表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/51

ep27


「あは、見た?平井源助のあの顔?」


「……ここからか。」


「ん?どうしたの?そんな真面目な顔して」


「なぜ僕が()()()()に任せたのか。君にはわかるかい?」


()()()()()()()()()()()()()()()()()()他になにかある?」


「それもあるさ。だけど、メインは()()()()()()だ」


()()()()?」


「以前、吸血鬼を襲わせただろう?その時に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「そんなこともあったわねぇ」


「その後、奴から()()"()"を感じたんだ」


「嫌な"気"?」


「そう、あれはまるで──」



「柚井…? 梨佳…?」


問いかけるが返事はない。


「嘘…だ」


まただ。また救えなかった。誰も。誰もかも死なせてしまった。


「うあ、あ」


なぜ?そんなこと決まりきってる。僕が弱いから。弱いからだ。


「さぁて!ディーネ、後はメインディッシュだけだよ」


「わぁい!」


「うぅ………」


あぁ、力が!力が欲しい!皆を守れる力が!奴を倒す力が!何者にも負けぬ力が!



力 が !


《ならば、私に捧げなさい》


あぁ!何だって捧げてやる!身体でも!命でも!魂でも!


《あぁ、なんて甘美な言葉なのでしょう……。よろしい、されば授けましょう》


「兄さま、何か()()


急にディーネが顔を顰めだした。


「どうしたんだ? うっ……」


アポロも顔を歪める。


「これは……」


あぁ、力が、心地よい、な


「必ず、滅す。お前らは、極刑だ……」



「来た!」


「どういうことなのかしら」


「やはり読み通りだ!奴は、あの()()()()()()()()だ!」


「まさか…!」


「あぁ!少なくとも()()()()()()()に見初められている!」


()()()()()。まだい()()()()()といいたいの……?」


「考えたくはないがね!」


「かなりマズイ状況じゃないの?」


「だからこそ、あの二人に行かせたんだって言ったろ。たとえ、平井源助が神の加護を受けていたとしても、二人が負けることはない!」


「………」



「お前は、何なんだ?」


「あぁ」


アポロが源助に問いかけるが答えにもならない返答をする。


「兄さま!」


ディーネが叫ぶのが早いか、アポロの身体は両断されていた。


「あれ?」


「楽に逝けると思うなよ」


瞬の間もなく、源助の一撃が振り下ろされる。


空怨(サリエンタ)


アポロが手を払うと攻撃のダメージが源助へと反転する。


「ぐっ…!」


「それで僕らを殺れるとでも?」


砕霞(ハールラル)


ディーネが手をうち鳴らすと源助を中心に大爆発が起こった。


「花火か?」


しかし、源助はそれをたやすく振り払う。


「むぅ!」


壊界(イ二エグマ)


馬鹿にされたと憤慨したディーネは先ほど2人を肉塊にした技を放つ。


「喝ッッッ!」


だが、源助は気合いのみでそれを弾き飛ばした。


「ひゃあ!」


その余波でディーネは思わず声を上げる。


「こんな子ども騙しで、2人は、皆は死んだのか」


「そりゃあ僕らはまだ子どもだしね。その子ども騙しで死ぬ脆い君たち人間が悪い」


「お前らは人の命をなんだと思っているんだ?」


「そんなこと、聞くまでもないだろ?なぁ?ディーネ」


「うぅ……ぐすっ……」


「ディーネ?」


ディーネは顔をぐちゃぐちゃにしながら涙を流していた。


「ディーネ!……平井源助!お前、ディーネを泣かせたな!」


「なんだ、人並みに愛する気持ちはあるんだね」


源助はハハッと呆れるように笑う。


「ディーネを泣かせるなんて許さないぞ!ディーネ、《習合(エニキド)》だ」


「うん…!」


アポロとディーネが手を繋ぐと二人の身体が融けて合わさっていく。


「ならばなぜ、少しでも他人に()()を与えられないんだ」


神天身(みことがえり)・アリア》


源助の髪が伸び、色も透き通るような金へと。また、瞳は全てを照らす光となり、また悪しきを滅す炎ともなる。かのものが放つ光は救世への導きに他ならない……。


「さぁ、審判の刻は来たれり」


「「そっちも変身かい?かい?あの()の力で?で?」」


融合したエーテル兄妹の声はエコーがかかったように響く。


「次の世は、優しく仲のよい()の兄妹に生まれ変わりたまへ……」


手を合わせ祈るその姿はまるで我が子を想う慈母であった。


「我、汝らのその穢れたる魂を救わん」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