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ルドラ


やぁやぁこんにちは語り手だ

ハッハハ。テンションが高いって?そりゃあそうさ、いよいよグランドクエスト最後のクエスト【墓守の王】悪獣【ルドラ】との戦いが始まったんだから。

グランドクエスト最後のクエスト決戦場たるリネイシア城にたどり着いたアラヤとユエ。戦いの前に不安に駆られるアラヤに言葉を掛けるユエ

決意を胸に進むアラヤとユエを待つのはラスボスに相応しい威圧と強靭さを備えるモンスター【ルドラ】

さてアラヤとユエは【ルドラ】に勝てるのか


口を大きく開け牙を剥き出しに咆哮するルドラにユエが背中に背負う矢筒から矢を取り弓につがえると玉座の間中央天井に吊るされているシャンデリアに狙いを定めた。

「エンチャント(イグニース)

ユエはシャンデリアに標準を定めたまま矢にエンチャントをかけると赤く染った矢を限界迄引くと引いた体制のまま動きを止め溜め始めた。

咆哮を終えたルドラは此方に向けゆっくりと床を踏み締め歩きだした。

ルドラが歩く度地面や大気は振動で震えるがルドラは威にも介さず歩くその姿はまさに強者そのものだ。


ゆっくりと此方に歩を進めていたルドラがシャンデリアの真下に差し掛かろうとしたその瞬間

「ハッア!」

ユエが天井とシャンデリアをつなぐ鎖の中間をSTR()を上げた赤い矢で射貫き破壊すると支えを失ったシャンデリアは真下に来たルドラ目掛け墜落した。

これが当たればルドラに先制ダメージを与えられる。


破壊可能オブジェクト

フィールドには破壊可能オブジェクトと破壊不可オブジェクトの二種類があり破壊不可オブジェクトは言葉通りなにをしようと欠損すらしない、しかしこのシャンデリアみたいな破壊可能オブジェクト他には瓦礫、木、岩、壁、氷塊などがあるが壊すことができる破壊可能オブジェクトはうまく利用し敵に当てることが出来ればダメージを与えることができる。

だが敵にダメージが与えられるということは逆に言えば自分にもダメージがくると云うことだ。

つまり使い方次第でプラスにもマイナスにもなる。


ルドラ目掛け天井のシャンデリアが落ちていく通常のモンスターならばシャンデリアの落下に気付き慌てふためくか必死に避けようとパニックになり冷静な行動をとれなくなる。

だがそれはモンスターだけに限ったことではなくプレイヤーだってそうだ突然トラック1台分ある質量を持った物が上空から降ってきてまともな行動をとれる訳がない。

しかしこのモンスタールドラは違う。


ルドラは自分に落ちてくるシャンデリアを認識しながらも慌てることも避けることもせず顔を上に向けると右手を上にあげ右手首についた大型のシリンダーをシャンデリアに向けた。

ガコン!、ズドーン!!

シリンダーのひとつから銃弾のように巨大で先が鋭く尖った(パイル)が発射され落下しているシャンデリアを粉砕しそのまま衰えることのない勢いのまま天井までも粉砕し大穴を空けると上空に飛んでいった。

辺りにはシャンデリアと天井の原型を留めていない程粉砕された無数の破片が降り注ぎ隕石が衝突したぐらいの衝撃と轟音が響いていた。

(パイル)を発射し終えたシリンダーは|リボルバーのように右にぐるりと回転した。


「アラヤ君」

「ああ、とりあえず一つ後五つだ」

アキラとユエはその様子を慌てることなく冷静に見ておりルドラが(パイル)でシャンデリアを粉砕した瞬間行動を起こした。


アラヤは「エンチャント(アニマ)

右手に持つ黒の片手剣にエンチャンとしAGI(素早さ)を上昇させるとルドラに向かって駆け出した。

アラヤが行動を起こすと同時にユエは矢を一本弓につがえる(リヒト)のエンチャントを付与すると矢を引き溜め始めた。


(想定通りだな)

アキラは駆け出しながら内心目的がうまくいったことにほくそ笑んだ。

シャンデリアに関してはあわよくばダメージが通ればいいと思っており通らなければ通らなくても問題はないと思っていた。

アラヤ達は最初からシャンデリアでルドラにダメージを与えることが目的ではなく(パイル)を消費させる事が狙いだったからだ。


ルドラに挑戦したプレイヤーからの情報によると(パイル)はシリンダーの穴の数だけ有るとの事だ。

つまり全部で六発はある。

その数は相対するプレイヤーが一人だろうと二人だろうとそれ以上だろうと弾数は変わらない。

では(パイル)自体の威力はどうかと言われれば先程のシャンデリアだけではなく天井を粉砕した様を見れば分かる様に凄まじく高い。

それこそレベルが高いトッププレイヤーだろうとまともにくらえばHPは一撃でレッドゾーン下手したらゼロになるぐらいだ。

仮に防御してもHPの2/3には容易く削らされるうえギリギリ躱せたとしても少しでもかすればHPの1/3は削らされる。

ただこの威力に関してはラインハルトがもたらした情報である。

つまりパーティーを組んだ時のものではなくソロで受けた場合と云うことだ。

つまりソロの場合でそれだけダメージを受けるなら二人以上なら当然ルドラのステイタスにも補正がかかり威力も増す。

なので防御するならそれこそジャストガードで防がなければならず通常の防御だけなら下手したらHPは一桁、悪ければゼロであり躱すにしてもソロでHPの1/3まで削られるなら二人で挑んでいるアラヤとユエの場合はHPの2/3は削られる恐れがある。

