神威開放《アルティマ》
やぁ、こんにちは語り手だ
アラヤとユエはポーン、ルーク、ナイト、ビショップ次々とエイプルギスを倒した。
そして始まるキング、クイーンエイプとの戦い。
戦闘は激しさをましていくもののアラヤもユエもお互いのこれまでの経験をいかし戦う。
最後はユエの強力なアルテミス神威開放により勝利を納めた。
しかし神威開放とはそもそもなんなのかそれにユエのあの動き、気になること尽くしだね。
さてさて今回はどんな話しになるのやら。
神威開放
これもジェネティクノーツの人気の理由の一つである。
詳しい詳細はほとんど分かっていない。
一番初めに獲得したプレイヤーが発見され他のプレイヤーに周知されてから他のプレイヤーから保持者や運営に問い合わせが数多くあったが保持者自身も気付いたらありいつ発現したのかは分からないとのことだ。
運営からは問い合わせでジェネティクノーツ内の特別なスキルであり発現条件は50レベル以上で誰もが発現する可能性はあるので希望を持ちゲームを楽しんで欲しいとのことだけだった。
勿論一般プレイヤーならともかくゲーマーと呼ばれるぐらいのゲーム好きのプレイヤーがこれで納得するかと言われれば…納得するわけがない。
発現条件を明確にしろ、優遇があるんじゃないかそういった批判的な声が多くでるが運営は一貫して全プレイヤーに発現する可能性はあると答えをいい続けるばかりだった。
そうなると向かう矛先は勿論発現したプレイヤー本人になる。
それはそうだ。
他のプレイヤーからしたらなんだかんだ言いつつ神威開放を独占するために隠しているんじゃないかそう思い疑うプレイヤーが多い。
だが発現したプレイヤーも頑として本当に気付いたらあっただけだといい続けた。
中にはそれでは納得できず度が過ぎた行いをするプレイヤーもいたが流石に自由度をアピールしている運営もこれには対象せざる追えなかった。
度が過ぎたプレイヤーには厳重注意或いはアカウント停止の処分にした。
だがそれでも神威開放への騒動は収まらなかった。
しかし長く続くと誰もが思った騒動はある一人のプレイヤーによって沈静化した。
そのプレイヤーこそオリュンポスギルド長ラインハルトである。
ラインハルトはプレイヤー達の前で自分も保持者だと明言し頭を下げ自分も気付いたらあり詳しいことは分からないと言った。
大手ギルドで最強であり人格者であるラインハルトが公衆の前で頭を下げ言ったのだからこれには皆黙るしかなかった。
今現在神威開放で分かっているのは以下の通りだ。
・50レベル以上で発現すること
・発現条件はレベル以外詳しいことは分からないこと
・神話、伝説、伝記など登場する神、英雄の名を関すること
・同じ名はないこと
・一回使用したら12時間のリキャストタイムがいること
・能力は様々だということ
・現在確認できてるのは
【オリュンポス】ラインハルトのゼウス
【オリュンポス】シドのアポロン
【オリュンポス】アンのヘラ
【ブリテン】シオンの白い竜
【ブリテン】クオンの赤い竜
【武蔵】ジュウベエのスサノオ
【武蔵】ハルアキの晴明
【桃源郷】マオの天帝
【桃源郷】サーシャの玄武
【アースガルズ】リリアのオーディン
【アースガルズ】ノワールのブリュンヒルデ
保持者不明のハデスとアキレウスとアルテミスだ。
そしてこれがユエがアルテミスと言われている原因だ。
ユエ本人は肯定も否定もしてないが弓使いでトッププレイヤーの物は少ないそんな中で女性でもあるユエを疑わないものはまずいない。
実際性別が関係してるかは分からないが女性の神だから女性だろうとゆう考えなのだろう。
それだったらリリアのオーディンやそもそも竜なシオン、クオンはどうなんだと思うが目見麗しき女神の神威開放保持者は女性であってくれとゆう男性プレイヤーの願望なんだろう。
男の神や英雄は女性でもいいが逆は嫌だとゆうことだ。
人の深層心理はよく分からないものだ。
