5.4人の冒険者
とりあえず1人作った。あー疲れたー。魔力を使った時独特の倦怠感が襲ってくる。すると、
「この配下の生命活動をONにしますか?」
と、頭の中で無機質な声が響く。俺はそれに従い、ONと心の中で念じた。
「おはようございます。マスター。」
うぉ!喋った!これは少し感動するなぁ。
俺が、今作った配下No.1は俺の秘書となる役目だ。まぁ、時間がなかったのでスライムなのだが。
そして、このスライムは双子の姉という設定だ。後で妹を作らねば。今は、魔力が少なくできないが後でこのスライムにスキル[人化]をあげよう。いつまでもポヨンポヨンのままでは悪いだろう。
名前は、スライムの「イ」と「ム」を取ってムイだ。因みに、双子の妹の名前は「ス」と「ラ」でラスにする予定だ。
そして、一番最初の命令は…
「よし、周辺の探索をして辺り一帯の地図を書いてこい。」
周辺の探索。重要だよ、一番。俺はここがどこだかわからないんだよ!今の地図で、学校など知っている土地があればいいのだが…
そう思っていると、ムイが戻って来た。
「終わりました。辺り一帯半径10kmの地図を書いてきました。又、この探索で私、スキル[製図]を獲得しました。」
速っ!優秀すぎだろこの配下!1分もたっていないぞ!まぁ、敏捷カンストだもんねー。ムイがいないうちに魔力回復する予定だったんだけどなぁ…せっかくだから、その地図を見てみるか。
ムイが書いた地図から、だいたいの場所が把握できた。
ここは洞窟の一つらしい。しかし、俺がいる付近は特別で崩落で天井がおちたのか、太陽も時折見える。そして、周りは村が一つとその奥にそれよりも都会の街があったが、ここは森の中らしい。そしてこの小川は、ここから村へと流れており少しこの場所は傾いていることがわかった。
「この国の名前とかは分からなかったのか?」
「はい。すみません。何せ、今作られたばかりなので」
それもそうか。作った配下は記憶が無いのだから当たり前か。
「いや、いいんだ」
俺たちがこんな会話をしていると、
「お、獲物があるぞ!!」
冒険者だ。実際には見たことがないが雰囲気で感じた。人数は全部で4人。前衛の盾持ち片手剣。双剣を持つドワーフ。杖を持つエルフ。後衛の弓。
俺は、今、魔核だ。喋れるが、ステータスは低く、安易に喋ってしまうと喋る魔核として何処かの市かサーカスなんかで物珍しくで売り捌かれるかもしれないので、ムイに小声でこう言った。
「ムイ、あいつらを傷付けずに追い払うんだ」
流石に俺も刃傷沙汰が好きではない。ここは、素直に帰ってもらうのが上策だろう。
「分かりました。マイマスター。」
そう言うと、ムイは冒険者たちの前に出て行った。
「スライムか。楽勝だな、俺に任せろ!」
そう言って前衛の盾持ち片手剣が、ムイに飛びかかる。
ーー刹那。一瞬にして、冒険者たちはいなくなった。
「ど、どうやって消したんだ?」
呆気に取られる俺にムイは答える。
「失礼ながら申し上げます、マイマスター。マスターから貰った空間魔法によって、4人の冒険者たちをここから10km程行った村に飛ばしました。」
うぉう。凄え。確かに全属性魔法をあげたが空間魔法もあったのか…
まぁ、兎にも角にも良かったぜ。俺も元は人間だから、同族を殺したくないからな。飛ばした4人の冒険者が何をされたか、分からないくらいのスピードで転移させたから、変な噂が走ることも無いだろう。
よし、魔力も少し回復したことだし、ムイに人化と忘れてたスキルをつけておこう。
<ムイ> (スライム)Lv99999
<スキル>
[人化]new!
[全状態異常攻撃]new!
[隠密]new!
[製図]new!