放」の宣言と同時にAGI が極限まで強化されまさに高速の速さを手にすることができる。
まさに駿足の英雄然とした力だ
だが永劫無双神威開放は他の自己強化型の神威開放と一緒で強力な強化の分10秒しか持続しない。
なので使用と同時にプレイヤーの前にカウントダウンが表示される。
アラヤが自分が用いる永劫無双神威開放について全て説明するとユエは成る程と頷き
「六つの武器から状況に応じて使えるのを選べるのは便利だね」
凄いなと言った風に感心するが
「だけどいくらPAS【プレイヤーアシストシステム】やFシステムがあろうとある程度日頃から使用してないと実際選んだとしてもうまく使えずに無駄に時間ばかり過ぎて終わってしまったりすると思うんだ」
(まぁ、さっきの戦いを除くと今まで一回しか使ってないから正確には分からないが普段片手剣しか使わない俺が鎚、弓なんか選んでもそうなると思う、双剣や槍、篭手にいたっては何とかなるかもしれないが)
実際に決意を変え使用したもののまだ永劫無双神威開放を克復したのかと言われればまだ迷いのあるアラヤであるが隣を歩くユエをチラリと見て
(…前よりかはましになったかな。
ふぅ、我ながら現金なものだと思うが…俺も乗り越えなければなぁ)
アラヤはユエの強く真っ直ぐな在り方の様に自分も少しずつでも強くなっていこうと思っていた。
アラヤがそう新たに決意するなかユエは何かを考えるように右手を顎に当てていた。
「どうしたユエ?」
アラヤが不思議に思い訪ねると
「うーん、大したことじゃないしね、私が知っているとかじゃなくて私がそう感じているだけなのかもしれないんだけどね」
「?ああ」
「なんだか私にはアラヤ君の神威開放は不完全というか、そう。もっと先があるんじゃないかと思って」
(先がある?…)
「どういうことだ?」
ユエは顎に当てていた右手を放し人差し指以外握り指を宙に指しながら
「ほら、私のもそうなんだけど私が見たことある他の人達の神威開放って使う時紋章が出るじゃない」
「ああ」
「その時の描かれているのはみんな違うんだけど必ず神様や英雄の姿があるでしょ、まぁ《双竜姫》は竜で違うんだけど」
ユエの言いたいことが何となく分かった。
ユエの言う通り確かにアラヤ以外の神威開放は描かれている者は違えど神、英雄、竜が描かれている。
それに比べアラヤ神威開放は紋章は六つあれどどれも武器しか描かれていない。
「だからそうなんじゃないかなと思って」
と言ったユエはアラヤの方を見るとアラヤがユエが言ったことに深刻そうな顔をしているのに気づくと慌てて両手の手のひらを俺に向けをブンブンと横に振りながら
「あっ!、でもそうゆう使用かもしれないから別に気にしなくて大丈夫だよ!」
フォローを入れてきた。
「別に気にしなくても大丈夫だ。別に今のままで不都合なこともないし」
アラヤは慌てるユエの様子が可笑しく思え苦笑しながら答えると
「アラヤ君がいいならいいけど、それに私の思い過ごしかもしれないし」
と言うとまた前を向いた。
(その先か…)
ユエに大丈夫と伝えたアラヤだったが内心では何故か心の片隅でユエの言ったことがしこりの様に残っていた。
まるでそれはアラヤにとって重大な事で忘れてはいけないと言ってるみたいであった。
アラヤとユエはその後この先に一体何が待ち構えているのかと話をした。
この先の情報はラインハルトからクリアした者だけと言うことで秘匿されているんでユエは「何があるのかな~」とまるで宝探しをする子供の様にウキウキしている。
(まるで小さい子供みたいだな)
そうユエに思うアラヤも顔は澄ました顔をしているが内心では少し楽しみであった。
そんなたわいもない話していたアラヤとユエは左右に石壁が張っていて正面にリネイシアの花弁がえがかれた鉄の門にたどり着いた。
鉄の門にアラヤとユエは頷き示し合わせて同時に二人で触ると門が解き放たれた。
アラヤとユエは門の内側の情景を見て目を見張り驚愕した。
門の内側に何もなかったわけでも、期待外れでもなくあまりの神秘的な美しさに目を奪われたのだ。
門の内側にあったのは一面中見渡す限りリネイシアの花が咲き誇る美しきまさにエデンの様な花園であった。
「きれい…」
なんの比喩もなく心の内から溢れたみたいにユエが呟いた。
アラヤもユエに同感だであった。
現実の世界でも言わずもなが今までアラヤが探索した【ジェネティクノーツ】内でも綺麗だと思う景色はあっただがこれはそのどれよりも遥かに群を抜く程綺麗で儚く、見た目の美しさだけではなくなんと言うか、そうこの空間自体が同じゲームの中とは思えないほど独特の雰囲気がありまさに別世界の様に感じられる程であった。
(なるほどだからか…)
アラヤはラインハルトが何故悪獣ルドラを倒した先を語らなかったのか理解した。
(確かにこれはクリアして始めて知るべきものだ)
聞いて知るのと、見て知るのとじゃ感動の度合いも違うと云うものだ。
アラヤとユエは門から続くまるでそこだけ人の手が入った様にリネイシアの花が咲いていない道を真っ直ぐに辺りを見回しながら歩くとこの花園の中心部にたどり着いた。
そこには道と同じようにリネイシアの花がない円形状に開けた場所で中央にポツンと一つの墓石があった。
その墓石には名前と文字が彫ってある。
【リネイシア】
我が愛する永遠の花
(城の奥に墓石…成る程だからこのクエストの名が【墓守の王】なのか)
それは古い歴史
昔ある世界に一つの大きな大陸があった。
その大きな大陸は七つのそれぞれ違う自然が成り立っていた。
七つのの内六つの大陸には国があり文明が栄えていた。
国がない大陸は魔物により荒れ果てていたそんな中一人の若者が台頭し大陸に平和をもたらした。
その若者は大陸の安寧のため愛する人と共に国を作り王になった。
しかし今まで六つの国でやっていた者達はそれを許さなかった。
六つの国から侵略を受けた若き王は奮闘するも敗れ命は助かったものの国も民も家族も愛する妻でさえ奪われた。
荒れ果てた城よりさらに奥、愛する人が好きだった花園に愛する人の亡骸を埋めた王は嘆き苦しんだ。
何故自分達がこんな目に遭わなければならないと。
体が魂を魂が体を作るように暗く悲しみ、怒りに沈んでゆく王の魂は次第に体を変化させた。
幾度の人が城に残された財宝を手に入れようと向かったが戻って来たものは誰一人いない。
その内その城は、呪われた城と言われるようになった。
だがある時呪われた城に向かった一人の人間が戻って来た。
その者は言った。
あそこには化け物がいるその姿はまるで獣…いや、獣でもないなにかだったと。
それとこうも言った。
まるでその獣みたいな奴は何かを護るように佇んでいたと。
昔その地で何があったか知るものは感ずいた。
その化け物が何かと何を護っているか。
人々は涙した心を失くし姿を化け物に変えてまでずっと護り続ける一途さに。
故に人々はその地であった悲劇を忘れぬ様に戒めとしてその化け物に敢えて悪の文字を入れ王の名を付けた。
【墓守の王】悪獣ルドラ
これは遠い遠い昔の話し、でもこの遥か先である男が挑む挑戦に纏わる偽りの話。