思い出のリボン
直し修正しました!
「おれ、おおきくなったらはるのことぜったいおよめさんにするから!」
「ほんと?ほんとに!?」
「あぁ!だからそれまでぜったいにまってろよな!」
「うん!わたしもそらくんのおよめさんになるまでまってる!」
「やくそくだからな!」
「うん、やくそく!」
ゆーびきーりげーんまん
うーそついたーらはーりせんぼんのーます
ゆーびきった!!
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ppp...
「ん、あぁ...」
なんだか久々に懐かしい夢を見たな。いつのことだっけあれ?確かあれは…そう幼稚園の時のことだ。
(随分と昔のことが夢に出てくるもんだな)
誰も覚えてないような幼稚園の頃のちょっとした出来事。いつまでも覚えてるのは未練があるから?…アホらしい。
「今の時間は…げ!こんな時間!寝過ごしちまった!」
時計の時刻は9時!このままじゃやべえ!
急いでベッドから飛び起きて朝の支度を準備する。朝食は…パンだけでいいか、あと着替えと、レッスン着と…ええっと
「やべぇ!急いで支度しねえと仕事に遅れちまう……あれ?」
ちょっと待て、今日は何日だ?急いでカレンダーを確認する。
「…おいおい、焦った今の時間返してくれよ」
今日は3月の15日、この日はオフだったことをすっかり忘れてた。そうと分かれば寝てればよかった…
「あーーもったいねえ!」
ガックリと肩をうなだれる。チクタクと針だけが虚しく部屋中に響き渡っていた。
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俺の名前は"九条 天"(くじょう そら)
年は18歳、職業はアイドルをやってる。アイドルっていってもまだまだ駆け出しだけどな。
目標はもちろんトップに上り詰めること!そのために今は必死に頑張ってる道中ってとこだ。
…まぁ最初にアイドルを始めたきっかけはそんな真面目なもんじゃなかったけど、それでも!アイドルとして成り上がってやろうって気持ちに嘘はない。
「にしても…まさか休みの日にこんな早起きしちまうとはなー」
今日は仕事も特に入っていないオフの日だったからゆっくりしてるつもりだったんだけど…どうすっかな。今から寝るっていうのもつまんねえし。特に予定も立ててなかったしな。
(いや待てよ?)
こういう時こそ自主練するべきなんじゃねえか?毎日の地道な努力がトップへの近道っていうし。
「よし!そうと決まれば早速」
ガサゴソ
今日はレッスンすることに決めたのであれこれレッスン用の着替えとかシューズとかを引っ張り出す。あーもうちょっと整理しておこう今後は。
ヒラッ
「ん?これは...リボン?」
シューズを探して戸棚を開けると、上からリボンが落ちてくる。俺のじゃねえぞ?そんな趣味は全くない。
「…あぁ。思い出した」
これは…あれだ。
俺が昔、あいつからもらった思い出の…
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「わたしね!そらくんのおよめさんになるまでぜっったいまってるから」
「だからね、よいしょっと!」
「このリボンをあげる!だからね?むかえにきたときはそのリボンをむすんでこういってほしいな」
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「むかえにきたぜ」
ふと、その言葉が頭をよぎる。けどすぐに頭から消えるようにブンブンと首を振った。いつの話を今まで覚えてんだ一体。そりゃ今でもあいつのことは好きだけど。
「もう春はそんなこと覚えてるわけねえよ」
幼稚園の話だぞ?覚えてる方がおかしいってもんだ。むしろ今まで覚えてる俺の方が気持ち悪いくらいだ。
「って、俺は誰に言ってんだ。ったく、今日は朝から調子が狂うぜ」
さっさとレッスンにでも行って忘れよう。こういう時は何かに集中してる方が気も紛れる。
ガチャッ バタン
「…」
ガチャッ
パシッ
ガチャッ
バタン
「はぁ…なにやってんだ俺」
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レッスン場
「ちげえな、なーんか、しっくりこねぇんだよな」
今日のレッスンはてんでダメだな。思うように身体が全然動いていかねえ。歌もダンスも表情も全然よくねぇ。こんな姿じゃファンに面目が立たねえ。
「アイドルとしてまだまだって事か」
グゥゥゥゥゥ
腹減ったなぁ。
「...あー!やめだやめ!」
とりあえずなにか飯食ってからだな、考えるのはそれからだ。適当にどっかで飯を済ませよう。
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といっては見たものの、近場になにかあるのかここら辺?あんまりここで飯食うこととかねえんだよな。
(まぁなにか食いてえってものもねぇし、適当にファミレスにすっか)
カランコロン
「いらっしゃいませ。お一人様でしょうか?」
「あぁ」
「かしこまりました。それではこちらのお席へどーぞ」
ガヤガヤガヤ
昼間だからなかなか人がいるな。俺が来たのでぴったり全部埋まったのか。もう少しくるのが遅かったら待たなきゃいけなかったな。
「こちら、メニューとお水になります」
「あ、あざっす」
「それではごゆっくりどーぞ」
(さて、なににすっかな)
ハンバーグ、パスタ、いや、和食もありか?いやでもレッスン終わりだしとりあえずがっつりいっとくか?