つまりルドラ攻略の鍵はいかに早く即死レベルの威力を持つシリンダーの中にある六発の(パイル)を使わせるかだ。

それも被弾せずにだ。

今までのルドラに挑んだラインハルト以外のプレイヤーは全てこの(パイル)によってやられている。

しかし(パイル)を全部消費させてもルドラには左手に持っている巨大な斧剣があるじゃないかと思われるだろう。

確かにそもそも基本ステータスが通常のボス級モンスターより高いルドラによる斧剣の攻撃は厄介である。

だがそれでも一撃で終わる(パイル)に比べれば断然低く直撃してもレッドゾーン迄は削られるものもHPがゼロに成ることはない。

結果として威力的にも(パイル)の方が厄介である。

それに(パイル)には弾数が限られており全部使わせたら二度と(パイル)の攻撃くることはない。


ルドラに向かい駆け出したアラヤに対し自分に向かってくる敵の存在を感じ顔を下げアラヤの方に向けたルドラは上に掲げた右手を下へ降ろすと左手に持つ斧剣を振りかぶりアラヤが斧剣の射程に入るのを見計らうとアラヤが射程に足を踏み入れる寸前に振り落とした。

勢いよく降ろされる斧剣に対しアラヤは突(アニマ)のエンチャントのままルドラの斧剣の射程の一歩手前で後方にバックステップをすると床を蹴りロデオの様に自分の眼前に振り落とされた斧剣に飛び乗り(アニマ)から

「エンチャント(イグニース)

に切り替えると赤く染まった剣を携えそのまま走りルドラの肘まで駆け上がるとルドラの腕を蹴り()()()()()()()()()()()()()

当然空中で無防備なアラヤに好機とばかりに右腕をくの字に曲げるとアラヤ目掛け(パイル)を発射させた。

ガコン!

アラヤの側面から放たれ迫る(パイル)このままではアラヤの直撃は免れない。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「ハァァ!」

ルドラが(パイル)を発射させたと同時にユエが後方より今まで溜めていた矢をアラヤ目掛け射った。

光の矢は閃光の勢いで走りアラヤの背中に直撃するとアラヤを前に吹き飛ばした。

その瞬間アラヤ目掛けて発射された(パイル)は前に飛んだアラヤの後方を通り過ぎて側面の壁に激突し大穴を空けた。


「うおぉぉぉぉ!」

ユエの矢によって前に押し出されたアラヤはエンチャント(イグニース)で上げたSTR()のまま右手に持った赤い片手剣を振りかぶるとルドラの左肩から右下まで赤い片手剣で切り裂きルドラのHPを削った。


アラヤは床に着地すると一撃を当てたからと油断せずに直ぐに後方へとバックステップで下がった。

(これで(パイル)は二発目で残り四発。まだルドラのHPは緑ゲージなものの取り敢えずダメージは与えることができたうえに(パイル)も消費させることができた。

ふぅ。取り敢えずは作戦通りにいっているが問題はこっからだな)


そう今までのはリネイシア城に向かう前マロン村にてルドラ対策としてユエと話し合い決めた作戦である。

(それにしても…)

後方にいるユエの方をチラリと見ると作戦道理だと喜ぶことはせず油断のない真剣な顔でルドラの挙動を見逃さないとルドラを見ていた。


リネイシア城に向かう前マロン村の外れの空き地にて

「ユエ。ルドラのパイルを消費させるための訓練として俺の背中に矢を射ってほしい」

「えっ?え~とよく分からなかったけどアラヤ君今なんて言ったの?」

信じられないものを聞いたユエは理解できずアラヤに聞き返してきた。

「シャンデリアの事が終わった後俺は(アニマ)を付与し素早さをあげルドラに突っ込む」

「うん」

そこで俺が自分の射程距離に入るのを見計らったルドラが斧剣で攻撃を仕掛けたら一歩手前でバックステップをしルドラの斧剣を後ろに避けたらジャンプし斧剣に乗ってそのままルドラの腕を駆け上がり肘の辺りで上に飛ぶ」

「うんうん」

「高確率でルドラは空中で無防備な俺に対し(パイル)を発射させてくるだろう」

「うんうん」

「そこをユエが溜めた矢で(パイル)が発射された同時、つまり俺に当たる前に俺の背中に当て前に飛ばして欲しいんだ」

「う~ん。アラヤ君の言いたいことは分かるんだけだ…」

ユエは頭が痛そうに額に右手を宛て首を傾げ唸っている。

言っていることは分かるが正直あまりの内容にどう答えたらいいのか悩んでいるみたいである。

「大丈夫だユエ。パーティーを組んでいる以上お互いの攻撃ではダメージは受けない、受けるとしても攻撃時に発生する衝撃ぐらいだ。

だからこそそこを利用しない手はない」

「う~ん。そんなにうまくいくかなぁ?

