第二話
旅の準備が出来た。
予定ではとりあえず地上の状況によるがまず学園に入学して魔術を更に研鑽したい。
俺は外へ出る為転移の魔術を展開する。
すると、一瞬の浮遊感と共に強い光を発すると、次の瞬間には別の場所に立っていた。
ここは俺の時代には地下水路として使われていたところだ。
薄暗い道を歩いて行くと階段が見えてくる。
その階段を登り地上に出る為に蓋を外す。
すると、一瞬強い光に目が眩んだが徐々に回復するとそこに広がっていたのは、忙しそうに人が往来する大通りから少し外れた裏道だった。
俺は蓋を元へ戻すと大通りに出る。
そこに広がるのは、俺の知ってる街の面影を残した建物が並んでいた。
この都市の特徴的なレンガ造りの赤い屋根に特徴的な白い壁が、立ち並ぶ光景が広がる。
俺の知ってる頃より人の数が増えている様で道は混雑していた。
俺が知っているのは、ここはジャヌーラ王国と呼ばれていた王国の都市の一つ、ペディオンだ。
今も変わらないのであればあれからどれくらいの年月が経つのかわかる。
まぁ今のこの身では身分証も無いので、学園に通うことが出来ないだろう。
なのでまずは身分を証明出来る様になるためにある場所へ向かう。
そのある場所とは、魔導究理組合だ。
組合は、魔術士や魔法士の仕事の斡旋や魔術研究の成果発表など、魔術や魔法の事に関して様々な取り組みをしているところで、そこの組合員になれば身分証の代わりとなる組合員カードを渡される。
だが、そんな身分証の代わりとなるものを簡単に渡して貰える訳では無い。
まずは、様々な試験や面接などがある、が俺には心配など無い。
何故ならとっておきのものを用意しているからな。
組合に着くと、そこは俺の記憶にある魔導究理組合とは外観が違う建物だったが、看板に大きく「魔導究理組合」と書いてあるので間違いないだろう。
そこは、他の建物とは違い暗い緑の屋根に、木材の壁といった、少し古めかしい館の様な感じの建物だった。
また大きさも他とは違い少し小さめだった。
俺は恐る恐る中へ入ってみると、そこに広がっていたのは、予想を遥かに超えた光景だった。