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ep12

        ※

「と、いうことで今日はここまで。委員長、挨拶」


「起立、礼」


「さよーなら」


まばらな挨拶で帰りのSHRが終わる。


「さてと、帰るか」


「こたっちゃーんゲーセンかカラオケ行こー」


「んー、どっちかと言われればゲーセンかな」


「んじゃ駅前のやつ行こ」


「あそこはやだよ。古川のじいさんのとこ行こーぜ」


「えー、あそこレトロなやつしかないじゃん。潰れかけだし」


「それがいいんだよ。駅前のは混みすぎて酔うんだ」


「まー、こたっちゃんがそう言うならそっちでいいよ」


「それ、僕も着いていっていいかな?」


「あ?」


虎太郎と孝雄がグダグダと喋っていると、源助が会話に割り込んできた。


「どーする?こたっちゃん」


「あー、そうだな。平井は部活とかに入ってないのか」


「そうだね。助っ人とかはよくしてるけど特定のものには入ってないかな」


「そうか。それならきっと今日も平井を必要としている部活が─」


「今日はどこからも誘われてないね」


「あーそうなの。でもほら、いつもの女子たちとは─」


「今日は帰らないよ」


「なんで?」


「今日は君たちと帰るって言ったから」


「へー」


「…」


「…」


「…」


「…だめかな?」


「…だめです」

「なんで?」


 即答。怖。


あまりの食いつきに虎太郎は若干びびった。


「どうしてだめなんだい?」


「俺が目立つから」


「あっ…そういうことか。それなら悪いことしたね」


「多分、お前と俺の利害は一致しない」


「なら、僕も地味に…ってもう手遅れか」


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「最初から無理だった、というわけか」


「そういうことだ、諦めな。行くぞ孝雄」


「うむ」


そうして、虎太郎と孝雄は教室を去った。


「それなら、君には悪いけど()()()()()()()





        ※


(ターゲット発見。現在、本館入り口にて、、今、玄関を出た)


(了解。こちらも準備は整った。奴らの目的地にて合流だ)


(了解。追跡を開始する)


(くれぐれもバレないようにな)


(わかってる)


 うわー。セキュリティ甘過ぎだぁ。これじゃ盗聴しほうだいだよ。


孝雄は自分たちを追跡している者に気づき、それのものと思われる念話を傍受していた。


「ねぇ、こたっちゃん」


「あ?あぁ、あれか?別にこちらから仕掛ける必要もないだろ。変な言いがかりつけられるのも嫌だし」


 むしろあれで気づかれないと思ったのか。視線で気配駄々漏れだぞ。


虎太郎も気づいており、あまりの隠密の下手さに少々困惑していた。


「そうだね。正当防衛路線でいこう」


二人は追跡者の存在に気づいているのにも関わらず、それを放置してゲーセンまで向かった。


「馬鹿め。尾行されてるとも気づかずのこのこ歩いておるわ。しかぁし!数十分後には我ら藤原静枝親衛隊の恐ろしさを味わうこととなるだろう…」


──────

────────────

─────────────────


─ぐわぁー!ぐゎぁー…ぐゎぁー…  K.O! ─


「はい勝ちー。弱いねーこたっちゃん」


「もう一回だ!次は勝つ!」 


「はぁ。そう言ってるけど、一度も勝ったことないよね」  


「お前、坊主の癖にゲーム上手すぎだろ」


「坊主かどうかは関係ないでしょ」


「いや、大いに関係ある。お前のせいで全国の僧のイメージは下落した」


「そんなことしりましぇーん」




(ターゲット共はまだこちらに気づいていない模様)


(了解。作戦を開始する)


