身丈山の鬼
見切り発車で結構ノリと勢いに任せて書きなぐってます。誤字脱字に日本語が変などあると思いますが適当に読んでください。学がないのでそんなもんです。
身丈山には鬼が住んでいる、見た目は幼い子供の姿をしているという。大人の胸までしかない背丈で、そこいらの子供と大差のない程弱いという。だが、身丈山の麓の村ではそんな鬼に強い恐怖を抱いている。
「村長よ、何故弱いという鬼を恐れる、話を聞く限り村の若衆でも鬼を倒せそうだ。」
「お侍様、確かに話を聞くだけでは弱いと感じましょう。しかし、鬼とは不可思議な術、力を持つもの。身丈山の鬼もそう、恐ろしい力を使いまする。」
村長は目の前の若い侍に語りかける、それは何度も同じ話をしているかのように迷いなく吐き出される。
「お侍様、どうかこの老いぼれの言葉を聞き都へお帰り下さい。身丈山の鬼もこの村へ降りてきたことなどありませぬ。」
「すまないな、村長よ。私は鬼の首を取り、都へ帰らねばならぬ。」
「鬼の首ですか、お侍様は自らの力を示すためにここへ来たと。都か、それとも御実家で何やらあったようですが、わざわざ全て捨てに山へ入るなど愚かな事でございます。」
村長はため息を零し、視線を天井へと向けると、若い侍に言った。
「どうしてもと、お侍様が考えているならば何も言いますまい。この老いぼれには止める力も権力もありませぬ、山へ入るのを止めることは今まで出来たためしがない。」
もう何度も村長は同じやり取りをしてきた、語る相手は毎回違うが、どれだけ言葉を尽くしてもどれほど願ったところでここへ来るものは山へ行く。そして帰ってきた者など一人もいない。皆尽く獣に成り果て腹に収まる。おそらくこの若い侍も同じだろう。
あの身丈山の鬼が、この屈強な若い侍に敵うはずはない。あの山で鬼と侍が出会わないはずがない。侍はきっと鬼の首を容易く切り落とすことだろう。
「今夜はもうお休みくだされ、鬼退治なぞ明日になされよ。」
村長はそれだけ言うと、若い侍に背を向け部屋の奥へと入っていく。
身の丈に合わぬ欲望に、魂はきっと膨らみ溢れる。都での地位のためか、実家の後を継ぐためか。己が力を試すためか、何を目的にここへ来たかわからないが、どうせいつもと変わらない。最後は鬼の腹の中、獣に落ちて食われるのみ。