カランコロン
「いらっしゃいませー 。申し訳ございませんただいま席が満席でして相席でしたらご案内できるんですけど 」
「え?そうなんですか。んー 」
ん?あぁ相席って俺のことか。まぁ混んでるししかたねえよな。いったいどんな人が…
「っっ!!」ブンブン
前言撤回だ、相席なんて許さねえ今すぐ帰れ。いや、いっそ俺が帰ってやるからゆっくり1人でそこで飯を食ってろ。
「すみませんお客様、ただいま大変混み合っておりまして、相席していただいてもよろしいでしょうか?」
「あぁ、はい」
今日は厄日かもしれねえ…
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「いやーびっくりしたよ!天がまさかこんなところにいるなんて」
こいつの名前は"深草 春"(ふかくさ はる)
幼稚園から小中とずっと一緒だった腐れ縁みたいなやつだ。まぁ今はこいつとは高校は別だが。
「春、別の席いけよ」
「ちょ!いきなりひどくない!?」
「だいたいなんであそこから俺を一瞬で見つけるんだよ」
「え?だって天だもん。いたらすぐに気付くよ〜」
「っ...!」
こいつはこういう奴だ。人の気も知らないでさらっとこんなことを言ってくる。それに内心ドキッとしてる自分をぶん殴ってやりたい。
「だいたい春は有名アイドルだろ?もうちょい変装しろよ」
「えー、これでも十分してるよー」
「どこがだよ、リボン外して帽子かぶっただけじゃねえか」
「それで十分わかんないよ。あ、でも天ならすぐにわかってくれるよねー」
「やっぱお前別の席いけ」
そう、春は…いや。春もアイドルだ。
しかも俺よりもずーっと先に進んでる人気アイドル。中学3年生の時に急にこいつはアイドルをやりたいと言い出した。
初めは何かの冗談かと思ったけど、こいつは本気だった。そして、その時から俺と春は別の高校で別々の道を進む…はずだった。
「まぁまぁ、こうして仕事以外で会話するなんて中々ないじゃん。もっと喋ろうよ?」
「仕事でだってそう話すことはねえよ。お前は人気アイドル、俺はまだまだ新人だ」
「いやいや!最近天は結構人気急上昇で有名なんだよ〜?」
「んなことねえよ」
「いやいやあるんだって!」
俺はまだまだ実力も足りてねえし、情熱も足りねえ。動機が不純だった俺は人より何倍もアイドルに対して本気で向き合わなきゃいけねえんだ。
「でも、意外だったなー。高校に入って天とはもう会えなくなると思ったら急にアイドルとして天がいるんだよ?」
「ガラじゃねえってか?」
「ううん、驚いただけ。天がアイドルに興味あったなんて知らなかったから」
興味なんてなかったよ、あん時は。
____________俺はただ…お前と一緒にいたかっただけなんだ
「……」
「あれ?天どうかしたの?」
「なんでもねえよ」
思い出せば出すほど馬鹿らしい。アイドルを追いかけるために自分がアイドルになるなんて本気のやつからしたらぶん殴られたっていいくらいだ。
俺はそれをアイドルになって、初めて仕事をした時にようやく実感した。皆んな本気でやってた。俺だけが中途半端だった。
その時から俺なりにアイドルってものと真剣に向き合って見た。そしたら、色んなものが見えて来たんだ。
ファンとか、運営の人たちとか、皆んなが自分のために頑張ってくれてる。その時からアイドルとして上に登りたいって思った。
「…春のせいで今日は変なことばっかり思い出すな」
「えぇ〜。私なんもしてないのに私のせいにしちゃう〜?」
「してねえけどしてるんだよ」
我ながら何をいってるのかよくわかんねえ。なんだしてないけどしてるって。