だいたいアラヤ君の想定通り云ったとして第一に私がアラヤ君の背中に(パイル)よりも早く矢を当てることができるか……」

「今までのプレイヤー達から公開された情報を考えれば高確率でそうなると思う。

それに公開されたルドラの情報から(パイル)を二回続けて発射したとは聞かないしもし違って(パイル)で攻撃したとしても(パイル)を消費させることができる。

それにもし失敗して俺のHPが0になり死んだとしてもユエ君ならルドラの攻撃を避けながら俺を蘇生させることができるしなによりユなら絶対に当てることができると信じている。

だからユエ、俺を信じてくれないか」

ユエの目を真っ直ぐに見詰めて言うとユエも真剣な顔でアラヤを見た。

「…………」

「…………」

お互いが見合った状態ななかユエは深く溜め息を吐き

「ハァァ、わかった私もアラヤ君の事信じるよ」

「ありがとうユエ」

アラヤが微笑みながら頷くとユエはアラヤに近づき左手を自分の腰に当て右手の人差し指を俺の顔に向け指した。

俺が思わずのけ反ると

「だけどアラヤ君!死んでもいいなんて二度と思わないこと!分かった!」

語気を少し強くして言った。

アラヤはユエの怒った表情にゲームだから…とは言えなかった。

「分かった二度と言わないよ」

俺は真剣な顔で答えたら

「よし!それならいいよ」

ユエは笑顔で頷き

「じゃあ訓練ね」

「ああ訓練…訓練?」

「うん、私が飛んだアラヤ君の背中に矢を素早く当てて前に飛ばす訓練。

アラヤ君が私を信じてくれるのは嬉しいけどいくらなんでもぶっつけ本番でやるにはリスクが高いでしょ。

だから特訓して感覚を掴んでいた方がイメージも付きやすいしFシステムを活かせることが出来るでしょ」

確かにユエの言ってる事は正しい。

ぶっつけ本番でやるよりも少しでも経験してイメージを鮮明にした方が成功率も上がる。

「分かった。やろう」

こうして飛ぶアラヤの背中に矢を当てる訓練が始まった。


訓練といってもアラヤから50メートル離れた後方にいるユエがアラヤが上に思いっきりジャンプするのに合わせて空中のアラヤの背中に石を思いっきり投げるものだ。


端から見たらイジメの現場みたいである。

何度かやり回数を重ねる毎により早く正確になりタイミングも合うようになっていったがユエが考えた特訓内容に

(しかし特訓内容ざ俺の背中に石をぶつけるって、確かに矢は消耗品の為戦闘以外で消費したくないのは分かるが…前から思っていたがユエはほのかに猟奇的というかちょっとおかしい部分が…)

アラヤはジャンプしながら考えていたら背後から鋭い閃光がはしりアラヤの背中に直撃するとアラヤを前に吹っ飛ばした。

「ぐへぇ!」

アラヤは急なことで受身もなにも取ることができず顔面から地面に激突した。

「いきなりなに……なんでもないです」

アラヤはあまりの事に抗議しようとユエの方に振り向いたらそこにはユエが凄い笑顔で右手に持った石を上に投げキャッチするを繰り返していた。

どうやら失礼なことを考えているのがばれたみたいだ。

(……女の勘って恐ろしいな。)


俺が元の場所に戻ると背後のユエから

「アラヤ君本番では(パイル)より早く当てるため(リヒト)を矢にエンチャントして溜めて射つから投げる石にもそうするから」

「え?……あっはい」

アラヤは背を向けて顔は見えないが先程の凄い笑顔のままユエが言っていた。


そうして暫くの間(リヒト)をエンチャントした石での訓練が始まった。

訓練のお陰でだいたいの形はできたものの

形になるまで何度も地面に顔面を激突するはめにはなったアラヤだった。



コンビネーションでルドラに一撃を与えたアラヤとユエだがこの先の作戦はなく力と力、技と技一瞬の迷いも許されない戦いが始まろうとしていた。

アラヤは背後のユエをチラリと見たらユエもアラヤの視線に気付き目を合わせると頷いた。

(大丈夫だ。俺は一人じゃないユエがいる)

そう考えるだけで心が勇気が湧いてくるアラヤだった。


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