ではどうやって神威開放の名称と保持者が分かったと言うと現在神威開放保持者だと名前が分かっている人達が自分で神威開放保持者だと明言したからだ。
現在神威開放を誰かが発現させると各都市の中央広場にある空中に投影されたディスプレイに神威開放の神あるいわ英雄の名が記載される。
つまり何の神あるいは英雄が発現したのかまる分かりとゆうことだ。
これは運営が五大ギルド長達が自分が保持者だと明言したことから正確な発現条件を発表しない変わり何の神威開放が発現したのか分かるようにとゆう細やかな気遣いだ。
神威開放はそれ一回で戦局を変えてしまうほど強力なものである。
それ故にユエに対し神威開放保持者の可能性がある以上自分のギルド或いはパーティーに欲しいとしつこく勧誘しようとするものが多い。
それは有名な五大ギルドが中心に……ではなく逆にネームバリューが低い中少ギルドが多い。
神威開放保持者がギルドに一人居るか居ないかだけでもギルドのネームバリューは段違いであるからであり謂わば神輿、象徴の役割だ。
保持者自体ハデス、アキレウス、アルテミス以外は五大ギルド長か所属の物だ。
つまりほぼ五大ギルドの独占状態である。
神威開放の効果はその名称により似たようなものはあれどまったく同じはなく千差万別である。
神威開放はユエのような広域殲滅型。
個人に対する殲滅型。
自分強化型。
パーティー強化型。
相手に及ぼすデバフ型など様々だ。
故に保持者に関してはプレイヤーネームよりも保持する神威開放の名で呼ばれることが多い。
本人達も名誉だと思っているのかそれとも単に気にしていないのか訂正したりしない。
取り敢えずだいたい神威開放で分かってるのはこれぐらいである。
俺とユエはキングとクイーンエイプを倒しエイプルギスを全滅させると神殿の最上段の壇上で意識を失っている栗毛の髪の女の子ミミを起こした。
起きたミミは最初は状況が分からず困惑していたが自分の状況を徐々に思い出して恐怖が甦り泣きわめいていたがユエが抱きしめもう大丈夫だよと優しくあやすと徐々に安心していき泣き止んだ。
俺とミミを背負ったユエは神殿の遺跡を後にしマロンの村に向けて歩き出した。
ちなみに最初俺がミミを背負っていこうかしたがミミから何故か怖がられユエの後ろに隠れ泣かれたのでユエが背負うことになった。
(いや確かに助けられたとはいえ寝ていて俺が助けたとこは見てない以上知らない男と自分を優しく慰めてくれた可憐な女性なら後者を選ぶのが常識だが……)
ゲームとはいえ現実でも実際にありえるリアルさに少しへこんだ俺だった。
ユエはそんな俺を見て口元に手をやり可笑しそうにクスクスと笑っている。
しかも自分の後ろに隠れたミミに対し優しい笑顔で
「あのお兄さんは顔は無表情で怖いかもしれないけど根はとっても優しい人だよ」
フォローのつもりで言っているが
(別に無表情で怖いは言わなくてもよくないか…)
ミミはユエのフォローを聞いたにも関わらずユエの後ろに隠れたままユエの服を掴みジーと胡散臭そうに半目で俺を睨んでいた。
(……アバターだとはいえ俺の顔ってそんなに怖いのか)
そんなに意識して造形したわけではないが自分で造形したアバターだけに少しだが自尊心が傷ついた。
俺はユエとユエに背負われているミミは村に向かって足を進めているなかミミを背負っているユエの姿を見てある想いが生まれ何とも形容しがたい表情になった。
(このクエストをラインハルトがクリアしたということは……)
俺が歩きながら複雑な表情をしたのに気づいたユエは俺の表情が気になり
「どうかしたアラヤ君?」
「いや。
別にたいしたことじゃあないんだけど。
ほら、このクエストラインハルトもクリアしたんだろ」
「そうだね。私達と違ってラインハルトさんは一人でクリアしたみたいだけど…何か気になることでもあったの?」
「…あのラインハルトがクエストの一部とはいえ泣いてるこの娘を慰めて、村まで背負って行ったのかと思って」
「あ~たしかに言われてみれば気になるね」
ユエもその姿を想像したのか複雑そうな顔をした。