「なんか天、悩んでる?」
「っ!」
「あ、やっぱり?そんな辛い顔じゃあファンは寄り付かないぞー」
悩んでる?俺が?いったい何に悩んでるっていうんだ。
「そういう時はね、甘いものとショッピング!だよ」
「はぁ?」
「私、ストレスたまったりしたらそうやって発散するんだー。今日もこれから服でも買いに行こうかと思ってて〜。あ、違うよ?今日は悩んでるとかそういうわけじゃないからね」
いったい何を言ってるんだ春は。悩んでる時は甘いものとショッピング?そりゃ女子の考えだ。少なくとも男子ならスポーツしたりしてるほうがよっぽどいいだろう。
「まぁ私の場合はストレスなんて口実がなくても甘いものとか食べちゃうけどね」
「…はぁ」
「ため息つかれた!」
「春。お前馬鹿だろ」
「なんでよ〜たまにはそんな日があったっていいじゃん!」
たまには?さっき口実なんてなくてもって言ってただろ。絶対たまにじゃねえだろ。
グウウウウゥ
グウウウウゥ
「「……」」
「あぁ、飯食いに来たんだったな...」
「そうだったね、あはは」
まだ頼んですらいねえぞ。いつまで喋ってたんだよったく。さっさと決めねえと。
「さてと、なににすっかな」
「うーん...あ!これも美味しそう。でもこれもいいな〜」
「優柔不断だな、もっとパッと決められないのかよ」
「え〜、だってどれも美味しそうなんだもん」
まぁ俺もさっき何を頼むかすぐに決めてなかったか。
「うーん、天はなにがいいと思う?」
「は?なんで俺に聞くんだよ」
「ほら、迷った時は誰かに決めてもらう方がいいじゃん?だからお願いっ!」
いや知らねえよ、なんだよその自分ルールめんどくせえ。春の好みとか知らねえし俺。なんか適当なもんでも…いや、さすがにそれは悪いか。
「...あー、そのパスタなんかいいんじゃねえか?」
「私もそれいいと思ってたんだー、じゃあこれにしようっと」
(いや、じゃあなんで俺に聞いたんだよ。初めからそれでいいじゃねえか)
ポチッ ピンポン
「お待たせしました、ご注文をお伺いします」
「えっと、この春薫るクリームソースパスタを1つ」
「ハンバーグ定食1つで」
「かしこまりました少々お待ちください」
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「そういえば天は午後からどうするの?」
「ん?午後か…」
そういえばなにも考えてなかったな。レッスンに戻るか?でもこのままやっても逆に変な癖とかついちまいそうだし…
「なんも考えてねえな」
「えー?もぅ〜せっかくの休みの日くらい何か楽しもうよ」
「んなこと言ってもなぁ」
そもそも今日が休みっていうこと自体朝知ったんだよ。それは俺のせいだから仕方ねえけど。
「あ、じゃあいいこと考えた!」
「あ、いいこと?」
「うん!いいこと」
「お待たせしました、こちらパスタとハンバーグ定食になります。それではごゆっくりどうぞ」
「あ、とりあえず食べてからにしよっか」
「あぁ、いただきます」
「いただきます」
お、美味えなこれ。ハンバーグ定食にして正解だったかもな。
「あ、これすっごい美味しい!!さすが天!センスいいねぇ〜」
別に俺の...まぁいいか。なんか幸せそうだしほっといてやろう。
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「なぁ天、お前いいことって言ったよな」
「うん!いいことだよ?」
「今の状況を説明してくれるか?」
「え?んーと、天とお買い物?」
そうだな。今の俺の状況は誰がどう見ても買い物だよな。それは間違いない。
で!