親衛隊の男は通信を切ると、今までの行動とは一変して、堂々と虎太郎たちの元へと歩いて行った。


「やぁ、君たち楽しそうだね。あ、そのゲーム。僕もやってるんだ。一緒にやろうよ」


「はぁ、まあ、別にいいですけど」


 なんだ。この人ただゲームしたかっただけなのか。


虎太郎は一瞬、気を抜いた。


「よかった。それじゃ、お言葉に甘えて」


男は虎太郎の隣に立った瞬間、印を結び、虎太郎たちを結界術で捕獲した。


「たっぷり遊ばさせてもらうよ」


どこに隠れていたのか、ぞろぞろと人が出てきた。


数は約10人。


圧倒的不利な状況だと思わざるを得なかった。


「なぜ、君たちがこんなことをされてるのか理解できる?」


「さぁ、よくわかんないです」


「んー、多分見た感じあれじゃない?せんせの親衛隊の人たちでしょ」


孝雄が言う通り、彼らの胸には藤をこしらえたバッジをつけていた。


「いかにも、我ら、静枝様の親衛隊の幹部である」


「あ」


「理解したようだな。貴様らが昼に行った愚行、この親衛隊が裁く」


「待て待て、あれはあの人がいきなり─」


「問答無用!理由がどうあれ貴様らが静枝様を泣かせたのには違いない!弁明は地獄の閻魔にするんだな!」

「まぁ、僕らの天誅は地獄より辛いですけどね」

「許すまじ、許すまじ、静枝様を泣かせたなんて」


「どうやら聞く耳持たずっぽいね」


「めんどいなぁ」


「さて、お祈りは済んだか?では、裁き、執行!」


そう言うと、親衛隊は虎太郎たちを囲み、ぶつぶつと術式を唱え始めた。


「呪術か。くだらないな、なんか醒めた。帰るぞ孝雄」


「えー。じゃあ今日はぼくちんのハウスでお泊まり会しよ?」


「お前の部屋、物を置きすぎて俺が寝る場所はおろか座る場所すらないんだが?」


「そうだっけ?」


「そうだっけ?、じゃねーよ。片付けろよ、尞って管理してんの学校だぞ。お前の私物じゃないんだからよ」


「でも、金払ってるし」


「払ってるのはあの爺さん。お前な─「おい!そうやって余裕こいてるのも今の内だぞ!あと少ししたらお前らは地獄の苦しみを味わいながら自らの行いを後悔するだろう!」


「煩いな。今俺とこたっちゃんが喋ってるだろ」


リーダー格の男が会話に割り込むと、孝雄が射殺すかのような目付きで睨み、殺気を飛ばした。


「ひっ!」


その凄みに、思わず男の喉がヒュッと鳴った。


「止めろ孝雄。めんどくさいから」


「イライラするんだよ。せっかく、こたっちゃんと一緒に放課後デートしてるのに」


「殴られたいのかお前は」


「隊長!こいつら、全然効いてないです!」


そう、いつもなら一般的な鵬明生徒なら既に阿鼻叫喚している段階まで来ているはずなのだ。


しかし、虎太郎たちは何食わぬ顔で会話をしている。


「そんなはずは!お前ら、もう一度最初からだ!どうせここからは出れ─バリィィィン─」


「は?」


孝雄が素手で薄い飴を割るかのように結界を砕いた。


「先輩?かな。一応名家の倅としてアドバイスしときますと速攻で結界張るなら最低でも一部詠唱ぐらいしといたほうがいいですよ。それか層を重ねるかですね。こんな構築じゃ猿魔にも破られますよ」


飄々とした態度で虎太郎たちは親衛隊たちの間を通り過ぎて出口へと歩いて行った。


「ぐぅぅ、舐めやがって」


「舐めてんのはどっちだよ」

 

「ひゅぃ!」 


孝雄が再び殺気を飛ばすと、今度は親衛隊全員が喉を鳴らした。


「孝雄、もうほっとけ。帰るぞ」


「イエス、マム」


「誰がマムだよ。そこはサーだろ」


その日から親衛隊の目録にある一文が追加された。



それは





     武立虎太郎と西行孝雄に関わるな

 

 






今、世の中大変なことになってますね。


辛いですが、一緒に頑張りましょう。


色々自粛とかで暇なときにはどうぞこの作品で暇を潰してください。


作者も割りと暇なので出来るだけ早め早めの更新をして、皆さんに娯楽を提供したいと思います。



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