(優しく慰めて子供を背負う姿はあまり想像がつかないというか、これが大人の女性なら想像はできるが)
たしかに紳士的で誠実そうなあの男ならゲームとは言え子供にも紳士的に接するとは思うんだが、気品ある風格も漂う男なのでなんか不安を抱く子供を慰めると言うよりは不安を抱く美しい女性をエスコートする姿の方がしっくりくる。
何故かクエストを受けるだけで直接関係ないラインハルトの不思議がまた一つ増えた。
そういえばさっきからミミが静かだと思いユエの方を見たらユエの背中で安心しきった顔でぐっすり寝ていた。
「泣き疲れていたみたいだね」
ユエが俺の視線の先に気付きまるでミミの母親の様に優しく微笑みながら小声で言った。
しかし泣き疲れて寝るだなんてやはりこのゲームのリアルさと云うかクオリティーはすごいと感心していたら
「ねぇ、アラヤ君」
「?なんだ」
「さっきのキングエイプとの戦闘中何だけど最初はうまく攻撃を受け流してたのに途中突然吹き飛んだみたいだけど何かあったの?」
(……自分も戦っていたのに俺の方もちゃんと見てたのか、凄いな)
俺がユエの視野の広さに感心していると
「アラヤ君?」
ユエが何故か答えない俺に不思議そうに名前を呼ぶが
(正直羽のある妖精のように縦横無尽に動く君に目を奪われていたなんて恥ずかしくて言えないな)
俺は内容を全部は答えずぼかしながら
「…いやただ君の動きが凄かったから思わず驚いて動きを止めてしまいそこを攻撃されたんだ」
ぼかすあまり若干早口になり説明口調になったがとりあえず嘘は言ってない。
ユエも幸いなことに気にしていないみたいで
「そっか……あっ!そういえばマロンの村に着いたらどうやって同時に矢を射ったか教える話だったね」
俺もすっかりクエストに夢中でその事を忘れていた。
(しかし同時に矢を射つといい、さっきの戦闘の動きといいもしかして関係あるのか)
「…もしかしてだがさっきの動きながら矢を射ったのも同じ方法と云うか関係しているのか」
ユエは頷き
「弓使いの技量にもよるけど関係しているよ」
(やはりか…)
正直今ここで話を聞きたいがミミを届けるのが先だしクエスト情報によればまだ続きはあるので話を聞く機会はある。
とりあえずは一旦ミミを村まで連れていき落ち着いてから話を聞くことにした。
「とりあえずその話しはその娘を村に届けてからでいいか」
「そうだね。家族の方も今この時も心配してる筈だし早くこの子を家族のところに届けなくちゃね」
いくらリアルに近いとは言ってもゲームの中だしこの子もその家族もゲームデータの一部でしかない。
それでもゲームだと分かっていても俺にとってはジェネティクノーツも現実の一つだ。
以前ユエ自信はこれはゲームの世界で現実ではないと言っていた。
だが今のユエの顔はまるでこれも現実のように本気で心配し子供を優しく見守る母親のような顔をしている。
その時俺は何故か彼女がNPCやホログラムゴーストだという噂とルビィに言われたユエを守るようにとの言葉を思い出した。
(……彼女自信も重い何かを背負っているのだろうか)
そんなことを思っているなかマロン村に着いた。
マロン村に着くと同時にミミは起き村の入口で心配そうに待っていた母親と姉、村長に気付いた。
ユエがミミを降ろすと
「お姉ちゃんありがとう!」
ミミは礼を言い服のポケットから手のひらサイズのリネイシアの花弁の印がある青い水晶を取り出すと
「助けてくれたお礼にこれあげる!」
ユエに渡し
「まま~おねぇちゃん~」
家族の名を呼びながら元気に走って行った。
ミミは母親に泣きながら抱き締められ姉のミナからは心配したと叱られていた。
俺達は家族の再開を優しく見守りながらゆっくりとマロン村の方に歩いた。
「アラヤ君何とかここまできたね」
「ああ。
そして次がグランドクエスト最後のクエストだ」
そう次がこの高難度チェーンクエスト通称グランドクエストの最後にして最も難関、ラインハルト一人しかクリアできなかったクエスト【墓守の王】だ。