「どこがいいことなんだよ!」
「えーだって、天は暇だったんでしょ?」
「たしかに暇だったけどよ」
「だったら私一人じゃ大変だから手伝ってもらおうかなって」
「…」
呆れて言葉も出ねえ…荷物持ちを手伝わされるって何がどうなったらこうなったんだ俺。
「まぁまぁ。そんなに呆れなくても」
「誰のせいだと思ってるんだ...」
「でもその割にはちゃんと私の荷物持ってくれてるよね」
「あぁ?別に言われなくても荷物は持つだろうが普通」
この状態で女の方に持たせる奴がいたらただのクソ野郎だろうがそんなの。
「天ってそういうとこかっこいいよね」
「...なに言ってんだよ、さっさと行くぞ」
「あっ、ちょっちょっと!天!」
くそっ、ちょっと喜んでんじゃねえよ俺。
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デパート
「うーん、どっちのリボンがいいかなー」
「こっちのピンクのも、いや赤いのも..」
「あ!でもこの白いのもいいなー?」
…長え。
リボン1つでいつまで悩んでんだよ!かれこれ30分は悩みっぱなしだぞ?どれもそんなに変わんねえだろ。
「リボン1つでいつまで悩んでんだよ…」
「大事なんだよ女の子には!」
わっかんねえ…何が違うんだよ。
こいつがつければなんだって…
「うーん...やっぱりやめた!」
「はぁ!?」
あんだけ悩んで結局やめるのかよ!なんだよそれ!
「なんか今日はやめといた方がいいって…そんな気がしたんだよね?」
「わけわかんねえ…」
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「あ、天!せっかくだからクレープ食べてこーよ」
「クレープ?」
「うんっ、ここのデパートすっごい美味しいクレープ屋さんがあるんだ」
クレープなんて男が食うようなもんじゃ…でもたしかに甘いものは今ちょっと欲しいな。
「悪くねえな」
「でしょ?じゃあ行こう♪」
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「すいませーん、クレープ2つください!」
「2つで1000円になります」
「じゃあこれで」
「え、ちょ。私も払うよ!」
「俺も食いたいって言ったからいいんだよ、それより場所とっとけ」
「…もう、そう言われちゃ払いようがないじゃん!」
「はいはい。いいから場所とっとけ」
「またカッコつけて〜、でもありがとね天」
カッコつけてか…たしかにそうかもな。それくらいはカッコつけさせてくれたっていいだろ。
「お待たせしました、こちらクレープ2つになります」
「あ、ありがとうございます」
「彼女さんの分少し多めにしておきましたから」ボソッ
「え、いや別にそういうのじゃないんです」
「またまた、ごゆっくりどーぞ」
「ちょ、だからべつに俺らは...」
カップルか…そういう風に見えちまってんのか。俺と春がか…
(アホらし、あるわけねえだろそんなの)
「あ、天ありがとう!」
「ほらよ、こぼすなよ?」
「もー子供じゃないんだから大丈夫だよ!あむっ、んー!!やっぱり美味しい!」
「ん、うめぇ」
「でしょー!この前友達ときた時も美味しいって言ってくれて。気がつくといつもきちゃってるんだよね」
「いつもか…」
「うん、いつもだよ」
こいつ、アイドルだよな?そんなに毎日クレープばかり食ってたら…
「なぁ春、お前もしかして太っ」
「そ、ら!そういうことは思っても言わないものなんだよ」
「ってことはお前やっぱり…」
「さ、最近ちょっと…」
やっぱりじゃねえか、体型には気をつけなきゃいけねえだろ俺たちは…
「こ、今度からは気をつけるから」
「本当だろうな?ちょっとは気をつけろよ?」
「うぅ…わかりましたー」
「ったく、だいたいアイドルがこんなところにいつも来たりしてたら」
「あ!見てみて天!綺麗な夕焼け!」
(こいつ話をそらそうとしてやがる…)
「ほ、ほらほら!?せっかくだから屋上まで行ってみようよ!」
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「わぁぁ〜!すっごい綺麗!!」
「これは、たしかに…」
綺麗な夕焼けだな。なんつうか、見てると心が浄化されるような…そんな気分だ。
「なんかさ、心がスーッとなっていく気がする!」
「あぁ、ちょっとわかるかもしれねえ」
今ならレッスンも上手くいきそうな気がする。何か悩んでたのかも知んねえなやっぱ。それに気づかせてくれたのは春だったってわけか。
夕焼けが街をオレンジ色に照らし出して、心地よい風が吹いてて…それに。
「いい風〜」
綺麗、だな…
「ねぇ、天ってさ。運命って信じてる?」
「なんだよ急に?」
「ちょっと聞いて見ただけ」
「なんだそりゃ…そうだな、ちょっとは信じてるかな」
「ほんと!?私もね、運命ってあると思うんだ」
運命か、漠然としすぎててよくわかんねえけど…あってもいいんじゃねえかな。
「私ね。アイドルだからこんなこと言っていいのかわからないんだけど」
「幼い頃にね、私のお嫁さんになるーって言ってた子がいるの」
「は?」
「今もなんで覚えてるのかはわからないけど、いつかその子と巡り会えるような気がしてて」
「…っ…!」
声が出ない。口を動かしてるのに言葉が口からうまく出ない。
「もし会えたら、これって運命じゃないかな?」
「」ポカーン
「ど、どうしたの天!」
「あ、いやなんでもな」
いや、違うだろ!言えよ!俺だって!今言わなかったら一生後悔するんだぞ。
「そ、そう?それでね。私その男の子をずーっと待ってるの」
「相手は…もしかしたら。いや、やっぱり覚えてなくてさ。えへへ」
「それに、今は私アイドルなのに…」
(そうだ、春は今アイドルで…)
俺もアイドルだ。アイドルが恋愛なんてスキャンダルの格好の的だ。そんなことがあったら人気は落ちるどころか二度とトップなんて夢は叶わなくなる。
でも!
