第五話
部屋の半分くらいを覆った闇が消えると、そこには炎の矢は跡形もなく消え去っていた。
その状況を見たハゲデブは、信じられないものを見たかの様な顔をしていた。
「お、お、おかしい…おかしいのです。
今の魔法は私の切り札ですよ…何で無傷で立っているのだ…」
そう言い崩れ落ちる。
ハゲデブのおっさんが倒れた今俺の実力に文句をつける奴はいなさそうだな。
俺は今の技を見てこいつの正体がわかった。まぁ、答え合わせはまた後ほどだけどな。
俺はニヤッと口元を緩めた。
「マスター、どうでしたでしょう。私の戦いぶりは」
そう言って、目をキラキラさせながらシュヴァルツが近づいてきた。
とりあえず俺は「良くやった」とだけ言っておく、すると異常な程オーバーに喜んでいるシュヴァルツを横目に審査員の方々へ向き直る。
「どうでしょう、私の力は。もし、満足いただけなかったのであればもう何体か呼びましょうか?」
簡単に言えば、これはハッタリだ。流石にこのレベルの悪魔は今はまだ連続で呼び出せない。将来的に今の体が安定してきたら、いけるだろうが…
つまり、私は今何体でもこの最強格の悪魔を呼び出せます。だから力は充分でしょう?と言う意味を込めた言葉だ。
まぁ別にこいつだけで力の証明は余裕だろう。
だが、いきなり組合員になると言うことで周りから余計な邪魔が入ったりするかも知れない。だからそんな面倒な事は嫌なので、こいつには絡むなと言う注意だけでもしてもらえる様に余分な力の証明をした。まぁ、注意をしても突っかかって来るやつもいるだろう、だがそんな奴には手加減なしで俺の恐ろしさをしっかりと身体で覚えてもらうつもりだった。
色々と審査員の方々で話し合った結果、俺は異例の登録初日から賢人の称号が与えられた。
賢人とは魔導究理組合の中での階級みたいなものだ。
何も無しは特にこれと言ったことはない。
そしてその上に賢人という階級が来る。
これは魔導究理組合が管理している図書館の立ち入り禁止区域の上層が利用可能になる。
その更に上が賢者と呼ばれるもので、これは色々規定があって、簡単になれるものではない。そして賢者は立ち入り禁止区域全域を利用する事が可能という事だ。それからちなみに前世の俺はこの、賢者だった。確か俺の時代で世界で3人とかだったから今もかなり珍しいものだと思う。
俺は登録完了の印として銀色に輝く八角界のネックレスを貰った。
それを首にかけた俺はシュヴァルツを後ろに従えて魔導究理組合を後にする。
よし、身分証を手に入れた。これで学院に入学する事が出来る。
俺は期待に胸を膨らませて、とりあえず宿へ向かう。
これで一章は終わりです。
次は学院入学編です。
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