(関係ねえ!今言わなきゃいけねえんだ!)
言え!
「春!」
「え?」
言うんだ!
「俺は、春のことが…ずっと前から好きだ!」
「…え?」
言っちまった…もう後戻りはできねえ。
「え、ええええええええ!!?」
「な、なんだよ!そんなにおかしいかよ//!」
「ちょ、ちょっとまって天!い、今の話聞いてたよね!なんでこの流れでこく」
なんで?そりゃ多分お前が信じてる運命ってやつだ。
思えば今日は何日だ?3月の15日だ。この日はそう、俺たちの卒園式だった日だ。こんなの運命って言わないならなんて言う?
今日、朝夢をみたのも。
休みなことに朝まで気づかなかったのも。
リボンが急に俺の目に入ったのも。
なぜかあの時持っていったほうがいい気がするって思ったのも。
「ほら、これ」
「これって…え?」
「あの時、正真正銘俺が春から貰ったリボンだ」
忘れてると思ってた、覚えてるはずがないと思ってた。いつまで経っても覚えてる俺の方がおかしいんだって。
「じゃあ…天が…?」
「悪かったな俺で」
「ううん…私、もしかしたら…もしかしたら天なんじゃないかって思ってて。でもそんなこと覚えてるはずないって」
俺だって覚えてるはずないって思ってたんだ。お互いがもし今日がなかったら…きっとこのまますれ違ってたのかもしれない。
「私、わだじ…」
「お、おい!泣くなよ!」
「だって!嬉しいんだもん!悪い!?」
「わ、悪くねえけどよ」
あれ?なんで俺がキレられてんだ今?
「グスッ ねぇ!あの時の約束覚えてる!?」
「約束って…そりゃまあ」
「じゃあ言って!あの時の約束の言葉!!」
「あ、あんな恥ずかしい言葉言えるかよ!」
「嫌だ!言って!ほら、リボンも一緒に結びながら!」
今か!?今あんな言葉言わなきゃいけないのか!?あんなの幼稚園の頃のカッコつけた言葉だろ!
「…早くっ」ム-
「ちょ、ちょっと待て」
落ち着け、落ち着け俺。
こうなったら覚悟を決めろ。
俺は手に持ったリボンを春の髪に結ん…あれ?
(って、リボンってどうやって結べば)
えーっと、こうか?いや、違うな。あ、解けた。くそっ!
シュルッ
キュッ
「こ、こうか?」
「…結び方下手」
「ぐっ、しょ、しょうがねえだろ!」
「クスッ、あはは。もう、しょうがないなー」
「なに笑ってんだよ、へへっ」
「天だって笑ってるじゃん!」
「うっせぇ。…あー、なんか懐かしい気分だ」
「本当、昔もこうやって遊んでたよね」
「そうだな」
あぁ、今なら言えるわ。カッコつけた言葉だけど…春の目を見てはっきり言える。
「なぁ春」
「…何?」
_______________________________________
「おれ、おおきくなったらはるのことおよめさんにするから!」
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「このリボンをあげる!いつかわたしをむかえにきて、リボンをむすんでこういって!」
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「迎えにきたぜ、春」
「…うん。大好きだよ。天」